私には生涯の師と仰ぐ恩師が二人おられる。
お一人は小学生の折のK坂先生。
そしてもう一方は大学で、所属するサークルの顧問を務められたI出先生。
K坂先生については、別稿に譲るとして、ここではI出先生との思い出話。
心理学を教わり、教科書だけは手元に大切に保存しているが、肝心の授業内容は遥か忘却の彼方。
離れて暮らすご子息(治さん?)が実家への安否確認の手段として、電話代が掛からぬよう「3回コール」を合図に決めていたと、嬉しそうに話されたことだけは何故か鮮明に覚えている。
それと合宿時、先生から促され持ち帰った面河渓の流木が、半世紀の時空を超えて今でもわが枯れ水槽を飾っている。
先生が退官(1992年9月9日71歳)された折には、お宅へ記念の備前焼徳利と、ぐい呑みをお届けに上がったものの、生憎お留守だったので置手紙をして帰った。
後日、先生からは退官記念に上梓された『ゑひもせす━ん』をご恵贈賜り、恐縮した。
本のタイトルも然ることながら、体裁もユニークで縦書き・横書きミックス。
おまけに文章が前と、後ろの両方から始まる。
サークル会報へは寄稿を頂き、写真そのものについてよりもカメラ談義を拝聴するにつけ、毎号発行を楽しみにしたものだ。
2020年2月24日、老衰のためご逝去された。97歳。
2月24日に「四国Vライン(瀬戸大橋~高知~松山)旅」をブログへアップしたばかりだが、奇しくも先生の4回目の祥月命日にあたる。
事前に気付いておれば、お墓に向かって手を合わすことが出来たのにと、“後で気がつくてんかん病”が悔やまれる。
改めて『ゑひもせす━ん』を再拝読し、大恩師を偲びたい。
心理学教科書と『えひもせすーん』
サークル会報の創刊号~第35号
面河渓で拾った流木