二銭銅貨

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ピーア・デ・トロメイ(日本オペラ振興会)2024

2024-12-20 | オペラ
ピーア・デ・トロメイ(日本オペラ振興会)2024

作曲:ドニゼッティ
指揮:飯森範親
演出:マルコ・ガンディーニ
美術:イタロ・グラッシ、衣裳:マリオ・ディーチェ
演奏:新日本フィル
合唱:藤原歌劇団合唱部
出演:
ピーア:迫田美帆
ネッロ:森口賢二
ギーノ:海道弘昭
ロドリーゴ:北薗彩佳
ランベルト:大澤恒夫
ウバルド:西山広大
ピエーロ:別府真也
ビーチェ:三代川奈樹
牢番:濱田翔

2010年の昭和音大による公演は、2007年の同大学の日本初演に続く公演だったが、その時の美術と同じかあるいは同様のものが今回も使われたようだ。演出と美術はその時と同じ人。衣裳は今回とは異なる。2010年の衣裳はシルヴィア・アイモニーノという人だったようだ。

多数の小さい穴の開いた鉄板のようなものが複数接続されたものが舞台中央付近に設置されていて、それが壁の役割を果たしている。上手に小さい山があって、そこに乱雑に細い棒状のものが多数乱雑にささっている。若干モノトーンで暗めの舞台だ。衣裳は当時の雰囲気をを持ったオーソドックスなもの。

迫田は良く通る強い声、綺麗な声。森口は今回も悪役がピッタリとはまって良かったが、いくらか苦悩がにじみ出るような芝居でもあった。声はいつも通りキレが良く迫力がある。カーテンコールやホワイエでの観客のお見送りでは、うって変わってニコニコウキウキな感じで舞台とは正反対だった。海道は綺麗な声で声量のあるテノール。北薗は高い声のメゾで声量もあっって、男子っぽくないズボン役だが騎士らしさを頑張って出していた。2010年の公演でもこのズボン役が印象に残っていて、何かこのオペラの芯になる役なのだろうかとも思った。その時も男子っぽくないズボン役で騎士らしさを頑張っているような印象だった。大澤は老けた感じとか実直な感じとかが出ている良い芝居だった。声は堅実なバリトンかバスという感じ。

オケと合唱はともに迫力重視な演奏だった。合唱団は個々の芝居を結構やっていたように思う。

見せ場や有名アリアとか華々しさは無いけれど、渋くて良いオペラだと思う。結構、芝居や演出が重要なオペラなのかも知れない。

日生劇場との共催。

24.11.23 日生劇場
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ウィリアム・テル/新国立劇場24-25

2024-12-20 | オペラ
ウィリアム・テル/新国立劇場24-25

作曲:ロッシーニ
指揮:大野和士
演出・美術・衣裳:ヤニス・コッコス
ダンス振付:ナタリー・ヴァン・パリス
演奏:東フィル
出演:
ギョーム・テル:ゲジム・ミシュケタ
アルノルド・メルクタール:ルネ・バルベラ
マティルド:オルガ・ペレチャッコ
エドヴィージュ:齊藤純子
ジェミ:安井陽子
ジェスレル:妻屋秀和
ヴァルテル・フュルスト:須藤慎吾
メルクタール:田中大揮
ロドルフ:村上敏明
リュオディ:山本康寛
ルートルド:成田博之
狩人:佐藤勝司

最初はホルンらしき音のするスイスっぽい感じのさわやかなメロディ。次が、いきなり嵐っぽい激しく急な音楽。さらに、夜明けを感じさせるどこかで聴いたことのあるようなゆったりとした感じの音楽。そして最後がローンレンジャーでお馴染みの景気のいい行進曲。

ミシュケタは迫力のあるバリトン。バルベラは良く通る声で声量があった。ペレチャッコは手堅い感じの声と芝居。齊藤は落ち着いた感じの声。安井は元気のいい小柄なズボン役で、ソプラノの声は硬質。ソプラノのズボン役はめずらしい。子供の男の子だからなのだろうか。妻屋も手堅い感じの声と芝居だった。深さを感じる低い声。山本は漁師リュオディ。冒頭の舞台裏からのアリアは透明感を感じさせる声だった。事前に調べておかなかったのと登場人物の多すぎで、その他は誰が誰なのか良く分からなかった。

演奏は硬質で分厚い岩盤のような、あるいは大理石のようなしっかりとした大迫力の音楽だった。合唱は大人数で大迫力。良く揃って美しい。特に女声のゆっくりとした部分は美しく透明感があり、うっとりとする。合唱は複数の旋律からなる複雑な多重唱が多かった。

舞台の床は直線的で不規則な段差のある床に太い木の幹が数本立っている構造に対して、天上から大きな太い矢の先端部分が数本下がっているような形のものだった。これらの構成要素を配置し直したり動かしたりして様々な場面を作り出していた。主にモノクロの地味な舞台。衣裳の時代設定は現代かあるいは近代の感じ。

グランドオペラでバレエシーンが2か所ある。最初の方のソリストの踊りはブレークダンス風だった。全体的にコンテンポラリーダンスだったように思う。メンバーの所属は特定の組織ではなく様々のようだ。

24.11.10 新国立劇場、オペラパレス
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連隊の娘/日生劇場2014

