午後から夕方近くまで僕はお多福豆を畑に移植して農作業した。ジャンパーに身を包んで。ぶるぶる震えながら。草を抜いて整地して、肥料をして穴を掘って。植え込んで土を寄せて。丁寧に地均しして畝を作って。移植後には水撒きをした。農作業をしている間は夢想無念でいられる。ここがいい。心配事が消えている。ここがいい。いやいや、解決をしたわけではない。頭から消えていればそれでいいのだ。頭が空っぽになっていればそれでいいのだ。病んでこのまま死ぬかも知れないという不安。恐怖。これだって、無念無想、つまり頭が空っぽになっている間は、解決したことに等しいのだから。