だからもうやすみます。落第生はやすみます。ぐうぐう寝てしまいます。
僕は人を好きになっていません。この時点で落第生です。仏さまのことを思うより、こっちのことが大切です。人を好きになることが大切なことです。おんなの人をやさしく思う、それがいまの僕には欠けています。それでこんなに冷え冷えとしているのです。
膝小僧を抱いて寝るしか能のないおとこは、よお、おとこなんて顔をするなよ。おんなを抱いてあたためられないようなおとこは、よお、おとこなんていえるものか。蜜柑を剥いてさしあげる人をも持たないおとこは、よお、おとこなんてうそぶけるか。夜空に星がきらきらしているばかり。波間に星がきらきらしているばかり。その星の光を手にとって分かち合えないような、そういうおとこはよお。そういうおとこはよお。