ノーブル・ノーズの花の穴

麗しき本音のつぶや記
~月に1度ブログ~

「明日の記憶」 私と言う「メメント」

2006-05-24 13:58:07 | 映画


桜、電車、猫。
桜、電車、猫。
私は真剣に覚えようとした。

数字は3つまでならいいが、逆から4つ言うのはむずかしい。
ハンカチと時計の間に、何かあった気がするが、いまだに思い出せない。

及川ミッチー医師の独特な滑舌は、いつにも増して、真摯だ。
アルツハイマーのテストは、私がやっても、かなりヤバイ。
そう言えば最近、むずかしい事を覚える気が、まるでない。

受け入れるしかない病の前で ただ泣くだけ

部下が、自分の名前を書いたポラロイドを渡すなんて、ありそうもないが、
「忘れないで。」を受け取ったら泣けた。
取り引き先の課長が、はげましの電話なんて、しそうもないが、
「忘れないよ。」が伝わってきて泣けた。

とり乱す主人公と一緒に、激しく泣けた。

やがて自分が入るであろう施設を見に行くのは、
大好きな小説「アルジャーノンに花束を」にもあったなぁ。

渡辺謙もすっかり、健康的なハリウッド・スターになってしまったかと思っていたが、
患う者としてのスタンスは、忘れていなかったように思う。

「脳」が笑う

祖父の弟は、食事中に倒れ、そのまま急死したが、
死ぬ直前に、笑ったような表情をしたと言う。

いつも静かで、最期まで面倒をかけずに、
ニヤリと笑って逝くなんて、粋な感じがしたが、
死因は「脳」にあったらしい。

まったく違うタイプの記憶映画「メメント」

前向性健忘症で、10分前の事さえ、覚えていられない男のサスペンス。
ストーリーが10分ごとに過去にさかのぼるので、1度観ただけではわかりにくいが、
すごく斬新で切なかった。

正常であっても 衰える自分を認めるのは辛い

「時事放談」の宮澤喜一氏は、退いてなお、インテリの風格を増し、
矢沢永吉の腹は、出ていなくてカッコイイが、
美しく老いる事は、ただでさえむずかしい。

できない事が増え、プライドがけずられていく。
頭も心も、すきまだらけになる。

「生きてさえいれば」なんて、本当に思えるだろうか。
忘れた事さえ忘れてしまえるなら、楽なのだろうか。

私は私の「メメント」をたどる

私は「記録魔」である。覚えてられなきゃ書けばいい!(笑)
自分を1番知っているのは、自分でありたい。
そしていつまでも、自分を覚えていたい。
関わった全てと共に。
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「対岸の彼女」は渡って来ない

2006-05-24 13:09:33 | 


この本は、きょんさんのお勧めで読んだ。
角田光代さんの文体は読みやすい。

私は公園ジプシーの小夜子のそばにいた

同調も同情もしないが、できれば小夜子には、ずっとその話をしていてほしかった。
私は、彼女の働く姿や、周りの人間に興味はなく、
どちらかと言うと、陰鬱な主婦の心が知りたかったのだ。

小夜子を見下す修二は、嫌な夫だ。
人見知りですぐ泣く、あかりの世話などしたくない。
ナナコのような友人に、振り回された昔の葵が、
気まぐれな女社長になるとは、どうしても結びつかない。
つきあいたくないタイプの従業員たちは、あまりにリアルだ。

私が小夜子なら、葵に特別な友情を感じる事なく、プラチナ・プラネットを離れるだろう。
だから私の目の前に、

「対岸の彼女」は渡って来ない

けれど、良い作品だった。
「私は違う。」と感じさせてくれた。

角田さんの他の作品も読んでみたい。
コメント (2)
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救急車に乗る時はパンツに注意

2006-05-24 12:53:01 | Weblog


職場へ向かう電車の中、急に胸が痛くなった。
座っているのに、貧血のように汗が出る。

「具合が悪いんじゃない?」
誰かが、ささやく声がした。
自力で次の駅で降りよう。

S川駅の柱の陰でしゃがんだら、激しい腹痛がした。
私はこんな時、不思議と助けを求める気にならない。

腸ケイレンらしい

救急車が来て、タンカに乗せられた時、
ただでさえ、浅いジーンズのファスナーを下げていた為に、パンツ丸見え。
腹は痛いが、恥ずかしい。

腰を指さして、
「ここ、隠して!」と叫んだら、
「人の多いところ通るから、見られるの嫌でしょ。」と
頭からタオルケットをかけられた。
うぷぷっ、息苦しいっ!! 顔じゃないっ!!

隠したいのは みすぼらしいパンツだよっ、パンツ!!

白い布ですっぽり包まれた私は、傍から見ると、まるで死体のようだったろう。(笑)
声を出して息をしないと、痛くて苦しい。
年令と名前を言うのがやっと。
揺られるままに、どこへ連れて行かれるのか。

カーテンの向こうでは、患者と看護師のやりとりで、ざわついている。
それでもベッドで点滴しているうちに、ウトウトしていた。

インターフェロン…。

という言葉で、私は起き上がり、カーテンのすきまからのぞいた。
紫に髪を染めた、お金持ちそうな婦人が、
「成績がいいのよー。」と楽しそうに話し出した。

息子の自慢?

「GTPは下がらないんだけど、菌が減ってるって。
でも、いつどうなるかわからないって言われたけど。」

注射の用意をする看護師は笑う事なく、あいまいな相づちを打った。
重度の肝炎なんだろう。
お金がある人は、悲しくてもいろいろできる。

手持ちのない私は、ツケで病院を出た。

いつ パンツ丸見えになるか わからない

貧乏でも、パンツは新しくしなければ、と思った。(笑)
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初めての 恋のように

2006-05-24 12:17:36 | 

あなたは 黙らせる

近づく 私を

美しくない 私を


決して 触れさせない

自由が 利かなくなる

声が 出なくなる


「極上の拒絶」に 突き上げられ

私は イッてしまう

あまりの つれなさに


ザワザワと鳴る 木の葉は 私の心

言葉を かわせるだろうか

目が 合うだろうか


もし 知る事と時間が 比例するならば

何もかも 足りない

どうしようもない


閉ざされた 扉の前で

私は ふるえています

初めての 恋のように




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