週刊誌で読んだ、おすぎのコメントが辛口だった「プレステージ」。
それでも私は、ウルヴァリン役で好きになった、ヒュー・ジャックマンの出演と、
「メメント」の監督作品だというので、観に行く事に決めた。
その「芸術」を成り立たせる為に、3つの段階があるのは、
どこか「パフューム」に似ている気がした。
「パフューム」では
ヘッド ハート ベース
「プレステージ」では
プレッジ (確認) ターン(展開) プレステージ(偉業)
他にも共通しているのは
主人公がしつこい。(笑)
究極を求めたがゆえの悲劇。
サスペンスとしての「オチ」が批判されてしまう。
たが、「パフューム」で感動していた私にとって、「プレステージ」はとても良かった。
キース・リチャーズだけが良かった「パイレーツ3」より、お勧めだ。
わからなくても伝わる
「瞬間移動」マシーンの閃光は、「タイムマシーン」の起動を思い出させた。
実は私は、「タイムマシーン」を観て、ガイ・ピアースが気になり、
ガイ・ピアースの主演作「メメント」を観て、監督が気になったのだ。
好みは巡るものである。
クリストファー・ノーラン監督は、空間(スケール)を広げはしないが、
心の闇は深く掘り下げる。
19世紀のロンドンの怪しさが、それをより際立たせる。
クールな映像が美しい。
だから、リアルなマジックがSFになろうとも、私は気にしない。
どんな形をとろうと、大切な事は伝わってくるからだ。
時間か交錯するので、一度観ただけでは理解しにくい。
どっちが誰の日記を読んでるんだ???
パンフレットを開いたら、もう一度観たくなってしまう。
全体的に、言葉の1つ1つが、どれも切ない。
観ていて、一番ショックだったのは、「オチ」よりも「ぴよ」。
(この一言で全てを語る、サナダ虫さんのエントリーより言葉をお借りした。)
そして、「うっ、本当はそうだったの?!」と、心が痛んだのが、
溺れるアンジャー(この時のヒューの表情はすごい。)を見た時のボーデンの行動。
どちらも悲しくて、タメ息が出る…。
ヒュー様、ステキ!
本当はボーデンより、アンジャーの方が、ひねくれているのに、
私はどうしても、アンジャーに肩入れしてしまう。
それは、陥れられるボーデンの方が、いつも「上手」に思えるからだ。
「銃弾つかみ」の前に、わざと簡単な芸を、ムキになってやって見せる彼の表情は、
ゾッとするほど恐い。
不謹慎にも、嫌がらせの応酬には、ワクワクさせられた。
アンジャーのように、一見余裕がありそうな者ほど、実は必死だったりする。
そして、ワガママも可愛い。
私も、アンジャーのアシスタント兼「女」になりたい。
ボーデンの手伝いなんかしない。
(どれもこれも、ヒューだからか。笑)
それにしても、ヒューの立居振舞は、どうしていつも、あんなに決まるのか!
ワイルドなウルヴァリンにしても、気品のあるアンジャーにしても、
本当に華がある。
彼が、舞台役者でもあるせいか。
眉間のシワさえカッコいい!!
無表情のテスラが、デヴィッド・ボウイだったとは!!
どっちが本物?
真実は、意外とシンプルだったりするのに、タネを明かされても疑ってしまう。
人の心ほど、トリックなものはない。
マジックのタネどころか、1人の人間の本性さえ、簡単に見破れない。
お互いに、タネ明かしをしない方が幸せなのか…。
「替え玉」という言葉が、こんなに悲しく響いた事は、今までなかった。
あの2人と共に、奈落の底へ落ちた私は、
たとえ全てが偽物でも、ドラマティックな気分に満たされていた。