二銭銅貨

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仮面舞踏会/東京文化会館(日本オペラ振興会)2013

2013-02-20 | オペラ
仮面舞踏会/東京文化会館(日本オペラ振興会)2013

作曲:ヴェルディ、演出:粟國淳
指揮:柴田真郁、演奏:東京フィル
出演:リッカルド:村上敏明、レナート:堀内康雄
   アメーリア:野田ヒロ子、ウルリカ:森山京子
   オスカル:大森智子

滑らかで優雅な序曲に続いて、幕がスーッと上がると舞台には、深緑の楕円形をした大きな外枠が3個同心円状に奥に向かって並んでいて、その一番奥に同じく深緑のカーテンのようなデザインの飾りが並んでいる。さらにその奥中央に楕円形の、絵画が描かれた壁が下がっている。そこから舞台前方に向かって濃いねずみ色の階段が続いている。この階段と舞台前方に、古い米国様式の衣裳の人々が並んで静止している。様々な色をグラデーションをつけながら配置して、渋い色合いながらそれが燦然と輝いて、眼を奪われる。豊かなふくらみを持つ色彩が美しい。

舞台セットは、3個の大きな外枠をそのままに、中央に置く階段の配置を変えたりとか、階段を廃船の骨組み置き換えたりとかして各幕間の変化をつけていた。全体的に衣裳のバリエーションの豊さや美しさが印象に残った。美術や照明は全般に暗めで、仮面舞踏会のところに来てパーッと明るくなるしかけになっていた。

レナートの堀内はどっしりと迫力十分で安定していた。リッカルドの村上とアメーリアの野田はともに安定していて声量もあって、大迫力の演奏とよくアンサンブルしていた。ウルリカの森山は低い声がしっかり出て気味悪さが良く表現されていた。この役はコントラルトらしい。オスカルの大森の歌はコミカルで軽快、芝居も同様で、この芝居の一筋の明るさを頑張って表現していた。これはソプラノのズボン役。

重唱では2幕目のアメリアが草を摘みに来た所での3重唱、リッカルド、レナート、アメリアのものが良く揃って迫力があった。また3幕目のオスカルが仮面舞踏会の招待状を持って来た場面での5重唱は、オスカルの高い声を軸にして様々な声が出て来て面白かった。その他、合唱と良くアンサブルしている重唱も良かった。演奏は元気良く迫力に満ちていた。幕切れちょっと前のクライマックスは、劇場全体にその振動が伝わるような強大な演奏で、ちょっとワーグナーのような感じだった。合唱は迫力とメリハリのあるしっかりとした歌声で、楽しかった。

13.02.10 東京文化会館
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13国立劇場2月/妹背山婦女庭訓/文楽

2013-02-17 | 歌舞伎・文楽
13国立劇場2月/妹背山婦女庭訓/文楽
(第3部)

妹背山婦女庭訓(いもせやまおんなていきん)
道行恋苧環(みちゆきこいのおだまき)
鱶七上使の段
姫戻りの段
金殿の段(きんでん)

クルクルと良く廻る苧環の高速回転が不思議で、どうやって廻しているんだろうと不思議に思う。苧環の赤い糸、白い糸が何やら無邪気でゆるい童話の物語のようでありながら、最後はどうもつれなくて残酷。前半の我之助と雛鳥の話と同じだ。全体を通して妹背山婦女庭訓というのは酷薄な話が続く物語だ。

文字久大夫に錦糸、咲甫大夫に宗助はいつもと違う組み合わせのような気がした。最後は英大夫に清介。清介は美しい三味線に気合が良く入って迫力ある演奏だった。英大夫も堂々とした語り。錦糸、宗助にも迫力ある気合を感じた。

紋壽のお三輪は元気良く庶民的、和生の求馬はおとなしく上品。勘彌の橘姫は、お三輪にはりあう気丈な気持ち。玉女の鱶七は大きく軽やかな芝居で落ち着いていた。

官女4人の頭が個性的で面白く、ちょっとそれらが出る場面場面は明るくコミカルな感じだった。

13.02.09 国立劇場
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