ノーブル・ノーズの花の穴

麗しき本音のつぶや記
~月に1度ブログ~

ミッシヨンでセッション

2022-06-15 09:23:55 | 映画

昔、同僚が、
「一番好きな映画は、『トップガン』。」と言っていた。

私は、当時、話題の映画には興味が無く、
この間、TVで初めて見て、
若いトム・クルーズは、瞳が綺麗なちっちゃい人で、
あの役に関しては、カッコいいというより、
無理して破天荒に見せている変わり者にしか見えず、
昔の演出も、陳腐に思えた。

しかし、年を取ったトム・クルーズと、
私が好きな映画「セッション」で、
主演していたマイルズ・テラーが出ているのと、
最新技術の映像なら、迫力あるんじゃないかと興味が湧き、
「トップガン マーヴェリック」を観る事にした。

戦闘機の爆音や、
地対空ミサイルに追いかけられる臨場感で、
私の高い血圧は、更に上昇したかのようだった。

これを、IMAXで観たら、どーなるんだ!!

ところが、トップガンである若手俳優の勢いや、
上官のベテラン俳優の凄みは感じるのだが、
トム・クルーズの瞳が、穏やか過ぎて、
表情に変化が感じられず、
字幕なのに、セリフがあまり入ってこなかった。

トム・クルーズは、善い人なのだろうね。

「誰、この人(役)?」と思ったペニーは、
雰囲気も顔も、山口紗弥加にしか見えなかったが、
ジェニファー・コネリーだったのね。
なつかしい。

あんな、すご過ぎるミッションは、ありえへんし、
やれたとしても、生きて帰れないだろう。

過去の確執を交えながら、命がけで助け合い、
誰も死なずメデタシ。

ハイテクなモノを、空母の上で、
網に引っ掛けて止めていたが、
緊急時の最終手段は、人力なのだなと思った。

フレッチャー先生と、セッションしていたマイルズ・テラーが、
今回は、マーヴェリック先生と、空中でセッション。

面白かったー!!

 

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「生きる」に特化した人

2021-11-17 09:32:31 | 映画

草を背負ってる姿が、とても悲しかった。

サブタイトル通り、いったい何と戦っていたのか。

フランス人監督による、国際共同製作映画「ONODA」は、
興行目的の作品とは思えなかった。

まるで、楽しむべきものではないかのように、
最初から、パンフレットも作成されていない。

エピソードがフィクションでも、
29年を3時間で、淡々と描いたそれは、
ひたすら虚しい。

しかし私は、それだけでは済まなかったのだ。
改めて、「小野田寛郎」にハマってしまった。
あの頑固さと、晩年の笑顔に惹かれた。

子供の頃TVで見た、オンボロの服を着て、敬礼していた日本兵。
口角泡でしゃべる、プライドの高そうなおじさん。

実家には、当時のインタビューがレコード化されたのがあり、
先日聴いてみた。

いつのまにか、ブラジルに行ってしまい、牧場を経営した後、
子供の為のサバイバル教室を開いた。

枯れ枝で、あっという間に火を点けたのを、TVで見た瞬間、
「さすが、筋金入りのサバイバー!!」と、リスペクトした。

千年の孤独 万に一の奇跡

小野田さんは、29年間、
ずっと1人でいたようなイメージがあるが、
そうではない。

投降や死亡で、味方がどんどん減り、
1972年10月に、最後まで一緒にいた小塚さんが銃殺されるまで、
2人だったのだ。
それから、1974年2月に、鈴木紀夫青年が、
単独アプローチするまでが、本当の1人である。

私が、映画の冒頭シーンで、
草を背負っているオノダを見て、悲しくなったのは、
背負っていたのが、身を隠す為の草ではなく、
恐ろしい孤独に思えたからだ。

私は当時、鈴木さんの事を、
ミーハーなジャーナリストだと思っていた。

しかし彼は、
次のターゲットである雪男を探しに、ヒマラヤに行き、
遭難して、37才の若さで亡くなった。
何て事!!

