『大会』の舞働は面白いですね! お流儀や家によってずいぶん型に違いがあるようで、流儀の他家や他流の『大会』も面白いですが、二つの区切りを持つ三段構成の舞働を舞う同じ観世流の中でも ぬえの師家の型はさらに派手なようです。
まず舞働の定型で、シテは脇座前、ツレは常座で一緒に七つ拍子を踏み、これより戦いが始まります。シテは羽団扇を振り上げ、ツレは打杖を振り上げて打ちかかり、舞台中央でツレはシテの足をすくい、シテはそれを飛び越えて下居。ツレはすぐに振り返ってシテの背中を打つ型をして「段」このときシテは左袖を頭の上に返すのが、師家の特徴的な型です。
本来袖を頭の上にかづくのは、それが立ったままであれば、空を見上げるとか、または とくに意味はなくてダンスとしての「舞」の彩りとして使われることがある型ですが、下居しての型となると、通常は姿を隠す、という意味で使われる事がほとんどではないかと思います。現に『大会』でも能の一番最後にこの意味でシテが袖を頭にかづく型をしますし。
ところが『大会』の舞働では、この型は珍しく違う意味で使われていると思います。シテとツレが打ち合う型をする度にシテが一方的にパンチをくらって、段々と追いつめられていく、というのが『大会』の舞働の意味でしょうから、打ち合うたびにシテが膝を突いて袖を頭に返す型は、シテの負傷…というか、打ち合う度の勝敗の行方を具体的に表しているものでしょう。ですから ぬえはこの型を、ガックリ膝を突きながら「あ痛!」というつもりで袖を返すのがよかろうと考えています。(^_^;) 天狗さん、なんかカワイイ。
さてシテは立ち上がってそのまま橋掛リへ抜けて行きます。ツレはシテの背後で打杖を構え、それからシテを追って橋掛リへ向かいます。幕際までたどりついたシテは振り返ってツレと対峙し、一緒にサシ込ヒラキをしてから羽団扇と打杖を振り上げて、二つ目の打ち合いとなります。今度は橋掛リの中央…二之松のあたりで「空打ち」(カラウチ)という型…お互いに相手の左側をめがけて武器を振り下ろす型をします。
「空打ち」という以上は「斬りつけたけどお互いに外した」という意味になりましょうし、現にそういう使われ方をすることが大多数の型ではありますが、『大会』では やっぱりツレの打杖はシテにヒットし、シテのそれは不発に終わった、という意味になるようで、そのためシテは先ほどと同じく、直後に膝を突いて下居して左袖を頭に返します。これにて二度目の「段」。
さてシテは立ち上がってツレと右回りにクルクルと追いかけ合って…まあ、これもシテが一方的に追い回されているのでしょう。橋掛リは幅が広くとってはありますが、シテもツレも持ち物を橋掛リの柱や欄干にぶつけないようにするために、この場面では必ず柱と柱の中間地点…二之松で型を行わなければなりません。…こういう細かい配慮は、じつは『大会』に限らず能を演じる上では欠かせませんで、ちょっとしたコツや知っておかなければならない注意事項はたくさんあります。こういうことは修行中の経験や先輩からのアドバイスとして段々と蓄積されていくもので、この作業を怠ると…ちょっとしたコツを知らないでいると舞台上の大事故につながったりするんですよね~…
さて、やがてシテは先に舞台に逃げ、脇座にて立ち居。ツレも後を追い舞台に入り、互いに向き合ってサシ込ヒラキをしたところで舞働は終わり、いよいよ終曲に向けてクライマックスに突入していきます!
まず舞働の定型で、シテは脇座前、ツレは常座で一緒に七つ拍子を踏み、これより戦いが始まります。シテは羽団扇を振り上げ、ツレは打杖を振り上げて打ちかかり、舞台中央でツレはシテの足をすくい、シテはそれを飛び越えて下居。ツレはすぐに振り返ってシテの背中を打つ型をして「段」このときシテは左袖を頭の上に返すのが、師家の特徴的な型です。
本来袖を頭の上にかづくのは、それが立ったままであれば、空を見上げるとか、または とくに意味はなくてダンスとしての「舞」の彩りとして使われることがある型ですが、下居しての型となると、通常は姿を隠す、という意味で使われる事がほとんどではないかと思います。現に『大会』でも能の一番最後にこの意味でシテが袖を頭にかづく型をしますし。
ところが『大会』の舞働では、この型は珍しく違う意味で使われていると思います。シテとツレが打ち合う型をする度にシテが一方的にパンチをくらって、段々と追いつめられていく、というのが『大会』の舞働の意味でしょうから、打ち合うたびにシテが膝を突いて袖を頭に返す型は、シテの負傷…というか、打ち合う度の勝敗の行方を具体的に表しているものでしょう。ですから ぬえはこの型を、ガックリ膝を突きながら「あ痛!」というつもりで袖を返すのがよかろうと考えています。(^_^;) 天狗さん、なんかカワイイ。
さてシテは立ち上がってそのまま橋掛リへ抜けて行きます。ツレはシテの背後で打杖を構え、それからシテを追って橋掛リへ向かいます。幕際までたどりついたシテは振り返ってツレと対峙し、一緒にサシ込ヒラキをしてから羽団扇と打杖を振り上げて、二つ目の打ち合いとなります。今度は橋掛リの中央…二之松のあたりで「空打ち」(カラウチ)という型…お互いに相手の左側をめがけて武器を振り下ろす型をします。
「空打ち」という以上は「斬りつけたけどお互いに外した」という意味になりましょうし、現にそういう使われ方をすることが大多数の型ではありますが、『大会』では やっぱりツレの打杖はシテにヒットし、シテのそれは不発に終わった、という意味になるようで、そのためシテは先ほどと同じく、直後に膝を突いて下居して左袖を頭に返します。これにて二度目の「段」。
さてシテは立ち上がってツレと右回りにクルクルと追いかけ合って…まあ、これもシテが一方的に追い回されているのでしょう。橋掛リは幅が広くとってはありますが、シテもツレも持ち物を橋掛リの柱や欄干にぶつけないようにするために、この場面では必ず柱と柱の中間地点…二之松で型を行わなければなりません。…こういう細かい配慮は、じつは『大会』に限らず能を演じる上では欠かせませんで、ちょっとしたコツや知っておかなければならない注意事項はたくさんあります。こういうことは修行中の経験や先輩からのアドバイスとして段々と蓄積されていくもので、この作業を怠ると…ちょっとしたコツを知らないでいると舞台上の大事故につながったりするんですよね~…
さて、やがてシテは先に舞台に逃げ、脇座にて立ち居。ツレも後を追い舞台に入り、互いに向き合ってサシ込ヒラキをしたところで舞働は終わり、いよいよ終曲に向けてクライマックスに突入していきます!