二銭銅貨

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サンドリヨン/MET17-18舞台撮影

2018-06-16 | オペラ
サンドリヨン/MET17-18舞台撮影

作曲:マスネ、指揮:ベルトラン・ド・ビリー
演出:ロラン・ペリー
出演:リュセット:ジョイス・ディドナート
   王子:アリス・クート
   父:ロラン・ナウリ
   継母:ステファニー・ブライズ
   妖精:キャスリーン・キム

リュセット、王子、継母がメゾのメゾだらけの演目。その意味ではロッシーニのチェネレントラを上回る。重唱や早口言葉の部分などはややロッシーニのスタイルを踏襲しているようだった。迫力のある各メゾのアリアの連続が聴きどころであり、特にリュセットと王子の重唱はメゾ同志の重唱で希少性が高い。音楽はブッファにもかかわらず、両リヒャルトの影響やベリズモの影響が感じられる現代的なものだった。父役もバリトンなので全体に低い音のみで構成された音楽だが、そこに妖精の高音が配されてアクセントになっている。3幕目終わりは妖精の強く長い高音が幕切れとなっていた。バレエ音楽的な部分が2か所。前半は舞踏会の場面で、後半は短く、ガラスの靴を沢山のが合わせるシーン。このオペラでは曲間に拍手タイミングは無いようだったが、ところどころ、休符の長い所で拍手が入っていた。

演出や衣裳はコミカルでカートゥーン的。舞台の各所各所で客席の笑いを誘っていた。ディスニー的なところもあった。最終幕は舞台の高い位置で妖精が指揮をしながら長い棒を振り上げるシーン。バレエ音楽の所では、本格的なバレエを使わずに合唱団のコミカルな動きで舞台を構成していた。装置はドアのついたクリーム色の壁を何枚も屏風のように立てたもので、そこに本のページを投射したかのごとく文章が描かれている。これを動かして各場面を作っていた。お城の門や馬車も文字で出来ていた。お城の場面での衣裳はすべて赤。リュセットのドレスだけが白で裾がダークブルーのグラデーション。

ディドナートは美しく安定して強いメゾ。クートは低い音が強靭な感じのメゾで芝居は真面目なズボン役。ブライズは迫力のある美しい安定した低音で貫禄を見せた。登場したところで千両役者さながの拍手が起こった。ナウリは迫力のあるやさしいバリトン。キムは強いコロラトゥーラソプラノ。

ガラスの靴というのは変形しないのが特徴で、自分以外の人は履くことができないという、当たり前のことに気が付いた。美しいから採用されたのでは無く、個人認証アイテムとして採用されていたんだ。今だったらきっと、毛髪とか皮膚片とか唾液とか、そういうものでDNA鑑定するっていう話になっていたんだろうね。

18.06.02 東劇
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アルチーナ/めぐろパーシモンホール(二期会)2018

2018-06-09 | オペラ
アルチーナ/めぐろパーシモンホール(二期会)2018

作曲:ヘンデル、指揮:鈴木秀美
演出:エヴァ・ブッフマン
美術:ミリヤム・グローテ・ハンシー
衣裳:サビネ・スナイダース
演奏:ニューウェーブ・バロック・オーケストラ・トウキョウ
出演:
アルチーナ(魔女):渡邊仁美
ルッジェーロ(魔女の虜にされた騎士):杉山由紀
ブラダマンテ(ルッジェーロの彼女、リッチャルドに変装):和田朝妃
モルガーナ(アルチーナの妹):今井実希
オベルト(少年):齋藤由香利
オロンテ(島の将軍):前川健生
メリッソ(ブラダマンテの師匠):的場正剛

幾何学的な白を基調とした美術。1階部分と2階部分とがあって、時々そこにプロジェクションマッピングで模様を付けていた。衣裳はおおむね現代風。すべてをゆっくり動作して、人が舞台に出たり入ったりする感じの演出だった。

典型的な番号オペラ。重唱が少なくアリアが延々と続く感じで飽きない演出が難しい。アリア以外としては、途中でソリストとオケのバイオリンとの重奏があるのと、最後に3重唱がある。合唱は最初と最後だけだったような気がする。最後の音楽は何かケルトっぽい民族音楽風の楽曲で興味深かった。

演奏は古楽器を使った当時の奏法に基づくものだった。

渡邊は強い声のソプラノ、杉山は高音が綺麗なメゾ、和田は安定した声のメゾ、今井は元気で溌溂とした声と芝居のソプラノ、齋藤はキレの良いソプラノ。

当初予定されていた演出のフローリス・ビッサーは健康上の理由で交代した。

18.05.20 めぐろパーシモンホール
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