そんな人が、チャラい気持ちで、
小野田さんを探すはずはない。

小野田さんが、心の中で上げたのろしが、
鈴木さんに伝わったのだろう。

スパボラのオバタさんが、幼児をみつけた時のように、
何か、自分なら探せる、そんな勘があったのではないか。

彼の思いつきと行動力が、
その後の、小野田さんの40年の人生を、
大きく変えたかと思うと、ゾクッとする。

本当にすごかったのは、鈴木さんだ。

映画の中で、
「これから、どうするんですか?」
「1人になってから、どれくらいたつんですか?」
鈴木青年の問いかけに、私の方が涙した。

オノダは、無表情だった。

上官の命令解除があれば、帰国する。
オノダという鬼が、人間に戻った瞬間だった。

英雄なんかじゃない

陸軍中野学校では、
自分が自分の指揮官であれ、玉砕は許さない、
生きて任務を貫徹せよ、と教育されている。

小野田さんは、戦争が終わっているのは知っていた。
しかし、エリートの兄や父が、拡声器で、
「ひろお、出て来い!」と叫んだところで、
のこのこ出て行けるだろうか。

島民から略奪をくり返し、
30人くらい殺しているのだ。
うかつに出て行くと、殺されかねない。

もっと早く投降していれば、
島民も小塚さんも、死なずにすんだかもしれない。
しかし、あれでは、出るに出られない。

それに、カッコ悪いのは嫌だったと思う。

ラストシーンで、
ヘリコプターの中のオノダは、無表情だった。
(ネットで、涙目だったと書いてる人がいたが、私はそうは思わない。)

ルバング島に残してきた仲間の顔や、
29年間は何だったのかという思いがよぎっても、
これから日本で、何が待ち受けていようとも、
孤独からの解放で、頭はカラッポだったんじゃないかと思う。

小野田さんは、任務を果たしたんじゃない。
「生きる」を貫いたのだ。

迎える日本人の狂気

英雄に仕立て上げられる反面、軍国主義とバッシングされる。
それは、本人の問題なのか?
SNSの無い時代だというのに、
過剰な反応は、今も昔も変わらない。

半年もたたないうちに、別宅に缶詰にされ、
手記を書かされる。(しゃべらされる。)

ゴーストライターが、3年後に、
暴露本を出したなんて知らなかった。

暴露も何も、
小野田さんは、最初から本当の事を語っているのに、
内容がヤバくて、ありのままを書けなかったライターと、
英雄本にしたかった出版社が悪いんじゃないのか?

滞在中の家の池の鯉が、
鷺に狙われる様子を写真に撮りたいと、
1日中カメラを構えていたそうだ。
まるで、ハシビロコウみたいだな。

稀有な人生だったが、自らの経験を生かし、
サバイバル教室に転じた小野田さんは、幸せだったろうか。

本当に強い人ならではの、穏やかな笑顔を拝見して、
そうあってほしいと、私は心から願った。

ちなみに、ネットによると、
最初の頃の、サバイバル教室のメニューは、
そうとうハードだったらしい。
子供相手でも本気なところが、小野田さんらしいと笑える。

91才で亡くなった時、
「え、死んじゃったの。」と、とても寂しかった。
私にとって、小野田さんは、不死身の人だったから。

今頃、鈴木さんと再会しているかなぁ。

身内は言う。
生き延びられたのは、南国だったからだろうと。
そういえば、水木しげる氏も、ラバウルだった。

そういう条件も、運も能力も、
小野田さんにはあったのだろう。

これほど「生きる」事に特化された人はいない。

私が1人になった時、
小野田さんの強さを、思い出そう。

今、ここにいない人は、
誰かが探してくれる事を、待っているかもしれない。

岸田さん、拉致被害者の人達、探してやれよ!!

