湘南モノレールは、
遊園地のアトラクションみたいに、
ガタゴト揺れて、楽しい。
えのすい+1日フリー乗車券で行く、
朝一の水族館。
2つ目の駅で、一気に通勤客が降り、
やっと平日の休みを、実感できた。
カフェの入口にある、大きなテディベアの頭をポンポンして、
店内に入って行くサラリーマンを目で追いながら、
シャッターが閉まった通りを行く。
濃紺の富士山につられて、
入館が遅くなった。
入ってすぐのフォトスポットで、スタッフから、
「無料のポストカードを差し上げています。」と呼びかけられ、
青いヒトデを持って、精一杯のスマイル。
以前は、個人のスマホで撮ってくれたのだが、
今回は、ダメらしい。
まず、見せられたのが、
えのすいのイラストフレームに入った写真。
「これが、無料なの!?」と、手を伸ばすと、
「違います。こちらは、1300円です。」と、引っ込められた。(笑)
代わりに差し出されたのは、
私が、小さくレイアウトされたポストカード。
ディズニーランド商法か。
滅多に来ない記念に、私はまんまと、
1300円の写真も、買ってしまった。
振り返ると、誰も買っていなかった。(笑)
ゆっくり回ろうと思っていたが、
イルカショーの時間が気になり、
早めに、前の方の席に着いた。
平日でも、家族連れが、どんどんやってくる。
ショーが始まって、
私は、ある異変に気づいた。
以前は、エサをもらわずに、
連続で演技ができるのが売りのショーだったのに、
今回、前半は、イルカとトレーナーの訓練の解説。
たまにジャンプ。
後半は、パンパパンの手拍子の合いの手に、
イルカが、一斉に「ピューッ!!」と鳴くだけ。
最後に、3匹が同時に、空中回転して終わり。
何かおかしいと思い、後日調べたら、
ショーに対するキツい文句と同時に、
ある記述をみつけた。
法改正により、今後、
イルカの飼育やショーは、廃止になるらしい。
欧米での、イルカショー廃止の流れ、
太地町の追い込み漁で、捕獲されたイルカの一部が、
水族館に売られている事、
イルカが、高等動物だからとか、
色々な理由が重なっているようだ。
「なぜ、イルカだけ?」という思いはあるが、
えのすいのイルカショーの変化も、
その影響かもしれない。
いずれにせよ、私達の「楽しい」「悲しい」の基準は、
人間が勝手にそうしている、そう思っているだけの事なのだ。
でも、それに抗えないまま、
えのすいに、癒やしを求めにやって来てしまっている私がいる。
飲食持ち込みOKなので、目立たぬ場所に移動して、
自作おにぎりとウィンナを食べていたら、
2回目のショーが、始まってしまった。
タッチコーナーでは、
久しぶりに、大好きなタツナミガイに会えた。
この日は、大小2匹のみ。
相変わらず、プニプニして可愛い。
子供嫌いな私が、小さい男の子と意気投合。
父親は、息子が、
知らないババァとタツナミガイと一緒に、
スタッフに写真を撮ってもらっていても、
全く、介入せず。(笑)
以前、飲みそびれた「光るカクテル」は、
あるはずもなかったが、何か記念にと思った。
「スターライトパルフェ」には、行列ができていたが、
売り場別で、付いてくるキーホルダーが違う
「ブルーソーダ」は、すぐに買えた。
イルカのキーホルダーは可愛くて、
中に入っているカラフルなツブツブは、
真上から撮ると、思いのほか美しかった。
ギャン泣きしている女児が、目の前を通っても、
江ノ島を背に自撮りしたら、イライラする事もなかった。
大水槽の最前列で、体育座りし、
「フィンズ」が始まるのを待つ。
左側の幼児が、落ち着きなく寄って来るので、
足先で押し戻す。
運が悪い事に、右側には、
さっきギャン泣きしていた女児がいて、
又、泣き始めた。
この日、一番うるさい子だった。
水族館は、子供向けの施設なのか。
そう信じている母親が、
6年前の週末、えのすいに来て、
文句を書き込んでいるのを読んだ。
そもそも週末は、どこも混雑するものなのに、
自分の子優先の母親の言い分に呆れ果て、
薄笑いさえ、浮かべてしまった。
「リピートしないでしょう。」
「二度と来んな。」
クラゲコーナーは、美しい。
水中でヒラヒラする姿を、いつまでも見ていたい。
再入場できる事だし、
ドラマの中で、友人と話題になった、
ハワイアンジュエリーの店に寄る為に、
いったん、外に出た。
興味があるのは、私ではなく友人なのだが、
店の人に、ドラマの話をすると、
2軒とも、ホエールテールは売れているとの事だった。
歩いている方向を考えたら、
もう、再入場する気にはなれなかった。
ここで、夕食を取りたかった私は、
サラリーマンが、頭をポンポンしていたカフェに入った。
冷蔵庫のように冷えた店の2階席は、
閉店したスタバの代わりにでもなったかのように、
仕事や勉強する人で、一杯だった。
私は、タラコスパゲティを食べながら、
こじんまりした「えのすい」に、
満足した自分を反芻していた。
高い入館料も、騒がしい子供達も、
損した気分にはさせず、
帰りのモノレールはガタゴトと、
行きにも増して、私を楽しくさせた。