駅前のロータリーに、白いMR2をみつけた。
こちらに向かって、ゆっくり歩いて来た、21年ぶりの彼は、
1.25倍くらい、エアーを入れた感じの体型になっていて、
学生時代の美貌の少年はどこへ、という感じだったが、
私は、自分がガッカリするよりも、
彼に、ガッカリされる事を恐れていた。
彼は、素足にサンダル、Tシャツに短パンで、
完全な休日スタイル。
私は、少しでも顔映りがいいように、
わざわざ黄色いカットソーと、花柄のストールを買い、
年をごまかそうとしたが、寝不足でかえってギャップが出た。(笑)
私は、彼のしゃべり方が変わってしまった事に、
とても違和感を覚えていた。
「本当に、気を遣わないでいられるんだよ。」と、彼は強調したが、
日々のストレスによる、病的なものではないかと思うほど、
表情が無くなっていた。
国道を走り、ファミレスで卒業アルバムを見て、
写真を撮り、私を送れば、
自宅には、予定していた時間に戻れないはずだったが、
「今、着いた。」という、彼からのメールは、
日付が変わる前だった。
どうしても、妻が戻る前に帰りたかったのだろう。
彼が去った後、その空気だけが残り、
私は久しぶりに、私を真に知る人に会い、
とても、落ち着いていた。
孤高の日々に、1000人の味方を得たような気がした。