 

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見ないふりするなよ

2021-10-20 09:22:25 | 映画

ヘビが湾を這うように、列車が行く。
熊本って、こんな景色があったんだ。

「MINAMATA」は、患者に同情している映画ではないね。
みんな、思惑が違うんだよ。

LIFE誌は、売り上げを回復したい。
ユージンは、芸術家だから、美しい写真を撮りたい。
(アイリーンが、患者にポージングさせているくらいだ。)

そのセンセーショナルな作品は、世間を騒がす。

ユージンは、言うじん。
写真とは、

「撮った者は、心を奪われる。」

これって、分かる気する。
私が、バラ園で写真を撮った時、
「何て、凛として、美しいんでしょう!!」って、思ったもん。

それをプリントすると、
被写体がいいのか、私のセンスがいいのか、
すごく良い作品になってたりするんだよね。

正直、この役は、ジョニデじゃなくても成立する。
ジョニデ史上最高の演技なんて、ウソだ。

ただ、ワンシーンだけ、ジョニデらしいのがあった。

患者の母親とアイリーンが、買い物に行くので、
ユージンは、娘の面倒を頼まれる。

「できない!!」と言い張るユージンだったが、結局やるハメになり、
自分のヒゲを、こすりつけてふざけたり、
「あなたの夢が叶うように~♪」みたいな事を、
子守唄のように口ずさむ。

この時の歌が、
未来も希望も無い娘の、ありのままを受け止める、
ジョニデの感性に泣ける。

産業の発展は、いつもリスクを伴う。
人も物事も、何かを得れば何かを失う。

それが原因と気づいても、
海に、メチル水銀化合物を流すのを止める事ができない。
何が、一番大事なのか、その人によって違うから。

國村隼の社長、怖い。

新ドラマ「日本沈没」でも、國村隼は怖い。(笑)

昔、村野武範主演でドラマ化されて、とても良かった。

子供だった私は、なぜか大人目線で、
あの社会派ドラマを見ていた気がする。

五木ひろしの「明日の愛」は、
ドラマティックな主題歌で好きだった。

バラバラになり、他の国へ移動する日本人。
本当に、ああいう事になって初めて、
難民の気持ちが分かるんだろうな。

日本列島は、沈没した。
ひたすら悲しかった。
津波を見た時と、同じような感じだ。

今、気づいた事を、見なかった事にするなよ。
すぐに、行動に移せよ。

みんなの思惑が違うから、なかなかできないけど、
何事も、観察は続けなきゃいけない。
対処は、遅くなってはいけない。
(子殺しもだね。)

小栗旬て、「人と向き合う演技」する人だから、
キャスティングには、生かされてると思う。

 

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育成失格

2021-07-21 09:24:40 | 映画

サンスベリアのスーさんを、腐らせてしまった。
ある朝、突然、3枚の葉のうちの1枚が、倒れていた。

見ると、葉の付け根に、黒いカビのようなものが生え、
折れた部分は、ジクジクしていた。

すごくショックで、その1枚をはがし、
汚れを取って、置き場所を変えた。

買った店に相談しに行き、今度、鉢を大きくして、
スタッフに、植え替えしてもらう事にした。

しかし、その前日、
今度は、根そのものに青カビが生えていたのだ。

オーマイガッ!!

もはや、日本語では言い表せない。
スーさん、ごめん!!

私は、育成をあきらめた。
いや本当は、面倒くさくなったのかもしれない。

スーさんの葉を切り、なぜか、洗濯バサミに吊るした。
ドライ葉にならないだろうか。

マイナスイオンを出してくれるという、丈夫なサンスベリア。
湿った部屋で、スーさんは、自ら弱っていった。

そんな部屋で過ごしている私は、大丈夫なのだろうか。
ゾッとした。

死体保存

ちょうどその頃、映画「アーク」を観た。

プラスティネーションで、死体をオブジェにする。

写真ならまだしも、
生前の動画さえ見たくないと思う私は、
そんなもの飾りたくないが。

大切な人は、心の中にはいても、
死体は忘れなきゃ、前に進めないよ。

不老不死のシステムができて、
永遠の命を得る者と、
貧乏人や抽選もれの間に、格差が生じる。

腹にブスッと注入するのは、インシュリンを思わせる。

芳根京子に、この役は難しい。
しかし、彼女のエイジレスなルックスは、
「べっぴんさん」で証明済みだ。

「生と死は対極じゃない。死は生の中にある。」

エマの言う事は、正しい。

少子化、自殺者の増加は、当然の結果だろう。

永遠に生きるのが可能になれば、
生きるのが辛くても生きるか、それとも死ぬか、
自分で決めなきゃならないんだぞ。
ありえそうで、ありえない話だ。

つーか、やっば金なんだな。(笑)
金持ちで運がいい人、それでも幸せとは限らない。

 

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映画ザンマイ

2021-06-23 11:16:58 | 映画

ローズメイカー

バラ園に行ったせいか、
映画館で、ふと目に留まったチラシ。
持って帰ったが、観る予定じゃなかった。

しばらくたって、身内が興味を示したので、
一緒に観に行く事に。

これが何と、大いなる佳作!! 

