大内宿はまるで時間が止まったような景色だった。
どっしりとしたかやぶき屋根の家並みが続いていて
流れる水路にラムネや朝どりのトマトなどを冷やして売っている。
この暑さのなかで・・・と、
どれだけ冷たいのかしらと手を入れてみると
本当に冷たくて驚いた。
このごろ、認知症気味の母がほしがっていた芋がらを見つけて
買い求めた。
お雑煮に入ったこのずいきの味わいが
私は子どもの頃から好きだったが
今ではほとんど食べる機会がなかった。
混雑する前に、早めのお昼をと入った店で
「冷たいねぎそば」を頼んだ。
陽射しが遮られた家の中は
扇風機一つないのに涼しくてほっとひといきつけた。
急に雨が降り出し、
人々が買い求めた和傘をさして歩く景色は
やはりさまになる。
ねぎをかじりながら頂く冷たい汁のそばは
しっかりしていておいしかった。
ねぎではうまくそばをすくえないのに
ねぎをしきりにかじる私は
だんだん口の中に辛みが増してきて悲鳴をあげそうになる。
ねぎの辛みでまた暑さが吹き飛んだ。
きびきびと動く男性店員に建物のことを聞いていたら
「家は400年、私は二男で今日は手伝いにきてるんです」という。
年に数回の観光シーズンは家族総出とのこと。
それぞれの店で山ゴボウのごま漬けと
おばあさん手作りの餅を買い求めた。
朝どりのミョウガが売っていたのも買っていこう。