友人の手紙の追伸に、
「『恋は雨上がりのように』が、思いのほか良かったです。」とあった。
この一文で、観に行く気になった。
新刊コーナーの、オススメ本のセンスが良い本屋でも、
原作コミックと共に、映画が紹介されていたので、
ますます気になった。
ファミレスのバイトには、思い入れがあった。
しかし、大泉洋のルックスと、上映時間が、
私に合わなかったのだ。
お金が無いので、1100円の日にしか観ない事にしている。
あきらめていたその日、仕事から帰ってヘトヘトで、
缶ビールを飲んでいたら、急にゴキゲンになり、
居眠り覚悟で、映画館へ向かった。
作品は、「思いのほか」どうという事もなかった。(笑)
まかないに、あんなサンドイッチが出されるなんて、ありえない!
私が、バイトしていた当時、コックは、
ランチタイムにサンドイッチをオーダーされると、
手間がかかるので嫌がっていた。
それを、従業員に出すなんて。
それに、まかないは、全員同じ物を食べていたし、
モテる子だけにオマケだなんて、ヒドイ!
サンドイッチといい、オマケといい、今はアリなのか?
「じゃあ何で、こんなに胸がちぎれそうなの?」
この映画は、この一言に集約されている。
貴方が、さえない男だなんて言い訳は、
どうでもいい事なのだ。
彼女にとっては、必要な時に、
必要なものを与えてくれた、唯一の人なのだから。
たとえ、恋が雨上がりのように始まっても、
その感情は、稲妻のように激しい。
若くストレートな感情が、大人を困らせる事や、
あきらめさせる為の、一度だけのデートを、
懐かしく思い出した。
店長が、あきらの告白に困惑しつつも、
小説を書き上げてゆくのを見て、
まさに、「芸術に恋は不可欠」だと思った。
片想いも、迷惑をかけるばかりではなく、刺激にもなると、
今更だが、改めて驚嘆。
しかし、濱田マリ、他人の小説を勝手に読むなよ。(笑)
ファミレスのパートに、濱田マリみたいな人いる!
恋は音楽のように
あの夜、バイト仲間と便乗した、主任の車の中で聴いた、
山下達郎の「ペイパー・ドール」は、カッコ良すぎた。
(ただし、カセットテープはバイトの子の物。)
別の映画のエンディングで、
山下達郎が歌う「REBORN」を聴いた時、
劇中で、他の役者が歌っているのとは、
まるで違ったので、鳥肌たった。
「クリスマス・イブ」もそうだが、
山下達郎の歌をカブせると、
どんな恋も、オシャレになる気がする。
この映画は、山下達郎じゃないが、
大泉の間の抜けた顔に、似合わないサントラは、
「思いのほか」良かった。
店長が昇進したら、店からいなくなる。
あきらに残された「友達ならメールを。」というアプローチも、
今の時代だから、できる事だ。
「フラれても、そのくらい聞いておけ。」
私は心の中で、
彼女のあきらめきれぬ恋を、後押しした。
もう恋はできなくても、
恋を思い出す方法は、いくらでもある。