状況と心情を、上映時間内に、
バランス良く収めている。
そして、意外にも予定調和じゃない。

ストーリーからして、「結果」が重要なのであるが、
クライマックスを大袈裟にするという、
やりがちな失敗をしていない。

バラ園のオーナーが、旅立つ青年に贈る言葉は、
優しくてもパンチがある。

私は、彼女の言葉にうなずき、涙した。

この映画は、サクセスストーリーじゃない。
第一関門を突破しただけ。
未来は続くのだから。

“あきらめない事”が、奇跡を生む。
観た人の心の中に、花を咲かせる。

ラストシーンが、オシャレ。
さすが、おフランス!!

キャラクター

セカオワのフカセが、
ハマり役だと思って観に行ったのだが、
期待以上に怖過ぎる。(笑)

小栗旬は、やっぱりいいなぁ。
いつも、その役と仲良しになって、入っていく感じ。

映画「響」では、暗い作家だった小栗旬、泣けたよ!!

しかし、あんな事になるとはなぁ。
やっぱさー、いくら人権云々言っても、
人殺しするようなキチガイを、
野放しにしないでほしいよ。

こいつを生かしちゃおけない。
大切な人を守る為の殺意、分かる。

私はその時、明智光秀の気持ちになったよ。
その後の自分なんて、もうどうでもいいのよ。

ただ、心配になったのは、菅田将暉。
「コントが始まる」と、同じ演技になっちゃってる。
ナチュラル過ぎて、棒読み。

「キャラクター」が無くなっちゃったのは、
彼自身じゃないのか?
忙し過ぎて、菅田将暉まで、いなくなっちゃってないか?

ドラマ「35歳の高校生」で、
スクールカーストのトップの生徒役だった菅田は、
本当に嫌な奴で、上手かったのに。

「恋は雨上がりのように」と同じ監督なのだが、
BGMが良かった記憶があり、今回も期待していたんだが、
やっぱり良かった!!

 

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このピアノで前へ踏み出せ

2020-10-15 10:39:05 | 映画

金持ちも貧乏人も、トランスジェンダーも、
みんな不幸である。

私は、もっと違うストーリーを想像していた。
しかし、現実は、こんなものかもしれないと、
かえって納得した。

「パラサイト」を観た時のように、
人は「それでも生きてゆく」のだ。

イチモツの手術も、血だらけのオムツも、
生々しかった。
観た日の夜は、ずっとこの映画の事を考えていた。

いつも思うのは、
草彅剛は、役にハマッていても、
相手に、愛を渡せていない。

彼は、あまり人を好きになったりしないんじゃないか。
彼の恋愛ドラマは、いつも恋人同士に見えない。

今回も、2時間ワクでは、
母親になっていくプロセスが足りず、
どっちかというと、歩み寄ったのは一果の方だと思った。

草彅本人が、女っぽさを、
あえて抑えたというのは、よく分かる。

しかし、どうもあのカツラが、よくなかった気がする。
コスプレのように見えてしまい、
その上、「案外ガタイがいいな。」と思ってしまった。

せめて、文春のグラビアぐらい、
綺麗に撮れていたら。

むしろ、男として働くと決めて、
短髪になった時の凪沙の顔が優しく、
一番母親に見えた瞬間だった。

つまり、見た目が「女」である事=「母親」
というわけではないのである。

倒れたはずみで、トレンチコートがはだけて、
いきなり乳房が見えてしまうなんて、ありえない。(笑)
「化け物!!」と言わせる為の演出だろうが。

結局、出演シーンが少ない水川あさみ
(金髪過ぎて、最初誰か分からなかった。)の方が、
エキセントリックな「女」そのものであり、
一果の卒業式を勝ち取った「母親」なのである。