2024-12-20 | オペラ
連隊の娘/日生劇場2014

作曲:ドニゼッティ、指揮:原田慶太楼
演出:粟國淳、美術:イタロ・グラッシ、衣裳:武田久美子
演奏:読響、合唱:C.ヴィレッジシンガーズ
出演:
マリー:砂田愛梨、トニオ:澤原行正
ベルケンフィールド侯爵夫人:金澤桃子
シュルピス:山田大智、オルテンシウス:加藤宏隆

おもちゃ箱の中のおもちゃが外に出て来てオペラを上演している設定のようだった。背面にはアルプスの山のような感じの絵が描かれている大きなジグソーパズルがあり、大道具としては、木製の板で出来たアルプスっぽい家や、積み木のようなもの、ブリオのような汽車、大きな熊のぬいぐるみなどが使われた。登場人物は人形で、木の板で出来た人形、あやつり人形、着せ替え人形など、様々な人形の形で登場した。クラッケントルプ公爵夫人の操り人形は全部人形振りで動いていたが、その他の人形では人形振りはあまり多くは無く、ダンス場面とかで少々見られた。全般に動きが激しく、ミュージカルっぽい演出で、合唱団もダンスしながらの演奏で大変だったのではないかと思われた。でもその分楽しい舞台となった。明るく楽しい演出。美術も衣裳も彩度の高い色使い。明るい。楽しい。マリーの衣裳の白が印象に残る。

公演はフランス語で、セリフ場面が多いジングシュピールのような形式。セリフはフランス語で、皆さんのフランス語が板についているなと感じた。ちなみにイタリア語版はレティタティーボ。

砂田は芝居も動きもセリフも元気良く明るくて楽しい。なんと言っても強い声でかなりの声量が楽々と出て、全力でもまったく崩れない。登場する時のちょっと長めの歌は強く活発で大拍手を受けた。一方で、途中の Il faut partir (私は行かなければならない)は美しく綺麗に歌えた。澤原はアンダースタディーの急遽の代役だったが破綻なく最後までしっかりと歌い切った。金澤は低い声が安定して強く出るメゾ。山田は堂々とした重い声。大きな包容力のある芝居も良かった。加藤はしっかりとした声で声量があった。

合唱は大人数で迫力があった。その合唱団によるダンスも良かった。オーケストラの演奏は明るく元気。

オペラの舞台はイタリアとオーストリアにまたがるチロル地方。そのためだと思われるが、序曲の最初がホルンで始まる他、全般にホルンが多用されていると感じた。曲の雰囲気もフランスっぽい部分やイタリアっぽい部分に加えてアルプスっぽい部分もあった。

子供は見に来ていなかったけれど、子供向けの演出で超楽しかった。

トニオ役の交替に当たって以下のお知らせがあった。
「11月9日(土)にトニオ役で出演を予定しておりました糸賀修平は、稽古期間中の不慮の怪我(アキレス腱断裂)のため、出演を断念せざるを得なくなりました。代わりまして、同役カヴァーキャストの澤原行正が出演いたします。」

24.11.09 日生劇場
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影のない女/二期会2024

2024-12-20 | オペラ
影のない女/二期会2024

作曲:リヒャルト・シュトラウス
指揮:アレホ・ペレス
演出:ペーター・コンヴィチュニー
美術:ヨハネス・ライアカー
演奏:東京交響楽団
合唱:二期会合唱団
出演:
皇帝:樋口達哉、皇后:渡邊仁美
乳母:橋爪ゆか
バラク:河野鉄平、田崎尚美
鷹の声:種谷典子

例によってコンヴィチュニーによるハチャメチャな演出。舞台は回り舞台で、3つのパート、駐車場、産科の分娩室らしき所とその待合室、レストランに分かれている。出だしは駐車場でセダンのベンツが置いてあって、そこでいきなり銃撃がはじまり、幾人かが倒れるという、アクションドラマっぽい演出。樋口はマフィアのボスっぽい感じ、貫禄十分、迫力十分、ニヒルに登場してきて、最初はそれが樋口だとは分からなかった。全般に、産科での検査の場面とか、レストランでの銃撃とか、過激な場面が多く、歌手や合唱団は激しい動きの芝居をしっかりやっていた。

雑然とした演出に対して舞台美術はクリーンで光沢のある硬質な質感のものが使われた。シュトラウスのキラキラした音楽に合っている。

樋口は声が以前より重くなった感じで重厚、迫力がある。芝居はニヒルで情け容赦がなく、かつ、頭が変で妙にコミカルというイカレた役をうまく演じていた。渡邊は声量のある強くて綺麗な声。橋爪は低い声が良く安定している。芝居は声とは正反対にコチョコチョ動き回って軽い感じ。芝居のうまさが印象に残った。河野は真面目な感じで声量のあるバリトン。田崎は強くて重い声のソプラノで堂々とした芝居。種谷は歌う場面がほとんど無いほぼ黙役だが、この演出が特にそうなのかどうか分からないが、全編に登場する。ボブっぽいヘアスタイル、濃い化粧、ちょっとタイトな感じの赤と黒の衣裳、街の女のような雰囲気で登場して存在感が強かった。黙役の女優かと思っていた。

演奏は大規模できらびやかに美しかった。合唱は小規模で数人。ソリストと共に過激な芝居をやって動き回っていた。

なんだこりゃと何が何だか分からない。異化という奴なんだろうな。なんだか馴染めないけど、これはそういうもんでそれで良いのだろう。印象には残る。演奏自体はすごく良かった。

ボン歌劇場との共同制作

24.10.27 東京文化会館
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