ヌマンタの書斎

読書ブログが基本ですが、時事問題やら食事やら雑食性の記事を書いています。

はるかなる風と光 美内すずえ

2024-08-19 09:17:49 | 

日本の漫画が世界中に広まりつつある。

それは確かな事実だが、広まっているのは専ら少年漫画である。つまりもう一つの一大分野である少女漫画は意外なほど広まっていない。

もちろん例外もある。欧米のみならず北欧や東欧での「美少女戦士セーラームーン」の人気は凄まじく冬季五輪のフィギュアスケートの女性メダリストたちは熱烈なファンであることを公言している。またフランス革命を舞台とした「ベルサイユのバラ」は西欧では神アニメとされている。決して人気がない訳ではない。

しかし少女漫画の世界の広さ、深さはもっと凄い。私は年の近い妹が二人もいた関係で、けっこう少女漫画を読んでいたから知っている。もっといえば、少年漫画を描いている女性漫画家も多数いることも知っている。「鋼の錬金術師」の荒川弘や「鬼滅の刃」の吾峠呼世晴が女性漫画家であることは、もう有名だと思う。

今や漫画家における男女比は女性が優勢であり、女性漫画家なしでは少年漫画も立ち行かないほどだ。ある意味、ジェンダー平等をもっとも実現した分野なのだ。もっとも日本を男女差別の激しい国だと規定して反日自虐に夢中な方々は興味がないご様子。全く勝手なものだ。

ところが少女漫画となると呆れるほどに世界には知られていない。っつうか翻訳されていない。そのことは欧米の少女漫画ファンをして日本語を学ぶ動機となっている。いや本当に彼女らの日本語学習の動機が少女漫画を原語で読みたいからになっているほどである。

実際、山岸涼子や美内すずえ、里中満知子などのヴェテラン勢の作品は十分世界に通じると私は考えている。ただ欧米でもアジア、中東でも漫画は男の子向けであり、女の子向けの漫画には驚くほど無知である。実に残念だ。

ちなみに表題の作品ではナポレオンが描かれているが、私が彼を知ったのはこの作品が最初だった。もちろんフランス革命は「ベルばら」からだ。予想というよりも確信に近いのだが、そう遠くないうちに、日本の少女漫画が世界を席巻する日も近いと思います。

コメント (4)
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