アンティークマン

 裸にて生まれてきたに何不足。

日本への「食料支援」

2008年07月17日 | Weblog
  日本も受けた「食料支援」

 洞爺湖サミットで、アフリカへの食料支援が緊急な課題ということで、日米両国が食料安全保障の強化のために協力することになりました。日本が食糧支援をする!これまでもやってきていますが、ODAであり、食料のみが強調されるケースがなかったので目立ちませんでした。
 アフリカへの食料支援のプログラムは・・・
1 米を含む主要食用作物の生産倍増に向けて取り組む
2 肥料及び種子等を支援することにより、重要な供給面の対応を早急に開始する
3 支援維持に必要な、アクセス整備
 是非早急に取り組んでいただきたい。この政府の発表を見て、還暦パパとして感慨深いモノがありました。「米が、ぬれぎぬを着せられたことがあったよなあ!」と「日本も食糧支援を受けていたよなあ!」…です。
 まず、「米へのぬれぎぬですが・・・「米食低脳論」と言う論がありました。還暦を過ぎた人でなければ聞き覚えがないでしょう。「米を食うとバカになると言う理論」そんな、理論あるわけ…あったのですよ!笑えるでしょう!昭和30年代のことでした。私は、小学生でしたから完全に真に受けましたよ。もっとも、当時の我が家の主食は、ジャガイモとカボチャでしたから、米を食べて低脳になる心配はなかったのですが。
 「米食低脳論」を唱えたのは、泣く子は黙らないけど、日本の頭脳とも言うべき、慶応大医学部教授。彼が米を食べなかったかどうかは不明ですが、著書はベストセラーになったのです。
 「パンは栄養を運ぶ。米は死を運ぶ」「米の食べ過ぎ低脳のもと。早死にのもと」・・・。パンを食べて戦争に勝った国と、米を食べて負けた国・・・説得力がありましたよ。その事実を突きつけられると、「米が悪いんだぁ!」と思ってしまいます。この低脳論、バカバカしさに国民が気づいたのか、知らないうちに消えて…今は時折笑い話になる程度です。だけど、何でアメリカが「米国」なんだ?すぐ横道へそれる・・・江戸時代末期、アメリカを「亜米利加」と書いた。漢字二文字で表記するとき、アクセントの「メ」つまり「米」を採用した。それで「米国」(当たらずとも遠からずでしょう。本人は自信ありです)。ともあれ、コメとは何らの関係もないようです。韓国、台湾、中国では、アメリカを、「美国」としています。

 日本も食料支援を受けていた…

 感慨深いことのもう一つ・・・この低脳論と時期を同じくして、日本政府が、「栄養改善運動」なるものを展開しました。バスを改造したキッチンカー(この言葉は、60歳以上の人にとって懐かしい言葉です)を4年間走らせ、2万カ所もの会場で、200万人を集め料理講習会を行ったのです。
 キッチンカーでのメニューは・・・これが問題(現代日本の問題)なのですが、「パン食と欧米料理(乳製品、油、肉、ソーセージ、卵などを素材としたもの)」。
 昭和30年頃の日本にどうしてそんなお金があったの?あるわけないでしょう!アメリカですよ、アメリカ!
 アメリカの支援は、キッチンカーのガソリン代、運転手の給料、調理材料費等の全て。

 日本にとって良かったのは・・・
 当時の、日本の食料事情(栄養事情)は、極端に悪かったのです(栄養失調という言葉は今や死語ですが、還暦パパの幼少の頃は、生きて働いていました。実際私も間違いなく栄養失調でした)。日本人にパンと牛乳を飲ませる事により、食料事情・栄養状態が序々に安定してきたのです。

 日本にとって悪かったのは・・・
 欧米風の食事の普及で、元来日本人の病気としてはまれだった、ガン、脳血管障害、心臓病、糖尿病、気管支喘息、アトピー性皮膚炎、アレルギー等が増加しました。と、いうより、現代日本の病気の主流になっています。

 ただ・・・以上のように書くと、アメリカの食料支援ですが、別の見方もあったようです。
 アメリカは、第二次世界大戦、朝鮮戦争へ大量の食料を供給していたのですが、それが終わると食料過剰となっていきました。小麦、大豆、トウモロコシ等の穀類や牛乳、肉などがふんだんにあり倉庫に莫大なストックをかかえていました。さらに、昭和29年の大豊作で、食料保管の倉庫代が1日2億円(当時のお金でですよ!)となり…。それら、余剰食料の消費国(「売りつけるターゲット」などと、意地の悪いことは言いません)をさがしてを日本を選んでくださった。
 有り余って困っている食料の消費拡大宣伝カーであるキッチンカーへの手厚い支援。このことによってパン食が日本人の食生活に深く根づくことになったわけです。アメリカの思惑通りになったとの見方があるのも当然かもしれません。

 あれからおよそ半世紀。食料がなかった日本が、アフリカに支援するようになった。ただ…ガン、脳血管障害、心臓病、糖尿病、気管支喘息、アトピー性皮膚炎、アレルギー等をそっくり援助しないように…その点も支援プログラムへ入れてほしいものです。
 
 日本は、「食育」という言葉が出てきて、生活習慣病の予防が課題となっています。キッチンカーで形成された日本の食。食育でもう一度、日本型に戻すことができるか!