野球留学 どこの高校へ行こうが勝手でしょ
甲子園を目指して、高校野球の地区大会たけなわです。
高校野球界を揺るがし、(地区大会への)出場辞退校まで出た、「野球特待生問題」も、日本高校野球連盟は条件付きで野球特待生を認める新基準を決め、2009年度から実施すると発表したことでとりあえず終息。野球特待生は、1学年5人ということですが、これって…なんの権利があって高野連が人数を決めるのかねえ!私立学校の経営権侵害になるのでは?
3年間の試行期間で実態把握をするそうですが…
○ 採用人数を6~7人まで増やせないか
○ 5人分の金額を総額とし、半額免除で10人を採用できないか
などの意見が寄せられているようです。二つめの意見を進めると、25%免除にして、20人の特待生を採用したいという話にもなりかねない。
特待生問題は先が見えてきましたが、連動する部分がある野球留学については、出るわけもないんですが結論が出ていません。
高野連加盟の野球部(部長、監督)対象アンケート結果
<野球留学をどう思うか>
問題ない 36.2%
望ましくない 35.9%
分からない 26.4%
非該当 1.5%
2003年の数字なので、現在は変化しているとは思いますが十分参考になる値です。
高校野球の指導者間で、「野球留学」を問題なしとする人と、望ましくないとする人が拮抗しています。野球関係者は、「問題ないと思っている」と、予想したので、意外でした。「望ましくない(およそ1,500高校)」の中には、「全面的に規制すべきだ(およそ500高校)」が含まれています。
野球留学(定義は不明確です。おおむね、他都道府県の野球強豪高校へ進学すること)、批判が根強いことが分かりますが、義務教育じゃあないんだから!高校へだって、行かなくても良いのです。また、浦添商業高校(沖縄)へ行こうが、稚内高校(北海道)へ行こうがいいでしょう。ベルモントハイスクール(マサチューセッツ州)という選択肢だってある。その高校で、野球をしようが相撲をしようがこれまた勝手なはず。
望ましくないとする野球関係者は、「ライバル校が留学生を集めて強くなる。うちは地元の生徒だけだから、ますます差がつく。不公平だ!」ということでしょうか。一方、野球留学を目指す球児にとっては、「禁止されたり、規制されたり、進路選択の自由が通らないなんて不公平だ!」となるでしょう。
不幸へのほかの、「望ましくない」理由・・・日本国民の中には、甲子園大会が始まると、地元代表校を応援する。地元が、敗退すると、次は、少しでも地元に近い都道府県の高校を応援する。つまり、お盆ということもあり(あるのか?)「郷土愛」がはたらくのです。その郷土の高校の野球部のメンバーが、他都道府県の中学校出身者に占められるとなると、「おいおい、外人部隊かい!そりゃないべさ!」となる。この場合、心情は少しだけ理解できる。しかし、but! 野球留学そのものと郷土愛は、全く別次元のものという認識を持っていただかなくてはなりません。
大相撲を見てください。郷土愛よりさらに大きな人類愛ですよ。幕内力士42人中、外国人力士が14人。実に33%。14人の内訳は、モンゴル~8、ロシア~2、グルジア~2、ブルガリア~1、エストニア~1・・・朝刊で調べたんですから、最新の数字ですよー。
日本古来の国技ともいうべき大相撲で活躍するのが外国人!東西の横綱は外国人!当初批判がありましたが、今は誰も批判していないのでは。落ち着いてしまうと、波風を立てることがむなしい行為に思えてくるものです。野球留学けしからん派は、大相撲の状況はどう見るのでしょうか。「けしからん」と言いながら、琴欧州を応援していたりして!(注:「国技ともいうべき」とぼかして書いた理由は、大相撲は日本の国技ではないからです。国旗、国歌は法律で決められていますが、国技についての法律はありません。ではなぜ、「国技館」なんだ?明治42年、両国に大相撲の常設館が完成しました。命名委員会では、「尚武館」などが候補に挙がりましたが…尚武館では、イメージはむしろ柔道・剣道。「相撲は日本の国技ともいうべきもの、柔道・剣道との差別化をはからなければ」「おう!それだ!それにするべ!」というわけで、国技館と命名しました。そのため国民の皆様には、相撲=国技という概念を構築させてしまいました。命名委員会に成り代わり、還暦パパからお詫び申し上げます)
さて、日本古来ではなく、アメリカから来た野球の留学・・・
楽天のマー君は、兵庫県伊丹市から北海道の駒澤大学付属苫小牧高校へ。
10代では唯一人、北京五輪星野ジャパン入りです。辛口の野村監督も、「精神的に強い。ガッツがある。毎日でも投げられると思う」と太鼓判を押しています。15の春に、伊丹市から寒風吹きすさぶ苫小牧市へ来て、甲子園で優勝2回、準優勝1回。「精神力・ガッツ」半端なものじゃないでしょう。
