ノーブル・ノーズの花の穴

麗しき本音のつぶや記
~月に1度ブログ~

世捨て人

2015-03-18 12:33:55 | Weblog

3月11日に、19才になった遺族の女子が、弔辞を語っていた。

家族5人流され、自分はガレキの山に乗り上げたものの、
身動きとれぬ母が、「行かないで。」と言うのに、助ける事ができず、
「愛してる。ありがとう。」と残し、自分は泳いで助かったと。

目の前に浮かぶようだ。
4年前のトラウマを、よく語らせたなと思った。
あまりに酷である。

当事者の思いなど、当事者にしか分からない。
私は、静かに見守りたい。

当時、他県から移住して来て、
山間部で被害に合わなかった人が、物資支援しようとしたら、
「よそ者」と言われたそうだ。
私なら、二度と助けない。

だから、復興支援ソングは嫌いだ。

スーパーが、「時間になったら黙祷します。」とアナウンスした。
私は、そそくさと、時間前に脱出した。
電車の訓練にも、ひっかかりたくないと思った。

復興と言うけれど、
同じ津波が来るような場所に、家は建てない方がいいし、
放射性物質の実態が、隠されている以上、
元の家に戻る事がいいのか分からない。

所有しているものが、多ければ多いほど、
人は執着し、身動き取れなくなってしまう。

この体に入り込んだ、自分の意識は何なのだ?と思うけれど、
しょせん体は、レンタルに過ぎない。

この世の中は、偽善者と、タチの悪いバカしかいない。
考え方は違ってもいいが、お互いを受け入れるのは難しい。

マイノリティーは、見捨てられる。
意見を言ってもムダだ。

近所も職場も、嫌いな奴ばかりだ。
心の中は、テロリストだ。
近所のY、ムカつく!

情のある友人と関わるのも、あきらめた。
昔からの女友達のメールなのに、イラッとする。

TVは、同じニュースばかり繰り返す。

これは、洗脳だ。
誘導的で、自分で考える力を奪う。
みんな、同じ事しかしなくなる。
うっとうしいから消す。

スマホにも、ジブリにも、興味無い。
わざとらしいCMも、見たくない。

世の中、ウソだらけ、敵だらけだ。

同じウソでも、気に入ったドラマを見るのは楽しい。

もう、それだけだ。
何もいらん。

貧乏と、1人に、耐える訓練をしなければ。

 

 

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向かい風特攻隊

2015-03-18 09:31:33 | ドラマ

向井理、大人の男になったねぇ。
役者として、こんなに成長していたとは驚いた。

思えば、初主演ドラマ「傍聴マニア 09」では、
六角精児にリードされてる、さえない青年。
「ゲゲゲの女房」では、うつむきかげんの水木しげる。

目立たない事が目立っている、そんな役者だった。

今まで彼の事を、カッコいいと思った事も、
興味を持った事も無かった。
しかし今回の、宮部久蔵は違った!!

特攻隊がカッコいいなんて、不謹慎な事は言わない。
向井の演技が、カッコいい!!

ヒーローじゃない

私は、百田尚樹の原作も、岡田准一の映画も、見ていない。

この作品はもう、向井理のドラマだけでいいと思っている。

「永遠の0」に、感動したんじゃない。
向井理の演技に、感動したのだ。

もっと正しく言えば、
向井理そのものにではなく、宮部久蔵としてだけでなく、
「向井久蔵」が良かったのだ。

だってさ、映画監督は、アカデミー賞のコメントで、
自分の作品を、〝エンターテインメント″と言ったんだよ。
戦争ものを、〝娯楽″と言い切る事に、イラッとした。

「永遠の0」は、フィクションという形をとった真実だろうが。
そんな意識で作られた映画など、見たくない。

それに、岡田准一が、あの端正なクドい顔で演じると、
ただのヒーローに、なりかねない。

岡田は、役者として大成し過ぎた。
テクが身につくと、もはや、オンとオフしか無い。

しかし、向井の場合、端正だが地味な顔ゆえ、
過剰に表現される事なく、リアルに伝わって来る。

別キャラ

かつて、ゴリが、バラエティー番組で扮した「ゴリエ」、
ジョニデの「ジャック・スパロウ」、
ヒュー・ジャックマンの「ウルヴァリン」など、
本人から離脱し、別物になったキャラクターに、魅了された事はあったが、
「向井久蔵」も、まさしくそうである。
比べるものが、すご過ぎるか?(笑)

