20年という月日は、人を浦島太郎にさせる。
昔、勤務していた会社の同僚に、
ふと、会ってみたくなり、連絡してみた。
オシャレな街で有名な、駅の改札口。
可愛かった彼女は、
どんな、セレブな奥様になっているだろうかと、ワクワクした。
声をかけられて、振り向いた瞬間、
私は、目をそらした。
可憐な少女は、童顔の老女になっていた。
小作りな顔立ちに、サラサラのロングヘアー、
スレンダーだった彼女。
今では、ブサイクな私の方が、若く見える。
私は、女に対して、面食いなんだ。
正直、興味を失った。
それでも、カフェに入ると、
普段、あまり人としゃべっていない私は、昔話をまくしたてた。
当時、彼女に勧められて、長年、愛用している物も多い。
私は、細かい事まで、よく覚えていた。
でも、やがて、思い出がつきると同時に、話はつきた。
お皿のパンケーキも、無くなった。
彼女は、思ったより、早く帰って行った。
しゃべり過ぎて、ドン引きされただろうか。
妙に、寂しかった。
思い出がみつからない
ガールズトークは、たくさんの思い出の共有が必要だ。
学生時代~社会人初期までは、
色々な事があり、楽しかった。
しかし、それ以降の思い出が、ほとんど無い事に気づいた。
いつのまにか、同じ事のくり返し。
年月が、切り取られたかのように、欠けている記憶。
トラウマしか、残っていない。
人と関わらなければ、思い出は作られない。
交番の若い警官に、
その昔、駅前にあった、F二家について尋ねたら、
「知らない。」と言われた。