田中俊介って人は知らなかったが、
本当にトランスジェンダーの人に、
オファーしたのかと思ったよ。

2人の若い新人は、存在感があったね。
「~なったよ。」「なってないよ。」の、
気だるい掛け合いが、面白かった。

屋上のパーティーで、踊り始めたりんが、
飛ぶだろうという事は、誰もが予測できたろう。

一果の、赤いリュックが気になった。
色は赤でも、ダラッとした感じが、
一果そのものに思えた。

正直、「ミッドナイトスワン」は、
服部樹咲が主演の映画である。

バレエが踊れるのが条件だったようだが、
制作サイドの話でも、上映劇場においても、
涙が出るのは、彼女が踊っているシーンである。

その汚れの無さに、圧倒される。

どんなに周りが、悲惨な状況であっても、
一果だけが、自分の才能に活路を見いだす。

映画とは違うラストだという原作も、読んでみたい。

全編を覆うピアノ曲が、すごく良い!!
一果を後押しするかのように、力強く流れる。
このピアノを聴くだけでも、価値がある。

男が男の姿のまま、男を愛するなら、
パートナーもみつかるだろうが、
女そのものになって、男を愛した場合、
辛いんじゃないのか。
相手が、女の姿を望む人なら、
最初から、普通の女と付き合うだろうし。

ちなみに、違いはあるだろうが、
私は、IKKOさん好きだし、
ナジャ・グランディーバが、
ドラァグクイーンとして踊っているのを見て、
「カッコいい!!」と思ったよ。

この映画は、後半はしょっていて雑だが、
それを、いいとか悪いとか言うより、
人は必死に生きていても、
思い通りにならない事の方が多いと、
「納得」させてくれる作品である。

金持ちも貧乏人も、トランスジェンダーも、
無理をしなければ、決して不幸ではない。

 

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すごい映画が来た

2020-02-12 09:32:40 | 映画

「パラサイト 半地下家族」は、
本当に、ブラボーな映画だった。
久しぶりに、観て良かったと思えた。

社会問題を扱いながらも、暗くない。
面白くて、切なくて、ハラハラして、怖くて、
ラストは、何だかファンタジー。

人の感情、あらゆる事、ありえる事が、
デフォルメされた、エンターテイメント作品だ。
映画で、あんなに色んな事が、表現できるなんて!!

ウソをついて就職したが、
それぞれが、ちゃんと仕事をこなしている。
ネガティブな事を言う人がいないので、誰が悪いとも思えず、
観ていて嫌な気分にならない。

ソン・ガンホが、辞めさせた運転手の、
「次の就職先、みつかったかな。」
と気にした事に、ホッとした。

「計画を立てるな。」という言葉に、涙が出た。
何だか、あの言葉に、私が救われた気がした。

みんな言ってるが、IT社長の奥さん、
チョ・ヨジュンは美人だ。

ジャージャー麺を作るのを見て、
あんなにハラハラした事はない。

正しくは、2つのインスタントラーメンを合わせて作るものらしいが、
私は、普通のジャージャー麺が食べたくなって、
スーパーに行ったら、「冬は置いていない。」と言われた。(笑)

パク社長は、キムを「臭い。」と思っているだけで、
本人に向かって言ったわけではない。

キムは、何度も我慢したが、
彼にとっては、「臭い」=「半地下野郎!」なのだ。

その「半地下野郎」が、「地下野郎」を閉じ込めて、
元家政婦の奥さんが、階段から転げ落ちて死んだら、
いくら地上で、「食事を持って行ってあげて。」と話していても、
「地下野郎」は、知るよしもなく、
「キム一家を、みな殺しにしてやる!」と思っても、しかたないだろう。

本当の事は伝わらないまま、悲劇は起こってしまう。

目の前で、家庭教師が殺され、
卒倒した子供は、トラウマになるだろうな~。

ワイヤーで首をくくられ、引っ張られた息子は、
死ぬかと思ったが、さすがに、主役は生きていた。

エンディングを歌っているのは、
彼、ウシク本人なんだってね。
カントリーなアレンジ、歌詞も今風で良かった。

本当に、ハリウッド映画に、勝るとも劣らない、
完璧な韓国映画だった。(アカデミー賞の作品賞を受賞!!)

