二銭銅貨

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下町

2006-06-29 | 邦画
下町  ☆☆☆
1957.10.29 東宝、白黒、普通サイズ
監督:千葉泰樹、脚本:笠原良三、吉田精弥、原作:林芙美子
出演:山田五十鈴、三船敏郎、淡路恵子、村田知英子、田中春男、
   多々良純

戦後4年、
混乱の中の東京、下町。
隅田川の川べりに住む三船敏郎。
行商で下町でお茶を売り歩く山田五十鈴。
夫はシベリヤ抑留で帰って来ない。
消息不明。
山田五十鈴は1人の子持ち、男の子。
三船敏郎も、実はシベリアの抑留帰り。

土煙を上げて、土手を走り去って行くトラック達。
土煙が眼に入ったせいで、涙が出て来るのか?
あるいは、何か悲しい事があって涙が出てくるのか?
唇をかみしめて、山田五十鈴は頑張って歩き続けます。

戦争は人々の気持ちをむしり取ります。
残酷で冷酷な戦争の影。

58分の短編映画。
06.06.24 ラピュタ阿佐ヶ谷
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鰯雲

2006-06-28 | 成瀬映画
鰯雲  ☆☆
1958.09.02 東宝、カラー、横長サイズ
監督:成瀬巳喜男、脚本:橋本忍、原作:和田傳
出演:淡島千景、中村鴈治郎、小林桂樹、司葉子、木村功、杉村春子

大きな空、広がる田畑、
地平線の山々に囲まれて、
暮らす農家の人々の物語。

神奈川・県央、厚木周辺、
戦後間もない頃の東京郊外の農村。
古いしきたりに縛られる頑固一徹な古い世代。
新しい時代に、新しいやり方で挑戦する若い世代。
新しい時代の流れに巻き込まれながら、
人々は皆、一生懸命に生きています。

活発で元気な戦争未亡人の淡島千景。
頑固一徹な、兄の中村鴈治郎。
その息子の素朴に頑張る小林桂樹。
淡島千景と木村功のメロドラマ風味も加わる社会派ドラマ。

映画では、小田急線厚木駅の出口らしき風景が出て来ます。
05.10.21 NFC
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いぬ

2006-06-27 | 洋画
いぬ  ☆☆
Le Doulos
1963 フランス、白黒、横長サイズ
監督・脚本:ジャン・ピエール・メルヴィル、原作:ピエール・ルズー
出演:ジャン・ポール・ベルモンド、セルジュ・レジアニ
   モニーク・エネシー、フェビエンヌ・ダリ

フランス式犯罪映画。

地下道のような鉄道線路の脇道と思われる所、
ずーっと歩いて行くセルジュ・レジアニ。
明と暗が切り替わる中を黙々と歩く。
何を考えているのか。何をしようとしているのか。
この人物は一方の主役。

もう一方の主役はジャン・ポール・ベルモンド。
友達なのか敵なのか。

街灯の下、土をほじくって、
何かを埋めるセルジュ・レジアニ。
街灯の下、土をほじくって、
何かを掘り出すジャン・ポール・ベルモンド。

明と暗、
光と影、
静かでニヒルです。
06.06.18 NFC
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明日の記憶

2006-06-26 | 邦画
明日の記憶  ☆☆
2006.05.13 東映、他、カラー、横長サイズ
監督:堤幸彦、脚本:砂本量、三浦有為子、原作:萩原浩
出演:渡辺謙、樋口可南子、吹石一恵、坂口憲二、大滝秀治

みずみずしく、
深い緑に囲まれた森。
山の奥深く、揺れるつり橋、小さなつり橋、
細く長く、人1人通れるだけの揺れるつり橋。
そこを1組の夫婦がゆっくりと、歩いて行きます。

何もかも忘れてしまう渡辺謙の病気、
すべての記憶を、紙にノートにメモしています。
そして、写真に定着させた家族、友人、同僚の記憶。

忘れないように、こうして、定着させた彼の記憶は永遠です。
一方で、
家族、友人、同僚に定着してきた彼の記憶もまた永遠です。
メモやノートや写真だけでなく、彼の考え、習慣、
「ビシッと行こう」というポリシー、様々な彼の記憶は、
人々の心の中にも定着しているのです。
人の記憶とは、人々の心に中に拡散して定着するものなのです。

彼にとって最も大切なものは、趣味の陶芸の
焼き物のカップに、あざやかに描き込まれ、
そして、しっかり焼かれ、定着しています。

消えないように。
消えないように。
06.06.11 シネコン映画館
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妻として女として

2006-06-08 | 成瀬映画
妻として女として  ☆☆
1961.05.30 東宝、カラー、横長サイズ
監督:成瀬巳喜男、脚本:井手俊郎、松山善三
出演:高峰秀子、淡島千景、森雅之、星由里子、大沢健三郎、仲代達矢

淡島千景と高峰秀子の静かな激突。
意地と意地とのぶつかり合いで、お互いに譲りません。
誰だって子供は可愛いし、手放したくはありません。
別れたくはありません。
そんな激突の陰でオロオロする森雅之。

一方、子供達の星由里子と大沢健三郎は健気。
大人の世界に幻滅しつつも、明るく元気で、
しっかりとしています。
落ち込みながらも、絶望しつつも、でも、
若いですから、未来がありますから。

子供達は家族の芯です。
子供達は映画の芯です。

森雅之は大学の建築の先生。
大学の校舎の場面では、
それは、何となく東工大の校舎に似ている感じがしました。
05.10.22 NFC
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