ワイフが高山病で倒れたアコンカグアの基地、4300m古希を過ぎてなお旅を続けていると体調崩しはよくあること。下痢ぐらいでは驚かない。アメリカの友人宅で“ガーン”と頭にショック一発、倒れて救急病院に運ばれたのはつい3か月前だ。筆者に付き添っていたワイフに、ラルダロ医師は良く説明してくれていた。ワイフも南米の最高峯アコンカグアの4300M地点で、高山病で意識不明、急遽ヘリコプターで下山し、病院からホテルへ。筆者は登りと同じくミュール(騾馬)で下山し、離れ離れにホテルまで帰った。アルゼンチンのコルドバでは腹痛で医者をホテルに呼んだこともある。それでも傷害保険はかけず旅を継続してきた。何故か。万一を考える保険が大嫌いな私だから。旅はその人の生まれ持った運に支配されると信じるから。元来は頑健に過ごしてきたが加齢による疲労や機能退化は当然と思うようになった。人生に変化を求める以上身体は資本だが、保険に頼らず気軽に旅を継続している。移動中が一番気を使う。
遭った医者とは仲良く付き合って来た。アコンカグアのテントでワイフに救急処置をしてくれた医者からはデジカメの要望があったので後でアルゼンチンまで送ってあげた。15年前ではあるが医者でもデジカメが買えない国だった。アメリカでは医者は派遣されて各病院を担当し、担当先とは独立している。3か月前筆者を診てくれたラルダロ医師の患者への対応は親切かつ自信満々。気軽に旅の相談に乗り、旅先や退院後の発病の対応措置まで教えてくれた。帰国前偶然派遣元の大学病院の管理事務所でその医者に会った時、ラルダロ医師とワイフとの会話は旧知の友人の如しで、周辺の職員を驚かすほど親愛の情に満ちていた。人間性の素晴らしさを知らされた医者だった。PCモニターの数値管理だけでは病の診断は出来ないと日本の多くの、特に若い医者に言いたい。患者の身体の状況も聞いてやらないとね。(自悠人)