カニさん旗あげて

丸ごとカニバーガー、面白そうだ。

「激レアさん」に、
ドムドムハンバーガーの女社長が出ていた。

全国に26店舗しかないのに、行けるところがあった。

脱皮したばかりの、柔らかい高級ソフトシェルクラブ。
1つは、私がフードコートで食べて、
1つは、身内に持ち帰りだ。

「1980円です。」
スーパーで、安い服を買ったような気になった。

気づくと、
カニさんが持っているはずの、ドムドムの旗が無い。

私は、カウンターに引き返して、
「旗が無い!」
「旗は、もう無いんです。すみません。」

ちぇっ。
私は、小学生のようにガッカリした。

綺麗なレタスのフリルの上に、
カリッと揚がったカニが載っている。
その脚で、まだカニである事を主張しているようだった。

サクッ。
パーツを意識させないほど、柔らかい。
チリソース、うめぇ。

思っていたよりも、アッサリしていて、
ペロリだった。

後日、ある事が気になって、身内に聞いてみた。

「ねぇ、丸ごとカニバーガーって、クモに似てない?
クモバーガーだよって言ったら、だまされるかなぁ。」
「見ないようにして食べた…。」

そうなのだ。
身内は、クモが大嫌いなのだ。
思っていた通り、身内にとって、
カニバーガーは、クモバーガーに見えていたのだった。(笑)

 

くるくるりん

私は毎朝、
パナのくるくるドライヤーを使用している。

長い間使っていると、
アタッチメントだけ壊れてしまう。
面倒だから、買い替えていたのだが、
本体は捨てずにとってあった。

赤色のを使用していて、青色のに買い替えたら、
又、ブローブラシだけが壊れた。
さすがにもったいない。
赤と青のブローブラシを、1つずつ購入する事にした。

型番は違っても、同じサイズなので、装着できるのだが、
それぞれ在庫があったので、さっそく入荷注文した。

帰ろうとしたら、広い台の上に、
カッパー色の豪華ケースに入った
ドライヤーセットが置いてあるのに気づいた。

中央に、少量の毛束がたらしてあり、
棒状のアタッチメントを近づけると、
面白いくらい、クルクルと巻いた。

ダイソンのエアラップスタイラーである。

このご時世、
自分の髪で試すのはダメなのかと思っていたら、
女優鏡の前に、同じドライヤーが置いてある。
女性スタッフに聞いたら、お試し可能だと言う。

サイドの毛を取り、ドライヤーに巻きつけてみた。
くるくるりん。
瞬時に、ゆるふわカールができた。

「す、すごい!!」
私は、まだ近くにいた女性スタッフに向かって、
コーフンした。

「ん、もしかして…。」
そうなのだ。
これは、自分で髪を巻きつけるのではなく、
ドライヤーを近づけただけで、勝手に巻きつくのだ。

パーマをかけると傷むし、
かえって、フケて見えるお年頃。
これなら、年老いた外国人女優のような、
アンニュイヘアにできる。

ダイソンの掃除機には興味無かったが、
これは、「ほ、欲しい!!」

ヨド価格でも高いのに、売り切れだと言う。
他のアタッチメントはいらないんだけど、
安くならないかなぁ。

私は、しばしその場で、くるくるりんを楽しんで、
「やれやれ。」と、注文控えをサイフに押し込んだ。

若い娘なら買うよなー。
テンション上がるもんなー。

一億あったら買いたい物が、
「らぼっと」の他に、もう1つ増えた。

 

ズシンな話

「情熱大陸」で、瑛人を見た。

別れた家族から、
「こいつは、物欲が無い。」と言われていた。

ああ、そうなんだろう。
ただ、楽しいからやっているというエネルギーこそ、
認められるものなのかもしれない。
不安があるのは、欲や執着があるからだ。

早朝の電車内で、隣にいた若者が、
「ドールチェ＆ガッパーナの…♪」と、
くちずさんでいた事があった。

他人の口から無意識に出るほど、知られているなんてすごい。
一発屋だとしても、それでいい。

しかし彼は、このままポンコツでいられるのだろうか。

お正月に、形の無いお地蔵様の前を通りかかったら、
真っ白な紙の上に、おまんじゅうが供えられていた。
清々しい気持ちになった。

ふと、「傘地蔵」を思い出した。

見返りなど期待しない、何気ない行為が、
思いがけない事を引き起こす。

動かないはずのお地蔵様が動く。

あんな短い話が、ズシンとくる。
せっかちで、自分勝手な世の中に。
イライラする私に。