妻よ薔薇のやうに ☆☆
1935.08.15 PCL、白黒、普通サイズ
監督・脚本:成瀬巳喜男、原作:中野実「二人妻」
出演:千葉早智子、大川平八郎、丸山定夫、英百合子、伊藤智子
堀越節子
二人妻と言うのは東京の正妻と、
田舎ずまいの妾のこと。
おとうさんは妾のほうが居心地がいいらしく、
信州の田舎に住んでいて、
東京にはまったく帰って来ない。
千葉早智子は東京の正妻の娘で、
くったくが無くて明るい現代娘。
堀越節子は田舎の妾の娘で、
ちょっと陰があるけれど、健気で地道な感じ。
ぼーっとした感じの正妻が伊藤智子で、
思いやりがあって律儀な妾が英百合子。
ちょっととらえどころのない父親が丸山定夫で、
千葉早智子の彼氏が大川平八郎。
全体に明るく、軽いタッチだ。
おじさん役の藤原鎌足がヘタな義太夫をうなる場面がある。稽古本を数冊持って来て、その一番上に「壷坂霊験記」。これを語っていたようだ。壷坂は有名な演目で、若い盲目の按摩と妻の夫婦愛の物語。これをこの映画の夫婦愛についてのテーマに重ねているのだろう。
壷坂は明治時代の三味線の名人だった団平の作曲で、もともとあった浄瑠璃に団平の妻のお千賀が輔筆したもの。この夫婦の物語を芸道ものとして映画化したのが溝口健二の「浪速女」(1940)。田中絹代がお千賀をやっている。今はフィルムが消失していて見ることができない。
この映画のおとうさん役の丸山定夫は終戦まぎわに移動演劇隊で巡業中に広島で被爆して死亡した「さくら隊」のリーダ。新藤兼人のセミドキュメンタリー「さくら隊散る」に出てくる。通称ガンさん。無くなったのは16日だったようなので8月6日は命日ではありませんが、その日にも神保町シアターではこの映画の上映があった。
09.08.01 神保町シアター
1935.08.15 PCL、白黒、普通サイズ
監督・脚本:成瀬巳喜男、原作:中野実「二人妻」
出演:千葉早智子、大川平八郎、丸山定夫、英百合子、伊藤智子
堀越節子
二人妻と言うのは東京の正妻と、
田舎ずまいの妾のこと。
おとうさんは妾のほうが居心地がいいらしく、
信州の田舎に住んでいて、
東京にはまったく帰って来ない。
千葉早智子は東京の正妻の娘で、
くったくが無くて明るい現代娘。
堀越節子は田舎の妾の娘で、
ちょっと陰があるけれど、健気で地道な感じ。
ぼーっとした感じの正妻が伊藤智子で、
思いやりがあって律儀な妾が英百合子。
ちょっととらえどころのない父親が丸山定夫で、
千葉早智子の彼氏が大川平八郎。
全体に明るく、軽いタッチだ。
おじさん役の藤原鎌足がヘタな義太夫をうなる場面がある。稽古本を数冊持って来て、その一番上に「壷坂霊験記」。これを語っていたようだ。壷坂は有名な演目で、若い盲目の按摩と妻の夫婦愛の物語。これをこの映画の夫婦愛についてのテーマに重ねているのだろう。
壷坂は明治時代の三味線の名人だった団平の作曲で、もともとあった浄瑠璃に団平の妻のお千賀が輔筆したもの。この夫婦の物語を芸道ものとして映画化したのが溝口健二の「浪速女」(1940)。田中絹代がお千賀をやっている。今はフィルムが消失していて見ることができない。
この映画のおとうさん役の丸山定夫は終戦まぎわに移動演劇隊で巡業中に広島で被爆して死亡した「さくら隊」のリーダ。新藤兼人のセミドキュメンタリー「さくら隊散る」に出てくる。通称ガンさん。無くなったのは16日だったようなので8月6日は命日ではありませんが、その日にも神保町シアターではこの映画の上映があった。
09.08.01 神保町シアター