ノーブル・ノーズの花の穴

麗しき本音のつぶや記
~月に1度ブログ~

思い込みはスパイシー

2024-05-22 09:33:58 | 気になる

てっきり、太ったインド人が出て来ると思っていた。
だが、目の前には、
タトゥーの彫り師みたいな店主がいて、
「1人?」と聞かれた。

その瞳は、グレーに透けていて、
外国人かと思っていたが、
後に、日本人だと知る。

無愛想だと書かれていたが、
テキパキやってるだけで、
放っておかれたい私には、問題無し。
タメ口で辛さの説明も、噂通り。

この店は、日本人に寄せていない。
私は、まず、「マイルド」にした。

豆とシーフードのセットに、ナンをチョイス。
いつもなら、「ドリンクは後で。」と言うのだが、
マンゴーラッシーを飲みながらの方がいいかと、
そのまま任せた。

ランチタイムも、ピークをはずしたので、
客はそこそこで、落ち着ける。
やがて、私1人になった。

とっつきにくい方が、興味がわく。
分かりやすい見た目から、人生を勝手に想像する。

「日本語、上手いね。」「どちらの国の方ですか?」
死ぬほど、言われてきただろう。

今まで、瞳の色など、気にした事がなかったが、
透けたグレーを、初めて美しいと思った。
しかし、それを褒めてはいけない。

「種類がたくさんあるから、又来てくださいね。」
確かに、帰りだけ愛想がいい。

なるほど、他のも食べてみたくなった。

翌月、ドアを押しても開かず、
引き戸だったかと、初めて気づいた。

店主の顔を、全て見ていた気がしたが、
この日は、ベージュのマスクをしていた。

私は、一番高いスペシャルセットに、
マンゴーラッシーのサイズをアップした。

若い男性が、目をキラキラさせて、
元車屋の店主に、話しかけている。

「妻子とスーパーに行くと、派手な車が目立って恥ずかしい。
もう少し、おとなしめのにしようと思うが、何がいいか。
しかし、乗り心地がいいので、本当は変えたくない。」

この男性は、車の話をしたいが為に、
この店に来ているのではないか?
レジで精算しても、なかなか帰ろうとしなかった。
店主は、ほとんどしゃべっていなかったが、
表情は見ていない。

後から、黒いトレンチコートの綺麗な女性が来て、
ナンもライスも抜きで注文していたので、衝撃を受けた。

黒いトレンチコートの女性と、
ジャンパーの年配女性と、
私だけになった。

私の柄Gジャンにドン引きしたのか、
はたまた、女性客だけになったせいか、
シャイな?店主は、奥の席に行ってしまい、
PCを見ながら、マスクをずらした。

遠目に見たそれは、
イメージと、少し違っていた。

リピーターがいるのは、味のせいかと思っていたが、
店主の無愛想と、BARのような店内が、
落ち着くからではないか。

そして、透けたグレーの瞳と。

脳は、思い込みが激しい。
味も顔も、変わる。

先日、食べ物フェスタと酒フェスタを、
ハシゴした。

炎天下、薔薇の公園、
ギャル曽根のような腹だったら、
もっと食べるのにと思った。

酔うと、知らない人とでも、
気さくに話せるのが楽しい。
あの地域だからか。

インポートの、ジャラジャラしたイルカのネックレス、
三度目に行ったら、
「今さっき、売れた。」と言われた。

合金は変色すると、二度目の時に聞き、
止めてしまった私が悪い。
何も考えず、「あら、ステキ。」と買っていった、
その人の勝ちなのだ。

テンション下がって、涙が出た。

身内が、買ってくれると言うので、
嬉しくて、買う気満々だった。

お金も無い。
楽しい事など、何も無い。
でも、美味しい物は食べたい。

人生には、スパイスが必要だ。


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