ぽぉぽぉたんのお部屋

季節の移ろい、道ばたの草花、美味しい食べ物、映画や友人のこと、想いがいっぱいの毎日をお話します

「母の身終い」

2014-03-30 | 想いで


出所した中年男アランが、老いた母親イヴェットの元に身を寄せる。
しかし思うように仕事は決まらず、母とは不機嫌にぶつかりあうばかり。
いたたまれず家を出たものの、隣人の老人の好意で置いてもらう始末だ。

自分が長年いっしょに暮らしかわいがっていた犬を殺して
ひと芝居うってまで息子を取り戻そうとした母の思い。

そんな母が末期がんの治療を拒み、
スイスの施設で尊厳死の契約をしているなんて。

息子はその事実を知っても止めることはできない。

母の淡々としたくらしぶり。
毎日、掃除や洗濯を静かにいつも通りこなしてゆく。

りんごの傷や虫食いをナイフでえぐっては皮をむき
隣人に頼まれたコンポートを作る。

彼女の人生は人生そのもので
幸福と言う縁取りはなかったのかもしれない。

私の思っていた尊厳死という言葉の印象とは違って
本当に薬を2種類飲んだだけのあっけない死に方だった。

ふがいない息子は、自分の生き方しかできなかった母の子育ての結果だと思う。
気難しい夫とこの母のもとで息子はどんなふうに育ってきたのだろう。
傷つき傷つけあい、遠ざかってを繰り返してきたのだろうか。

誰もあてにできない母にとっての息子はどんな存在だったのか。
母が尊厳死を選んでまで
息子に伝えたかったことがあったのかもしれないが
私にはやはり理解できない。

愛する息子に立ち直ってほしかったとしても
苦しむ自分の姿を見せたくなかったとしても
息子に負担をかけたくなかったとしてもだ。

息子のいる私には彼女の気持ちもわかるのだが
ふがいない息子への愛情の表現が違うのだろうか。

日本人の私には納得がいかない結末の映画だった。

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「ネブラスカ ふたつの心をつなぐ旅」

2014-03-17 | 映画のお話


老人が高速道路をとぼとぼと歩いている。
そこにパトカーが来て止まり、警官が老人を保護する白黒の場面

年老いて訳の分からない行動を繰り返す父を見守っている二男の姿が
何とも心温まる。
父が何をしたいのか、それにはどうしたらいいのか向き合ってゆく


今どき誰も騙されない100万ドル当選券を信じる父は
本当に認知症なのか、そうでないのか・・・

モノクロは思い出のシーンだけなのか、途中で色がつきだすのかと
期待しながらいたが最後までそれは変わらなかった。

そうして、アメリカのひと昔前を思わせるような田舎町、
そこに住む人々のかわり映えのしない毎日。
同じようなさびれた田舎町の風景が続いて
変化のない物語が進むと
一人席をたった。

つまらない映画と思ったのだろうか・・・

ほこりっぽくてよどんだ情景がこう続くと
確かにつまらないがそれが真実だと思う。

知らなかった父のこと、母のこと 母の恋敵のこと
仕事のパートナーのこと。

お人よしの父は全てがなつかしい良き友人たちと思いこんでいるが
大金が当たったと勝手に言いふらされて
あちこちでおごらされ、金を返してくれ、分けてくれと
ゆすりたかりに変わり、笑いものにされる始末

それでもモンタナからネブラスカまで
ゆっくりした車の旅はこの父子の凝縮した時間だったかもしれない。

ウディを演じた主演のブルース・ダーンが、
2013年・第66回カンヌ国際映画祭で男優賞を受賞したが
息子役の方に興味がわいた。
どんな俳優なのだろう。

人は年老いていくごとに気難しくなってゆくように思う。

後半、落ち合った母は父の事を口汚くののしることを繰り返す。
これでもかと続くうちにどうしたものかと思ったのだが
それが愛情の裏返しだと気づき、妻として母としての強い思い、
夫婦のバランスを感じさせられた。

兄と力を合わせて楽しげに盗む空気圧縮機、
ちょっとした仕返しと父の夢をかなえたことが救いだ。

息子のスバルとトラックを交換し
とっくに免許を失効した父が
トラックを運転して町の中を通りすぎる光景は
何とも誇らしい

こんなしゃれた親孝行ができたらなあ

年老いた両親のために私にできることは何だろうか



コメント (3)
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