場内の明かりが点いて、隣にいた身内と、
「面白かった!!  すごいね~。」と、
意見が合ったのは初めてだ。

昨今の、韓国の日本に対する過去の恨みが、
あまりにしつこいので、ウンザリしていたが、
この映画は、韓国の事情を見直すキッカケとなり、
印象回復に、貢献するのではないか。

観た後に、多くを語りたくなり、人に勧めたくなる。

この映画を観ずして、何を観る!!

 

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ヘボミアンな私

2019-03-20 09:37:06 | 映画

「ボヘミアン・ラプソディ」を観た。

私は当時、クイーンを聴いていたわけではないが、曲は知っている。
友人には、熱狂的なファンがいた。

その友人は、この映画が始まった時、なぜかすぐに観に行かず、
しばらくして、「何度も行っている。」と報告してきた。

それを知った私は、懐かしさもあり、感想を共有したくて、
終わりそうな頃に、あわてて観に行った。

彼女に、「観たよ。感想は又。」とメールしたら、
「感想はけっこう。人それぞれなので。というか、聞くのが恐い。」
「え、何で?」

人や物事に、完全否定、完全肯定など、ありえない。
そんなの、かえって胡散臭い。
私は、色んなところを観てるのだ。

しかし、彼女は決めつけた。
私が、ネガティブな事を言うと。
「手紙を書くつもりだったけど、止めとく。」
「ごめん。ポジティブな事なら歓迎。」

そうか。
彼女にとって、クイーンは聖域なのだ。

学生時代、もの静かで、聞き役だった彼女が今、
自分の考えを言っているのだ。
スルーできない。
こちらが、好意的に言った事でも、
何が、彼女を傷つけるか分からない。

そして何より、

ウザがられるのが恐い。

私は、これを感じると、もう人と話したくなくなる。

確かに、他人の意見など、聞きたくない人だっているだろう。
しかし私は、相手の好みや苦手、考えを知る事は、
上手く付き合っていく為の、情報収集だと思っている。

彼女が悪いのではないが、興ざめした。
そして、ひたすら淋しかった。
私は、彼女に、手紙を出すのを止めた。

私の感想

ラミ・マレックの歯、あれは自前なのか?
何だか、セリフが言いにくそうだったが。

フレディに似させる為に、デッ歯を入れていたなら、
止めた方がいいと思った。

最初に出て来た時は、マイケル・ジャクソンかと思ったよ。

ラミの、あの演技は、上手いのか?
学生時代から晩年まで、ずっと好青年に見えてしまった。

追随を許さない歌唱で魅了したフレディは、
もっと、イッちゃってる感がある人だと思ってたんだが、
他のメンバーの方が、よっぽどロッカーに見えた。

部屋着が着物風だったのは、親日家だからか?

フレディは、レディー・ガガとかぶるな、と思った。
ピアノの弾き語りしている横顔なんか、
見た目は違っても、表情、魂が、似ている気がした。

彼は、ソロじゃない。
あくまで、バンドのボーカルだから良いのだ。

しかし、「ボヘミアン・ラプソディ」の出だしは、
あんな内容を歌っていたんだね。
知らなかった。(汗)

ファンじゃなくても、歌をもっと聴きたかった。
いっその事、ドキュメンタリー映画で良かった。

 

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平手打ち響き蹴り

2018-10-24 09:35:02 | 映画

単なるアイドル映画ではなかったね。
小説家がテーマだったから、観に行った。

響のバイオレンス以外は、
普通にありえる出版界の話だと思う。

今回、北川さんは、ごく普通の編集者。
彼女は、求められた役を、いつもキチンと演る人だね。

駅の階段を降りてくる、ピンボケの響は、
まるでホラーだった。 怖っ!

