煮込みの代表格、「おでん」に挑戦してみました。
正直なところ、もう何年も作っていない・・・。
昔昔に作ったことはあるんだけど、
自分の作ったダシの味が気に入らなくてね、
ダシに浸かって、ダシが具にしみ込んでんのに、
ダシが美味しくなかったら、
鍋ごと憎くなるんですよ。
時間掛けて育てただけ憎さも増すというね。
しかも、食材入手するの大変だった上に(昔は特に)、
結構大量生産。
これ、どうすんねん!ってなるわけですよ。
一回目は自分で作ってエグいダシに。
二回目は市販のダシ使ったけど濃過ぎてマズい。
三回目はレシピ見ながら圧力鍋で作ってみたけど、なんかオイリーに・・・。
ってことでね、
結婚15年目ですが、
「おでん」作ったの三回だけでした(苦笑)。
日本のコンビニの「おでん」のほうがよっぽど美味しいわっ・・・。
って、投げやり気味に思ったもんねぇ。
うん、もう「おでん」はコンビニに限る!ってね。
でもですよ。
氷点下の夜に、熱々の「おでん」をふぅふぅ言いながら食べるのって、
ああ、ほっくりしそうだわぁなんて夢を描いてしまいまして、
作ってみたくなったわけです。
材料は前日買っておいたので、
覚悟して朝から仕込み。
気持ち鉢巻締めて、台所に立ちました。
向き合ったね。食材達と。
もしかしたら、
これが本当に生涯最後になるかもしれないと思いながら。
だけど、
ダシとってーとか、
米のとぎ汁にしてーとか、
隠し包丁してーとか、
塩まぶしといてーとか、
熱湯回しかけてーとか、
一旦茹でといてーとか、
食材一つ一つが、朝から我が侭砲台。
これでダシが美味しくなかったら、
もうね、こちらはほんと、一生サヨナラするつもりですからね。
あーだの、こーだの我が侭にもほどがある。
「おでん」も試されてる感は十分あったと思う。
有機こんにゃくなんて、
ちょっと遠慮気味に「お手数お掛けして申し訳ありません。」みたいな顔してた。
ところが、一旦下拵えして土鍋に入れちゃうと、
何にもすることがない・・・。
あとは土鍋任せ。
まだ昼前なのに仕込み終了し待つだけ。
頼むよ、土鍋。
ピンクの桜が付いた土鍋だけど、
いつも性別は男だと思って接している我が家の土鍋。
土鍋も「任せとけっ!」って言ってた。
ル・クルーゼなんていう舶来モンじゃなくて、
今、このときに俺を選んでくれて、間違いない!
死ぬ気で煮込む。って言ってくれた。
間違いなく聞こえた。
ところがですよ。
火に掛けて暫くしたと思ったら娘のお迎えなので火を止め放置。
帰宅して弱火に掛け、
暫くしたと思ったら息子のお迎えで火を止め放置。
帰宅して弱火に掛け、
暫くしたらまた用事が出来て火を止め放置。
蓋取って覗いて見るとさ、
なんか具がさ、
温泉のぬるま湯にずっと浸かってるみたいな、
そんな顔してた。
「アンタ、ま~た出掛けんのねぇ~。」つって、ゆらゆら手ぇ振ってるように見えた。
「おでん」ってさ、
こんなに熱したり冷ましたり熱したり冷ましたりを繰り返すような作り方じゃなかったよね?
って、一日中気になってたけど、仕方がない・・・。
「おでん」に付きっ切りの人生なんて、今の私にはどうやっても無理。
そしておのずと食べるときがやってきました。
不安だったんです。
結局何時間煮込んだのか分かんない状態だったから。
ちゃんと煮込んでたんだか、浸かってたほうが長かったんだか、
その辺のところがさっぱり分からないんだから。
サヨナラする覚悟も少ししてました。
そしたら、
あれっ?!これ、美味しくない(↗)?!
って自分に聞いた。
あれれれっ?!
って疑いたくなるほど、コンビニの「おでん」に近かった。
えっ、放置されんのが良かったの?
ダシをスープ代わりにグビグビ飲めるくらい、
美味しかった。
出会えた!私の「おでん」に(涙)。
待ってた、この日を。
15年間も!
生まれて初めて私の「おでん」を食べた子供達は、
とても喜んでくれた。
4度目、私の「おでん」を口にする旦那は、
恐る恐るだった。
残った少しの「おでん」はベランダに放置し、
明日のランチには染み込み具合を確と確認。
なんだかずっとずっと「おでん」のことばかりを考えていた一日だった。
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