小田原周辺のマイナースポットや些細な出来事を少しずつ
小田原の端々



小田原市板橋界隈の旧東海道沿いで目を引く建物が代々醤油醸造業を営んできたきた内野家の邸宅。先週末、散策の途中に内野邸の前を通るとイベントの一貫として邸宅内が公開されていた。小田原市板橋で3代にわたり醤油醸造を営んできた内野家。通りに面した木造2階建ての住宅兼店舗は1903年11月に竣工。建物は文化財には指定されておらず存廃については現在検討中で、存続させるためのテストケースとして、板橋界隈でイベントが行われる時などに公開していく意向のようだ。ご主人に話を伺ったが、個人では建物の維持管理を行うことが困難とのこと。通りに面した蔵造りの住宅兼店舗脇から敷地内へ。敷地内には文庫蔵や穀蔵、醤油醸造の工場や倉庫が配されている。訪れた日は写真右側の蔵で写真展が行われていた他、住宅内や工場跡が公開されていた。かねてから内野邸内で一番見たかったのが、赤いトタン屋根の醤油醸造の工場と倉庫。内野家で製造していた醤油は武功醤油の商標で販売されていた。かつては小田原の学校給食の醤油には武功醤油が使われていたとのことだが、醤油の醸造は昭和50年代に残念ながら廃業。写真を撮りながら工場跡の入口へ。壁には古い配電盤。入口脇には年季の入った道具が吊るされていた。武功醤油の工場内へと進む。工場内は天井が高く中央には大きな木製の樽が並んでいる。廃業してから30年以上経過しているためか醤油の匂いはまったくしない。工場内の一画には圧搾機と思われる古い金属製の機械も残されていた。工場入口から奥へと進む。すると突き当たりの戸が開いていて外からの光が差し込んでいた。工場西側の戸から外に出ると、用水路沿いの道に出た。武功醤油の工場裏手は以前から気になっていた用水路沿いのコンクリート造りの建物だと初めて知った。このコンクリート造りの建物は、西隣の製麺工場だと思っていたのでかなりびっくり。用水路に架る小さな橋を渡り再び工場内へ。さび付いて年季の入った扉と古いコンクリートの組み合わせがなんとも堪らない。長年見たかった内野邸や醤油工場内を見学することが出来て、とても有意義な時間となった。尚、内野邸や工場跡は常時公開している訳ではないので、公開は周辺のイベント時などにあわせて限定的に行っていく予定とのこと。存続には色々とハードルが高いが有効な保存策が見つかることを願っている。

コメント ( 2 ) | Trackback ( 0 )