あけぼの

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ニカラグアの誕生日と中米最大のカテドラル ~ニカラグア②~

2010-04-13 07:40:30 | アート・文化

020 美しいメルセー教会の屋上には日本のお寺の鐘同様紐までついている鐘があり、引っ張るとゴーンと懐かしい音が響く。四方の眺めは最高!コロン公園、カテドラル、ニカラグア湖、筆者の好きな中南米独特のオレンジ色のスレート瓦のその古さと情緒にうっとりする。夏の中米の教会の屋上で鐘楼の下に一人佇む中年?の女、映画のシーンみたいでしょ。誕生日に外国で「除夜?の鐘」を撞く嬉しさ。吹き抜ける風の心地よさ。

夜は公園脇のレストランで魚のバター焼き。公園では世界詩人会議が開かれ世界各地からの代表が次々挨拶している。韓国代表の詩人の挨拶を聞きながら夕食を始めた時なんとマリアッチがやってきた。2、3のテーブルで断られ私の席に来た。勿論頼んだ。誕生日ですもの。彼らはニコニコして「ベッサメムーチョがいいでしょ?」と勝手に決め、演奏してくれた。手元に3ドルしかなかったがとても喜んで代表が「日本人大好き!」と言ってハグしてくれた。私が皮切りになり、次々とお呼びがかかり、彼らはハッピー、マリアッチの音楽で誕生日の夕食が盛り上がった筆者もハッピーだった。素晴らしきかな、ニカラグアの誕生日。

レオン市までまたマスクして得意の長距離バスに乗った。右手にモモトンボ山を見ながら。安宿に泊まり足が棒になるほど歩き回った。先に述べたルベン・ダリオの家、レコレクシオン教会、カルバリオ教会、ソモサ将軍の撃たれた家、革命に命を捧げた若者の写真が並ぶ英雄記念館、サンディニスタ民族解放戦線の事務所等を訪れ、ウナン・レオン大学を訪問して暫し大学生との会話を楽しんだ。革新的と言われるこの町だが、中米最大のカテドラルに心を奪われた。内部にはキリストが処刑され十字架から下ろされるまでの絵画が何枚も、魂を奪うようなタッチで描かれキャプション付きで展示されている。夕方の5時だった。キリストのドラマに心を吸い取られて座っていた時ミサの鐘が鳴り、司教の説教が教会内に響き渡った。次の説教も次の説教も波紋のようにこだましていく。人生観が変わるほど心に響いた。この感動は英国のヨークミンスター以来だった。「以後は清廉潔白に生き、正義を忘れないぞ!余生は平和に身を捧げるぞ!」と青年のように誓い、燃える心で立ち上がったのだった。(彩の渦輪)


貧しい女の子と分けあった誕生日のランチ~ニカラグア~

2010-04-12 05:45:11 | アート・文化

030 筆者はスペイン語圏が好きだ。つい先ほどニカラグアを旋風訪問してきた。ネットで予約したマナグアのホテルの受付が「首絞め強盗が多いから一人で外に出るな」と言いホテルの車で市内の見所を案内してくれた。だがタクシーの運ちゃんに睡眠薬入りのお茶をご馳走され、身ぐるみ剥がれ経験もある筆者は恐れず、翌日からバックパッカーに戻りグラナダに向かった。

ニカラグアは大変不幸な歴史を持ち経済発展はこれからの課題だ。スペインから独立したのは1821年だが、自由派対保守派の内戦、英国の支配、米国の介入と傀儡政権、サンディーノの戦い、1972年の地震によるマナグアその他の壊滅、ソモサの悪政、国家債務、米国の再度の介入や米国企業の進出等、読むほどにつらくなる歴史を持ち、貧困対策はさぞ難問であろうと思える。どの通りにも痩せ枯れて手を差し出した老人が座っている。いたいけな子どもが逞しく物売りしている。バスに乗り込んで物売りや動物の物まねをする子どもにスナックをあげ、不要なものでも買ってあげた。H1N1はまだ盛んだと外務省の注意にあり、三つの注意を合言葉にしつつ歩いた。「強盗に注意、H1N1に注意、下痢に注意!」。長距離バスは冷房がなく窓から風と埃が入ってくるので花粉症マスクが大変役に立った。消化器系のばい菌を殺そうと食事毎ビールは必ず注文し(Victoria, 70セント)、時にはビールでグラスをこっそり拭いて残りを飲んだ。

