よくは分からないことを書いて行く。推量によって書いて行く。
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法華経最終章を締め括る一つが陀羅尼(だらに)品(ぼん)である。陀羅尼は梵語ではダーラニー。その漢訳である。真言ともマントラとも神咒とも呼ばれる。法華経を弘める活動をしている行者を守護する呪文である。行者自らがこの呪文を唱えて、ともすればめげそうになる己を叱咤激励して、元気を奮い立たせていたであろうと思われる。(よくは分からない)
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法華経を説かれる仏陀の前に、薬王菩薩、勇施菩薩、毘沙門天王、持国天、鬼子母神・十羅刹女、普賢菩薩が順番に進み出て「わたしたちが法華経を信奉する行者を守護します」と宣誓して、それぞれその守護のための呪文を述べる。短いのもあれば長いのもある。長短のどちらも「かくかくの理由で法華経とその行者を守護をします」という内容になっている。意味は隠れているので、表に現れてくる音声はまったく理解不可能である。理解不可能だからこそ凄まじいばかりのパワーを放っているようにも聞こえて来る。
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陀羅尼は行者以外の人にはともかく不可解語である。しかし、理解可能だからすべてよしとはならない。