「金木犀」

久しぶりに実家を訪れた。
玄関先に金木犀が飾ってあり、香りが充満していた。

庭にまわると、花はもう満開で盛りを過ぎつつあるようだった。

今年は私の知らないうちに金木犀が通り過ぎてしまっていたような
何だかさびしい気がした。

私が力いっぱい傾げた枝を
母が慣れた手つきでたおる。

葉っぱの間にオレンジ色の花がこんもりと
ちりばめられているのを
ギュッと縛って持ち帰った。

バスの中も、歩きながらも
金木犀の香りに包まれて
小さい花々を振りまきながら
家路に着いた。

「秋のにおい」

不思議なことに9月に入るとススキが気になるようになった。
そうして十五夜が過ぎ
彼岸がやってきて

雨の翌日の朝はやっと金木犀の香りに気づいた
今年の金木犀の日は26日、ちょっと遅い秋のようだ

日中の陽射しはまだ夏を思わせるくらい容赦ない

県庁の前で久しぶりに萩を見た

紅色と白色が咲いていたが
もっと並んでたくさん咲いていてほしいくらい
こじんまりとしていた。
宮城は萩だもの

かえり道でふとギンナンの強いにおいがした
下を見て歩いているとひとつふたつにおいの主が落ちていた
昨日の雨風で一足早く落ちてしまったようだ

いつの間にか秋

台原森林公園の紅葉した木が
地下鉄の電車の窓に写って過ぎる