アヤカ・ウィルソンのハーフな顔立ちから、
チャラい演技を、想像していたのだが(人種差別?)、
平手より前に出る事なく、
彼女を上手くリードしていて、とても良かった。

「とりあえず、1ケ月は絶交ね。」も、
小説家の女子らしい、イキなセリフだ。
裏返せば、いずれ元の関係に戻りたいという事だろう。

そういえば、民主支持したテイラー・スウィフトに対し、
トランプが、「25%好きじゃなくなった。」とコメントしたが、
あれも、数字で表わすところが、経済人らしくて面白かった。
「全て嫌いになったわけじゃない。」
女性差別と言われるトランプだが、
実際は、女性に気を遣うタイプに思える。

小栗旬は、追加キャストだったらしいが、
とんでもなく必要だった。

あの小栗旬が、終始暗いのだよ。
辛さがシンクロして、不覚にも、
彼が、遮断機に手をかけたところで泣いてしまった。

しかし、「人が面白いと思った小説に、
作家の分際で、何ケチつけてんのよ。」と言われたら、
「そうか。」と思うよね。
芥川賞にノミネートされない人だって、たくさんいるんだから。

言葉は、伝え方、受けとめ方によって、
ネガティブにも、ポジティブにも、なりうる。

ああ、私も、響みたいに、
ムカつく奴に、飛び蹴りしてーな!!

 

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恋は稲妻のように

2018-07-18 09:39:45 | 映画

友人の手紙の追伸に、
「『恋は雨上がりのように』が、思いのほか良かったです。」とあった。
この一文で、観に行く気になった。

新刊コーナーの、オススメ本のセンスが良い本屋でも、
原作コミックと共に、映画が紹介されていたので、
ますます気になった。

ファミレスのバイトには、思い入れがあった。

しかし、大泉洋のルックスと、上映時間が、
私に合わなかったのだ。

お金が無いので、1100円の日にしか観ない事にしている。

あきらめていたその日、仕事から帰ってヘトヘトで、
缶ビールを飲んでいたら、急にゴキゲンになり、
居眠り覚悟で、映画館へ向かった。

作品は、「思いのほか」どうという事もなかった。(笑)

まかないに、あんなサンドイッチが出されるなんて、ありえない!
私が、バイトしていた当時、コックは、
ランチタイムにサンドイッチをオーダーされると、
手間がかかるので嫌がっていた。
それを、従業員に出すなんて。

それに、まかないは、全員同じ物を食べていたし、
モテる子だけにオマケだなんて、ヒドイ!
サンドイッチといい、オマケといい、今はアリなのか?

「じゃあ何で、こんなに胸がちぎれそうなの?」

この映画は、この一言に集約されている。

貴方が、さえない男だなんて言い訳は、
どうでもいい事なのだ。
彼女にとっては、必要な時に、
必要なものを与えてくれた、唯一の人なのだから。

たとえ、恋が雨上がりのように始まっても、
その感情は、稲妻のように激しい。

若くストレートな感情が、大人を困らせる事や、
あきらめさせる為の、一度だけのデートを、
懐かしく思い出した。

店長が、あきらの告白に困惑しつつも、
小説を書き上げてゆくのを見て、
まさに、「芸術に恋は不可欠」だと思った。

片想いも、迷惑をかけるばかりではなく、刺激にもなると、
今更だが、改めて驚嘆。

しかし、濱田マリ、他人の小説を勝手に読むなよ。(笑)
ファミレスのパートに、濱田マリみたいな人いる!

恋は音楽のように

あの夜、バイト仲間と便乗した、主任の車の中で聴いた、
山下達郎の「ペイパー・ドール」は、カッコ良すぎた。
(ただし、カセットテープはバイトの子の物。)

別の映画のエンディングで、
山下達郎が歌う「REBORN」を聴いた時、
劇中で、他の役者が歌っているのとは、
まるで違ったので、鳥肌たった。

「クリスマス・イブ」もそうだが、
山下達郎の歌をカブせると、
どんな恋も、オシャレになる気がする。

この映画は、山下達郎じゃないが、
大泉の間の抜けた顔に、似合わないサントラは、
「思いのほか」良かった。

店長が昇進したら、店からいなくなる。
あきらに残された「友達ならメールを。」というアプローチも、
今の時代だから、できる事だ。

「フラれても、そのくらい聞いておけ。」
私は心の中で、
彼女のあきらめきれぬ恋を、後押しした。

もう恋はできなくても、
恋を思い出す方法は、いくらでもある。

 

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