2025年2月1日 13:07 高野街道
河内長野駅前ですが、街道沿いは所々で伝統的な建造物に出会えます。
古い町並みが残る「酒蔵通り」では、「杉玉」や「高野街道」と書かれた灯籠がかつて街道筋として賑わいを見せた雰囲気を醸成します。
酒造りの大桶(おけ)と虫籠窓が印象的な国登録有形文化財「西條合資会社旧店舗」
創業 享保三年(1718)、300年以上ここで日本酒を造られてきました。江戸中期から同じ場所で継続して酒造りをされている造り酒屋は少ないです。特に江戸期は幕府の統制(酒造株による許可制・凶作による減醸令)があり、浮き沈みが激しかったようです。
現在は酒蔵直営ダイニング「大阪産料理 天空」となっていて、日本酒と季節のお料理が楽しめます。
河内で唯一の造り酒屋である「天野酒」で名高い「西條合資会社」。
大きな杉玉が上がっています。そして、店舗以外の敷地は酒蔵で囲まれています。
13:15 きょうはここで13:30より楽しみな酒蔵見学会が開催されます。ちょっと早く来て、お店を拝見。
たくさんの大きな杉玉。
いろんな清酒が造られています。甘口・辛口、吟醸・大吟醸、特別純米酒・純米大吟醸など。
「僧房酒」古来天野山金剛寺の僧坊酒を、当時の手法で復刻したお酒。琥珀色をしており、飲むととても甘みが先にきます。永享4年(1432)河内・天野酒の初見「看聞御記」に冬に造り、玄米を使用、二段仕掛けと見えます。
金賞受賞 全国新酒鑑評会で4年連続11回目の金賞を受賞しています。
お米だけの原料でよくあれだけフルーティな香りと芳醇な甘口のお酒ができると思います。(吟醸 天野酒の場合)
店頭の杉玉 緑が次第に褐色になってきます。
直営の大阪産料理店「天空」
江戸末期の建物で厨子(つし)二階平入り、入母屋、桟瓦葺き、虫籠窓、出格子、駒つなぎが2つ付いています。
大きな三段仕込み用の醪(もろみ)桶(おけ)。本来は酒蔵の中で使われるもの。
桶(おけ):柾目の材料を使い、固定した蓋のないもの。
樽(たる):板目の材料を使い、固定した蓋がついたもの。
柱の上のリングは駒つなぎ。運搬や商用の牛や馬を繋(つな)いで置くもの。
柱の減り方からみて、主に牛を繋いだものと思われます。なぜなら比較的低いところがすり減っているから。牛や馬は体に虫などが付いてかゆい時に柱をゴシゴシして、カードがないと柱がすり減ります。
明治末期までは「三木正宗」、大正・昭和は「波之鶴」という銘柄でしたが、昭和46年(1971) より天野山金剛寺の許可を得て「天野酒」を復活させました。
お酒の銘柄で「正宗」や「鶴」が多いのはなぜでしょうか?酒蔵見学会の解説の方のお話では、「鶴」や「亀」はめでたいのでよく使われるとのこと。
「鶴」:「白鶴」「澤の鶴」「鶴の友」「竹鶴」「姫鶴」「米鶴」「土佐鶴」など。
「亀」:「亀の翁」「亀の王」「亀泉」「鄙亀(ひなかめ)」「亀の海」「亀の尾」など。
「正宗」:鎌倉末期の日本刀の名人「正宗」の「よく斬れる」刀。それにあやかって「キレの良い」酒。
例:「菊正宗」「桜正宗」「大黒正宗」「浪花正宗」「キンシ正宗」など。
なんかお相撲さんの四股名(しこな)のようですね。
吹き抜けの土間。ここにはへっついさん(かまど)の跡があり、「ダイドコ」(台所・炊事場)のようです。薪の煙を2階に直接逃がして、柱や梁に虫がつかないよう燻煙したのだと思われます。1階に煙が回ると住んでいて煙たいです。
杜氏のお名前が入っているのが、特徴です。
ここは丹波杜氏(兵庫県篠山市周辺)ではなく南部杜氏(岩手県花巻市周辺)です。現在杜氏(責任者)と3名の蔵人(杜氏のもとで働く人)が冬場に来られています。
越後杜氏を加えて日本三大杜氏になります。
なんとたくさんの賞状。清酒を造るのはとても繊細で難しいですが、いいものを作るにはさらに手間が掛かります。
風情ある趣の「酒蔵通り」
ここだけ電柱もなく、舗装も特別です。荷車や人力車が出てきてもおかしくないですが、車が抜け道でよく通るのがマイナスイメージ。重要な観光名所だけに規制してほしいです。
工場の敷地内。一升瓶のコンテナが山積みされています。
古い酒蔵。漆喰でなく土壁のままの酒蔵は珍しいですね。
店舗で販売されている「ミニ杉玉」は青々としていますが、店頭に吊るされている大杉玉は茶色くなってきましたね。
「天野酒 酒蔵見学会 その2」では、いよいよ酒蔵の見学を見ていただきます。
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