そう言えば、向井は、
「信長協奏曲」での「ツネちゃん」も、ハマり役だった。

彼は最近、演じるのが上手くなったというよりも、
演じる相手を、自分に中に取り込むのが上手くなったように思う。

「ツネちゃん」や「宮部久蔵」が、
本当はどういう人なのかなんて、このさいどうでもいいのだ。
向井によって取り込まれた、「その人」が生きているのである。

向井はすでに、片腕の水木しげるを演じている。
戦中、戦後を、よく学んでいるのだろう。

同じ目にあらず

鹿屋に移った時の、死んだような目を見た時、
こういう状況なら、ああいう目になるだろうなと、ひどく納得した。

それからしばらく、私も同じ目になっていた。
自分のちっぽけな不安に、
宮部の憂鬱が、重くのしかかってきたのだ。

上官の恫喝に、「命は…、惜しいです。」と、緊迫する言葉の間、
大石に、一縷の望みを託す、必死の眉間、

直掩する景浦に向ける、静かなまなざしは、
後に、「死を覚悟していない目」と言われるが、
すごく難しい要求だよなぁ。
しかし、その時の向井の目を見ると、「なるほど。」と思う。

理不尽のあまり、頬だけピクリと動いている事さえあった。

別れの杯を受ける、宮部の姿勢は、他の誰より真っすぐだ。
飲み干すうつろな表情のアップは、下からのアングル。
杯は静かに、手から落ちる。

宮部は、常に激しい怒りを抱きつつ、
その先にある死を見つめ、
向井は、それぞれのシーンで、まるで違う表情を見せた。

目下の者に、いつも敬語なのも、人となりを感じさせる。

特攻前の、大石との会話で、譲ったコートについて、
「夏には不要です。…では、征きましょうか。」の、
抑えたトーンなど、もはや、向井の声じゃない!!
悲しくて、身震いがした。

写真の裏に、大石宛てのメッセージをしたため、
慟哭するシーンは、普段、無表情なイメージの向井が、
あんな顔するなんて、衝撃だったよ。
見ていて、苦しかった。

シンクロ率100%

今回のドラマの視聴率が、9%などと書かれていたが、
キャスティングや演出の良し悪しに、バラつきはあったものの、
向井の演技は、100%見るに値する。

彼が、どれだけ難しい演出に応えていたか、
なぜ、分からんのだ?
向井理は、宮部久蔵と、見事にシンクロしていた。

公式サイトの書き込みに、
「このドラマを育ててほしい。」という意見があったが、同感だ。
「宮部久蔵」を、戦争への「怒りの象徴」として残すべきだ。
臆病者でもいい。テーマは、「生きろ」だ。

妻をめとらば

彼はその時、国仲涼子を思い浮かべただろうか。
「必ず、君の元へ戻って来る。」と、妻を抱きしめた時、
自分なら、彼女を残して死ねない、と思っただろうか。

向井の成長は、国仲の存在によるところも、大きいのかもしれない。

今まで他人を、ましてやカップルなど、
羨んだ事など無かったが、初めて、
向井と国仲のように、綺麗なカップルもいるんだよねぇ、と思った。

向井のように長身だと、まるでミリタリーファッションのモデルだ。
普通ならダボつく特攻服を、ストンと着こなしている。
モコモコの耳あてが、小さい顔に、とってもお似合い。

そう言えば、向井の顔って、「スチュアート・リトル」に似てる。(笑)

松也の色気

向井以外に特筆すべきは、景浦を演じた尾上松也である。

さすが、歌舞伎役者の視線には、情念が感じられた。
宮部を憎めば憎むほど、男として惹かれてしまう。
その相反する感情に、ゾクッとした。

老いた景浦は、宮部の孫に抱きついた時、
すなわち、宮部のDNAを抱きしめたのだ。
彼はもう一度、宮部に会いたかったのだ。
松也の演技があったからこそ、柄本明につながった。

しかし、なぜ、宮部の特攻が、前日の夜か当日に決まったのか。
これは誰もが、疑問に思っている。

ストーリーを変える

私なら、原作の最後を変えるかもしれない。(笑)

もはや、夫婦の純愛などいらん。

短い蜜月でも、2人はなぜ、あれほど思いやり、子供までできたのか。
緊迫した状況下におかれた夫婦に、
無条件の愛情とエロティズムを感じる。
もう、それ以上、描く必要はあるまい。

