「時越香~ときおいのかおり~」
1600年の時を越えて世界遺産の魅力を伝統工芸で再現。
美しい蜻蛉玉(とんぼだま)の真ん中に、凛と佇む紫のお香。高さ2cmほどのお香立ては今年、大阪で初のユネスコ世界文化遺産に登録された「百舌鳥・古市古墳群」の前方後円墳をかたどったもの。これは長い歴史を持つガラス工芸・和泉蜻蛉玉の技術を守る山月工房の伝統工芸士・松田有利子さんの手によるもの。そして堺線香の職人から指導を受けた、大阪府立堺工科高等学校定時制課程の生徒たちが手がけたお香をセットにしたのが「時越香~ときおいのかおり~」。古墳の色彩のブルーを基調に何本ものガラス棒で持玉をふたつつくり、少し温度が下がったところで古墳の立体感を形成、さらに灰のなかで数時間かけて徐冷する。現在の古墳を象徴するもこもことした樹木は、ガラスを砕き、目の粗さの違う何種類ものふるいにかけてつくった粉砕ガラスをまぶすことで表現。見れば見るほどその深みのある色合いや文様に引き込まれていく。お香には古市古墳群に近い、河内ワインのワイナリーから提供されたブドウの皮を練り込んだ。お香の製造は、香料の配合やつなぎの分量など職人の感覚が大切。堺線香の伝統工芸士(奥野晴明堂)がみずから技術を高校生に指導し、彼らがみごとに実践した。時を越えて息づく世界遺産の魅力を、地元の伝統工芸が集結して新たなカタチで再現、そして次の世代へと伝えていく。
生地と呼ばれる太いガラス棒を複数本束ねて、カンテラという高温の石油バーナーで溶かしてから、棒に巻きつけて一気につくりあげる。束ねる色の組み合わせで色の出具合も変わる
山月工房 大阪府和泉市観音寺町862-5
*https://osaka-sei.m-osaka.com/product/658/ より
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