信じられない。
私は、初めて傷ついた。
年寄りは、あてにならない。
これは、差別ではなく事実だ。
まだ、うすら寒い季節に、たき火がしたいと思い、
食事もできる施設に、問い合せた。
ネットの情報は、あてにならないので確認したら、
やはり、状況は違っていて、
オーナーがケガをして、休業中だと言う。
たき火も、以前と違い、常に燃やしているのではなく、
かと言って、予約制でもなかった。
1ヶ月以上、間をあけて、
再度電話したら、営業しており、
「〇日に行くので、たき火はできますか?」と聞いたら、
奥さんが、その場で、オーナーに確認しに行き、
「できる。」と、回答があった。
しかし、メモを取る様子はなかった。
この時、「昼過ぎに行く。」と言ってしまったので、不安になり、
次の日に、もう一度電話して、
今度は、オーナーに直接、
「〇日に行きますが、夕方、たき火はできますか?」と聞いたら、
軽く承諾された。
当日、連れと温泉に寄り、昼過ぎに目的地に着くと、
若いスタッフが、事情を知っているかのように出て来て、
「最近、お客さんが来ないと、16時で閉めてるんです。
オーナーに聞いてきますね。」と、気になる事を言った。
体格のよいオーナーは、コルセットをしていたが、元気で、
経営や食事について、長々と自慢気に話した。
「ところで、何人?」と、気になる事を聞かれたが、
「2人です。」
「さっき、温泉で食事をしてきたばかりだし、
まだ明るいから、もう少し後にしたい。」と、
私は、何度もそう言っていた。
写真を撮ったりした後、
「そこらへんを散策して、16時半頃に、又来ます。」と言って、
その場を離れた。
楽しみに戻ってみると、奥さんが、
「今日は、もう閉めます。オーナーが本調子じゃないので。」
「えっ!? オーナーがやれるって…。」
「今日は、下見じゃないんですか?」
「私、2回も電話してるんですよ。〇日に行くって言いましたよね?」
「〇日でしたっけ?」
出て来たオーナーまで、
「さっき、料理の注文しなかったじゃないか。」と、
逆にムッとした様子。
予約制じゃないんだから、食べる時でいいんじゃないの?
「下見という言い方は、していません。」
そもそも、「たき火」が目的で、ここまで来たんだよ。
温泉なんか、オマケだよ。
私、何か難しい事を要求した?
オーナーが、急に具合悪くなったわけじゃないんだよ。
客が来てるのに、早めに閉めるの?
内心、キレかかったが、絶句した。
その時、連れが、
「他のとこで食事すればいいじゃん。」
たき火決行を、押し通そうとしていた私は、
その一言で、クールダウンした。
★年寄りに、何を言ってもしかたない。
(自分達がポカした事さえ、気づいていない。)
★オーナーが、リハビリがてらの営業だった。
★連れが、「たき火」に興味無かった。
私を制御したのは、何と、一番最後の理由だったのだ。
1人で続行させても、つまらない。
「じゃあ、いいです。」
「ごめんなさい。」
奥さんの声に、振り返りもせず、
1時間かけて、駅まで歩いた。
何で、こんな事になるんだ。
「たき火はできない」、「食事もたき火も予約制」、
どっちかにしろ!!
覚えてられないなら、メモぐらい取れ!!
早く閉めるなら、最初からそう言え!!
しかし、オーナー夫婦の人柄が悪いわけじゃない。
ストレスと気遣いが、
私の内側に、一気にのめり込んだ。
私は、人間不信になった。
ショックのあまり、ひきずって、心を病んだ。
以前、一軒家のカフェへ、
普段やらない、期間限定の日替わりランチを、
身内と食べに行った。
料理の写真を撮ったりして、しばらく食べずにいたら、
オーナーに、「まだ食べてないんですか?」と言われた。
会計時に、その事を詫びると、柔らかい口調で、
「いえ、感覚が違うなぁと思って。」と、キツい一言。
ケンカ、売ってんのか?
コーヒーと音楽にこだわる女主は、
儲け度外視だから、言う事にも遠慮が無い。
こういう、個人に対する怒りなら、
3日程度で忘れられるのだが、
たき火は違った。
年寄りの母に、話すのもどうかと思ったが、
電話したら、意外にも、一番理解してくれた。
私は、泣きながら、母に訴えた。
私の楽しみも、気遣いも、怒りも知らないまま、
あの年寄り夫婦は、これからも生きるのか。
悔しい。
もう二度と行くもんか!!
自分の趣味にこだわる店は、
客の感情にはこだわらない。
要予約の店の方が、まだマシだ。
結局、連れは、食事にも寄ってくれず、
腹ペコのまま、駅のホームでシウマイ弁当を買って、家で食べた。
親しい連れが、一番冷たかった。(笑)