かっ飛ばせ借金 打ち勝て倒産

 
 ‐オグチ経営研究所‐

 ☆★自分でできる経営の再生と整理★☆

  

名義借りの悲劇

2007-10-14 | 事例
「あいつとは古い付き合いさ。俺を裏切るようなことはしないよ。」
藤井は言い切っています。
今回、信金から不動産の買戻しの名義に、友達の名前を利用したのです。

市場から野菜を仕入れ、都内のホテルやレストランに卸している商売です。
信金の借金さえなければやって行けます。
第2会社をつくり、鑑札も取れて、何時でも稼動できます。
世田谷に自宅を持ち、日本橋で店を借りています。店の直ぐ近くに
1LDKのマンションを持っており、寝泊りや事務所代わりに使っています。
自宅とともに信金の担保です。自宅を失うのは構わない、
夫婦二人のために、マンションだけは残したいと云うのが藤井の希望です。

「頑張ったですが返済は出来なくなりました。ひいては担保の不動産を
売却して返済に充てたいと思います。」
藤井の言葉は信金も覚悟して居たらしいです。
慌てずに対応してくれました。
そして担保解除の金額まで示唆してくれました。思ったより安い金額です。

不動産屋の友達も頑張ってくれました。地価の高騰も幸いしました。
自宅を処分すれば信金の言った金額は出る買い手が現れました。
「買い手を直接信金に結びつければ全額持っていかれるだけさ。
俺が一旦買い受けることにして、その後俺から売却した事にしようよ。
マンションは1時俺の名義になるが構わないだろう。」
一般の売買の手数料だけを売買の形で貰えば、後の謝礼は何も
要りませんと付け加えます。

勿論依存はありません。
こうしてマンションは藤井の友達の名義になり、藤井の生活は此処で
始まりました。と言っても、今までも半分以上此処で寝泊りを
していましたから苦になりません。

売買が全て完了すると、藤井は奥さんにも突かれて名義を戻すことを
友達に云いました。
「いいですよ。」友達は直ぐに応じます。
「しかし、まだ信金との件は和解は済んで居ませんよ。名義を
あなた方夫婦に戻せば、何時差押があってもおかしく有りませんよ。
他の人に移すくらいならば、今までとおり俺の名前のしておいた方が
よいですよ。」
と親切に教えます。

「ただね、俺の名前の場合、貴方が住んでいれば、少しは家賃と
云う形の物を頂かないと、税務署に突かれたとき困るよ。
他の人の名義にしたり、又其れを戻したりして、そのお礼も考えると、
少しは頂いても随分安いもんですよ。」
相場より安いと言っても自分の家です。
その自分の家に守ってもらう御礼に家賃を払うことにしました。

やがて債権はサービサーに譲渡されました。
サービサーは案外と話が解かりました。簡単に和解が出来ました。

しかし、藤井はなかなか友達に、名義変更を交渉しません。
奥さんは心配になってきました。
藤井を突く一方、たまりかねて自分で電話をすると見事に断られました。
「私は藤井君から依頼されたことですから、藤井君から電話を
呉れるようにお願いします。」と云うのです。

藤井は奥さんを口説いて居ます。
「俺たちが何も友達にお礼をして無いから、奴は家賃でもう少し稼ぎたいと
思うよ。」
「其れならば、それなり気のお礼をやったら、よいのではないの。」
「其れもそうだな、話してみるよ。」

夫婦は知りませんでした。
友達はこのマンションを担保にしてお金を借りて居たのです。

悪名高い商工ローンです。
このマンションは果たして藤井の名義に戻ることはあるでしょうか。

不動産買戻しの名義を借りたばかりに生じた悲劇、実例はほかに幾つもあります。
一寸した油断が、信頼していた人に裏切られると云う、最大の悲劇を迎えます。





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