海外在住の友人とは、
去年と同じ街で、会う事にした。
私は、まるで彼氏のように、
ランチする店を調べた。
そうさせる雰囲気を持っているから、
彼女は、モテたのだろう。
下見をしなかったので、
思ったより、ビルは古くなっていて、
内装は、ネットの写真ほど、オシャレでもなかった。
味は、まあまあだったが、
口コミ通りの客層で、
よりによって、簾ごしに隣にいたオバサマ達が、
ものすごく、うるさかった。
空いていたので、長居はできたが、
スマホで注文なのが、嫌だったので、
もう行かない。
私は、後日、
記念日のディナーを、予約していた。
それを、彼女に話したのは、
10年前の話を、蒸し返す為だ。
そう、10年前、私は、やはり記念日で、
HホテルOノ森で、ディナーする事にしたと、
彼女に話したのだ。
すると彼女は、
「あのホテル、まだあったの!!」と、驚くように言った。
おそらく彼女は、若い時に、
デートで行った事があったのだろう。
ただ懐かしくて、そう言ったのかもしれないが、
私は、あまりいい気がしなかった。
彼女の中で、このホテルは、
「もう終わっている」という感じがしたからだ。
彼女は、10年前の会話を覚えていて、
私の指摘に、とても驚いていた。
「ホテルが長く続くって、すごい事だからだよ。」
しかし、箱根の富士屋ホテルや、
日光の金谷ホテルであれば、
「まだ、あったの?」とは、言わないのではないだろうか。
私は、当時も今も、何を言われようと、
考えに考え、調べに調べて選択したのだから、
ブレたりはしない。
実際、Oノ森に行ってみたら、
バスを降りて迷う私達を、
スタッフが、道路まで探しに来てくれたり、
最初の1時間は、貸し切り状態だったので、
ゆったりした時を過ごせて良かった。
私が言いたいのは、彼女の真意よりも、
言葉の選び方一つで、失礼に聞こえると言う事だ。
「懐かしい。」とか、
「行った事あるけど、良かったよ。」ならまだしも、
年取ってから、高額なディナーに、
初めて行こうとしている者に、
「まだ、あったの?」は、テンション下がる。
私は、親友とも言える彼女に、
今更どうでもいい事を言い、
少し、イジワルしたかったのだろう。
そして私が、今年の記念日に選んだのは、
老舗のK軒の中華ディナーだった。
普通に美味しければ、それでいいと思っていたが、
前菜の右端にあったチャーシューと、
最後のデザート以外は、
とても高級レストランの味とは言えず、
連れに、「ごめんなさい。」と謝ったくらい、
イマイチだった。
特にひどかったのは、北京ダック。
最初から、皮にくるまれていて、
ダックは欠片ほど。
ネギとキュウリだけの、
ベタッとした春巻きのようだった。
給仕の女性は、落ち着いていて良かったが、
電話口のオッサンは、早口でイラッとしたし、
売店の若い子は、愛想なし。
駅の売り場の店員は、元気ある人が多いのに、
本店ともなると、ブランド名に乗っかって、
味もサービスも、変えようとしないのだろうか。
美味しいのは、
シウマイと、シウマイ弁当だけなのか。
友人は、私と会った後、
自身が記念日に買って、
長年、着けていたブレスレットを無くした。
そのデザインは、私も気に入っていたので、
彼女以上に残念だった。
オシャレな彼女のマネをして、
私も、ブレスレットを買ってみた。
記念日のネタで、色々あったものの、
彼女とランチした後に入ったドトールは、
レストラン仕様で、すごく良かった。
K軒で、一番高いコース料理より、
ドトールの、フレンチトーストの方が、
記憶に残る嬉しさよ。