風の音が酷いですなあ。台風接近ですなあ、確実に。夜酒をだらだらこっくんこっくん飲んでおりました。もう止めましょう。やすみましょう。それにしても外は風の音が酷いですなあ。温泉には明日の朝行くことにします。
雨風の中の露天風呂はなんともスリリングであった。白濁の湯壺にさざ波がたった。肩までは湯に浸かっているので、風雨を受けるのは顔面だけ。目を瞑っていればそれですんだ。周囲は山脈。紅葉も見える。ここは山頂近い場所。風の音が次第次第に高くなって行くようだ。6時になる前にもう一度温泉を浴びたい。硫黄温泉の硫黄臭が好きだ。
唐津には唐津くんちがある。エンヤーエンヤーの掛け声をかけて山車が引き回される。三日間続く唐津神社の秋の恒例行事である。男たちは山車を引いて笛を吹いて掛け声をかけて張り切る。これではちまき姿白装束の男が練り上げられる。胆力定力(じょうりき)がつく。女衆はご馳走を作ってねぎらう。誰彼となく大盤振る舞いをする。祭りだ祭りだになる。今年ももうすぐだ。沿道は押すな押すなである。町衆で賑わう。何万人と観光客が詰めかける。三年間唐津に住んでいたことがあった。この時期になると町と町衆が一変した。宵山から始まった。華やかな出で立ちの大きな山車が何台も何台も通り抜けて行った。唐津は海の美しいところである。玄界灘に面している。砂浜沿いに虹ノ松原が延々と続く。唐津城が聳え立つ。魚が豊富でこれがおいしい。祭りの期間中「あら」という高級魚が出回る。ドデカイ。値が張る。まる一匹煮られて食い尽くされる。刺し身も鍋料理も頗る旨い。
そのアラという魚を昨日刺し身で食った。釣り好きの友人に頂いたのである。彼は仲間と船を借りて壱岐対馬辺りまで行くらしい。船頭さんに漁場を教えてもらうらしい。そこで珍しく高級魚が釣り糸に釣れたのである。電話があって貰いに行って来た。有り難い話である。友とは有り難いものである。大きなヒラマサという魚も丸ごと頂いた。もちろん既に裁き終わったものだった。アラの刺し身だけで腹いっぱいになった。