禁酒が続いている。もう3日も。熱燗がおいしい冬宵を迎えているのに。間食もしていない。カステラにも最中にも銅鑼焼きにも手を出していない。青白い優等生をしている。それもこれも元の元気になりたい一心で。老爺でも健気な努力ができるのか。これで死なずに済む、などということはないのに。何年生きてもそんなことも分からない。愚者愚者。紙切れを揉んで丸めたようにグシャグシャ。
ぐしゃぐしゃした額の皺、目尻の皺は鏡の中だけではないのだが。外は小雨が降っている。氷雨だ。いかにも寒そうな。
禁酒が続いている。もう3日も。熱燗がおいしい冬宵を迎えているのに。間食もしていない。カステラにも最中にも銅鑼焼きにも手を出していない。青白い優等生をしている。それもこれも元の元気になりたい一心で。老爺でも健気な努力ができるのか。これで死なずに済む、などということはないのに。何年生きてもそんなことも分からない。愚者愚者。紙切れを揉んで丸めたようにグシャグシャ。
ぐしゃぐしゃした額の皺、目尻の皺は鏡の中だけではないのだが。外は小雨が降っている。氷雨だ。いかにも寒そうな。
生きているそれはどういうことなのか薔薇と背中に手を触れてみる 薬王華蔵
薔薇はおんなの人である。背中はおんなの人の背中である。いつもそうやって確かめていたい。生きているというのはどういうことなのか。花片を重ねた薔薇のように匂いのすることなのか。体温を保つ背中のようにあたたかくて滑らかであることなのか。薔薇は庭に咲いている薔薇である。背中は博多人形の背中である。生きているとはどういうことなのか、そればっかりを気に揉んでいる。死んでいない今のうちにそれを把握しておかないと、僕は冬山の雪崩に巻き込まれて谷底へ落ちてしまう。