宮部には、大石に助けられた過去があり、
今度は、宮部が大石を守りたいと思う、
それだけでいいではないか。

宮部が、旧式の21型で征ったと言うから、
私は最初、上層部が、
宮部を不時着させないように、嫌がらせをしたのかと思った。

しかし、そうではないのなら、
宮部に、「生きてほしい。」と思った整備士が、
わざと、52型の発動機を不具合にしておいた、というのはどうだろう。

初志貫徹し、生きる事を選び、
不時着して妻子の元へ帰る、というのも有りだ。

それじゃあ、シマらないと言うなら、
写真の裏には、「大石少尉、あなたは生きて下さい。」とだけ書き、
その写真を見た大石が、自ら、宮部の妻子を訪ねる、というのはどうか。
その方が、押しつけがましくなくて良いと思うのだが。

美学にあらず

私の中では、宮部が怒りと共に、
敵艦に突入するところで、完結している。
(ドラマでは、ラストシーンになってはいるが。)

だからもう、大石と宮部の妻子のその後や、
孫がそれを知り、泣くシーンなどは、興醒めなのだ。

宮部の特攻シーンで、
あのような操縦は、実際ムリだとしても、
向井の表情には、
「自分が、この戦争を終わらせてやる!!」ぐらいの気迫が感じられた。

いつしか私も、大石や景浦と同じように、
「この人を守りたい。」と思っていた。
宮部には、死んでほしくなかった。

しかし、エンディングのMISIAの「桜ひとひら」では、
特攻が、「美しい青春」になってしまう。
戦争を、男の美学にしてはならんのだ。

その反面、男がエンジン音を好むのも、分かる気がする。
本能的に、闘争心が湧くのだろう。

男は、優秀だが愚かで、
女は、非力だが賢明だ。

怒りズム

私は昔、知覧特攻平和記念館に行った事があるが、
(知覧は陸軍、鹿屋は海軍。)
その時は、ただ、かわいそうと思うだけだった。

しかし、向井が宮部を演じた事で、
戦争に対し、もっと怒りを感じるべきだと思った。

最後に、宮部と会話する大石に、中村蒼を選んだのは、
実際に飛び立って行ったのが、
彼のように、幼さの残る少年達だったと、
印象づける為ではないだろうか。

その後、「陸軍特攻・振武寮」林えいだい著 を読んだのだが、
目的地に到達する前に、墜落しそうな、おんぼろ機ばかりだったとか。

何度も出てくる〝おんぼろ″という言葉が、失笑を誘う。
不時着どころじゃない。
何度も、引き返す者もいる。

この本は事実なので、リアルなエピソードが、興味深い。
驚き、怒り、泣ける。

特攻など考えた奴は、死んでしまえ!!
もう、死んでるか。

いつの時代も、上層部はバカなのだ。
何も分かっていない、認めようともしない。
これは、内部テロだ。
今だって、うかうかしてると、
あらゆる状況下で、私達は殺されかねない。

その怒りを共有する事で、戦争は遠いものではなくなった。

たかだか、自分が生まれる数十年前の出来事なのだ。
生きている時期が、少しずれているだけで、
人生は、大きく違ってしまう。

ワールドワイド

私は今まで、戦争ものを見て、
こんなに引きずった事は無かった。

それは原作に、今までの作品に無いような、
細かい事情まで、描かれていたせいかもしれない。

戦争を知らずに、生きている自分、
いずれの巨大地震からも、被害を免れている自分、
それだけでもマシなのに、
毎日疲れ、弱くなっていく自分。

理不尽に死んでいった人の分まで、生きねばなるまい。
戦争という野蛮な事実を、決して忘れてはならない。

あ~、最近、書く内容が、ワールドワイドになってきている。
いかん、もっとチマチマした事を書きたいのに。(笑)

あなたに恋をしてみました

向井理が演じた宮部久蔵に、もう一度会いたい。
彼は、私にとって、忘れられない人になった。
特攻はサイテーだが、「向井久蔵」は最高だった!!

宮部久蔵は、敵艦に体当たりして散ったが、
向井理は、役者魂を体当たりさせ、見事に花開いた。

そして私は、「向井久蔵」に殺られた。(笑)

Kyuzo Mukai forever !!

 

 

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