月下美人。ニックネームは Queen of the Night。ムーンライト・カクタス(Moonlight Cactus)とはアメリカのかつての隣人で友人、Susan の命名だ開花7月31日9:35pm。今年も始めは甘い香りで、次第に刺激的な匂いになり、やがて強烈な匂いを残して萎れていった。例年のごとく小さな蕾が葉にぶら下がり日、一日と勢いを得て上向きに方向を変え、花茎を太く長く成長させ、蛇がカマ首をもたげるように上向きになり、そして膨れた蕾が“ぱっと”開いた。純白な花弁をもつ大形の花だ。重みで水平になりつつ匂いを発散、6時間後に下向きに下がって萎むのである。
今年も気仙沼に行っていた折、台風で鉢がひっくり返り、根っこが飛び出していた。以前の経験で「もう駄目かな」と諦めていたが元通りに息ついた。生命力が環境事故に勝ったのだ。天候等により6-11月に咲くそうだが、我が家では一昨年は10月12日、昨年は8月12日、今年は昨年より12日早かった。夜中に空を見たら満月だった。満月に咲いたとは何とも神秘なムーンライト・カクタスだ!ワイフはアメリカのSusan に電話した。「うちがあげたムーンライト・カクタスを一回ぐらい咲かせましたか?」と。答えは「Not yet」だった。いつも咲かせる友人Enaは「今度咲いたらメールします」と。二人ともワイフの「花だより電話」を喜んでいた。(自悠人)
翌日の8月1日、次の蕾が膨らみ、今夜も寝られそうにないな、と覚悟した。昨夜と全く同時刻の9:35pm、昨夜のより少し大きめ、ゆっくりと開いて行く。飽きっぽい夫は「今夜は寝る」という。筆者は赤ワインのグラスを握りしめ、月下美人に酔った。今夜も鏡のような満月が煌々と布団を照らす。4:35 am.空を見上げると満月は赤玉となって多摩丘陵の下方へつるべ落としに落ちて行った。昨夜もきっかり4:35amだったこの不思議。屋内においてある月下美人が外の、まして天空の満月を察知するなんて。月が落ちるとみんみん蝉の鳴き声が聞こえ、続いてピーピーという鳥の声が。2夜続きの月下美人狂想曲はあくびの連続を齎したが、早朝までの計7時間、最高のアートと自然の音楽を満喫でき、月下美人とそれを咲かせた夫に乾杯した。(彩の渦輪)