グラナダは古い伝統を守っている魅力的な町だ。16世紀のコロニアルスタイルの家並みを見ながらカルサダ通りをニカラグア湖まで歩き、きれいに霞むモンバチョの丘を眺め、2頭立ての馬車に乗り、コロン公園周辺を快適な蹄の音を立てながら優雅に観光した。

その時思い出した。今日は誕生日だ!下痢に注意、と言ったって今日ぐらいは食べなくちゃ。道路端の丸テーブルに座り、ビーフサンドを注文した。すると3歳ぐらいの可愛い顔立ちの女の子がチョコンとテーブルの向かい側に座った。恰も招待されたかのごとく澄ました顔で座り手をさしだした。熱々のフライドオニオンを手に載せてあげるとニッコリして食べ始めた。手も顔も汚れてまっ黒。大きなサンドイッチも半分に分けてお皿に載せてあげた。周囲の食事客たちが筆者たちに微笑んだ。彼女も幸せ、誕生日に食事を分ける相手が現れた筆者もハッピーだった。(彩の渦輪)

 


先生の教えは永遠です

2010-04-11 14:23:38 | アート・文化

 Cinti_26_182 シンシナティ大学の一カレッジで教え、毎年純情且つ勤勉な学生との出会いを楽しんできた。筆者のクラスはなぜか素敵な学生ばかりで多くの学生と心の交流が続いた。いつまでも続けたいと思ってきたがいつかはやめなければならないので決心をした。学生も教授たちもとても残念がってくれて、「春の学期は休講にしていいから、是非帰ってきてほしい」と言われた。クラスごとにアイデアに満ちたさよならパーティーが企画され、一人ひとりが心に残る挨拶をし、ご馳走が準備されていた。涙が止まらないパーティーだった。3つのクラスの最後の日は皆行列してハグしてくれ、“You are a great professor!”と口々に言い、誰もかも涙ぐんでくれた。春の学期が終わってからも大学のWeb Mail Boxには筆者との出会いを喜び感謝してくれるメールがいくつも届いた。曰く、「先生はもう日本に帰ってこのメールを読むチャンスがないかもしれないけれど、書きます…」と前置きした慕情溢れるメールや、「先生の教えを守って勉強を続けます」などなど。娘の病気のことをちょっと話したら皆が祈ってくれるという。これ以上嬉しいことがあるだろうか。そのうちの一人、Scott Vinsonの挨拶をここに披露する。Scottは8月の結婚式に招待してくれた。「先生のいない結婚式は人生に穴があいたも同然だ」と。(彩の渦輪)

「先生の教えは永遠です」        

By スコット・ヴィンソン 

みんなさん! このクラスでは 特殊な経験をしました。私たちはかぞくになりました。はじめに みなさんの幸運をいのります。私は Raymond Walter’s Collegeに 日本語を勉強しにきました。ともだちもみつけました。私はO先生にたくさんの教えをいただきました。いくつかの教えは以下です。

1. すべての国と文化を抱きしめ(評価し)ます。

2. 成功するまで続けます。

3. けっして学習をやめません。 

いつか私はこの教えを私のこどもに伝えていきたいです。O先生の遺産はえいえんに生きます。 O先生! 先生の教育は 教師としての義務以上のものでした。私たちにはこれ以上はありえませんでした。人生は旅です。目的地じゃありません。いま私たちの旅は 離ればなれになります。私はO先生の不在を淋しく思います。でも、せんせいは私の中にえいえんに生きます。ありがとうございました。       

Your Lessons Last Forever!

Everyone! We’ve been having a special experience in Ogawa Sensei’s class. We have become like family. First of all, I wish you all luck. I came to RWC to study Japanese. I also found a friend. I have been taught many lessons by Ogawa Sensei. Some of these include:

1. Embrace people of all nations and cultures.

2. Continue trying until you succeed again and again.

3. Never quit learning.

Someday, I hope to teach lessons to my children. Your legacy will live forever. Ogawa Sensei! You have exceeded your obligations. We could not have asked for more. Life is a journey, not a destination. Now, our journeys separate. I will miss your presence in my life. But, you will forever be in my heart. Thank you very much.