おなじく五輪代表、今や日本一の安定した投手と言われているダルビッシュも、大阪府羽曳野市から宮城県東北高校へ。
シカゴカブスの福留孝介は、鹿児島県曽於郡大崎町からPL学園です。ボストンレッドソックスの松坂大輔も、近いとはいえ、東京都江東区から、神奈川県横浜高校です。
この高校留学、野球に限ったことではなく・・・朝青龍は、ウランバートルから高知県の明徳義塾高校へ文字通り相撲留学。ゴルフの宮里藍は、沖縄県国頭郡東村から、(ダルビッシュと同じ)宮城県の東北高校へ。卓球少女愛ちゃんこと、福原愛は、仙台生まれの大阪育ちで、中学・高校は青森県の青森山田中、青森山田高校へ。バスケットボールの、田臥勇太は、神奈川県横浜市から、秋田県の能代工業高校へ。枚挙にいとまがありませんなあ。
マー君から、田臥選手まで、「留学だ!けしからん!」という世論ありますか?ないですよね。結局、たいした根のない反対論ということでしょう。「全面規制が必要」との意見も結果が出てしまうと、文句を付けてもどうにもならないということです。
だめ押しとして…野球留学は望ましくないとお考えの方は、次の問いに明快に答えていただきたい。
1 私立高校は、学区なしですよね。つまり、留学OKですよね。
2 公立高校で、県境にあり、隣の県の高校の方がアクセスがよい場合がけっこうあります。そのアクセスのよい隣の県の高校の野球部に入ると、野球留学になりますかね?敢えて、不便な高校へ行けとは言いせんよね。
3 距離のことをいえば、北海道の稚内から札幌の野球強豪高校へ進学した場合、377kmですよ。東名高速でいうと、東京~関ヶ原までの距離です。それだけ離れていても、同じ北海道内なので、野球留学には該当しないんですよね?
4 有名進学校(灘、東大寺学園、甲陽学院、開成、大阪星光学院、洛星、鹿児島ラサールなど)へは、県境を越えて秀才が集まります。彼らが野球部へ入ると、当然野球留学でしょうね。
5 保護者の転勤で、出身中学校とは違う都道府県の高校の野球部へ入った場合は?
上記のように、生徒一人一人のケースが違いますから、「野球留学に関する規定」を作成する場合、生徒の数だけの決まりを作らなければなりません。 そんなこんなで、私は野球留学は、生徒個人と責任ある保護者(責任ある保護者ですよ。無責任保護者、名ばかり保護者、なんちゃって保護者ではなく)で決めることと思っています。どこの高校へ行こうと勝手でしょ!ってわけ。
ただ一点、危惧していることがあります。「15の春に親元を離れ、見知らぬ土地で野球をする」マー君にしろ、ダルビッシュにしろ、成功した場合はそれでいいのです。成功した選手、道を踏み外さなかった選手の陰で、その何倍、何十倍の選手が泣いたか!ということです。3年間やり通せるのか?こころざしなかばで野球をやめ、学校も中退してしまうのか・・・先は誰も分かりません。後者は、人生を左右する問題です。最悪の事態を回避できる環境での野球留学であってほしいと願うものです。
甲子園を目指して、高校野球の地区大会たけなわです。
高校野球界を揺るがし、(地区大会への)出場辞退校まで出た、「野球特待生問題」も、日本高校野球連盟は条件付きで野球特待生を認める新基準を決め、2009年度から実施すると発表したことでとりあえず終息。野球特待生は、1学年5人ということですが、これって…なんの権利があって高野連が人数を決めるのかねえ!私立学校の経営権侵害になるのでは?
3年間の試行期間で実態把握をするそうですが…
○ 採用人数を6~7人まで増やせないか
○ 5人分の金額を総額とし、半額免除で10人を採用できないか
などの意見が寄せられているようです。二つめの意見を進めると、25%免除にして、20人の特待生を採用したいという話にもなりかねない。
特待生問題は先が見えてきましたが、連動する部分がある野球留学については、出るわけもないんですが結論が出ていません。
高野連加盟の野球部(部長、監督)対象アンケート結果
<野球留学をどう思うか>
問題ない 36.2%
望ましくない 35.9%
分からない 26.4%
非該当 1.5%
2003年の数字なので、現在は変化しているとは思いますが十分参考になる値です。
高校野球の指導者間で、「野球留学」を問題なしとする人と、望ましくないとする人が拮抗しています。野球関係者は、「問題ないと思っている」と、予想したので、意外でした。「望ましくない(およそ1,500高校)」の中には、「全面的に規制すべきだ(およそ500高校)」が含まれています。
野球留学(定義は不明確です。おおむね、他都道府県の野球強豪高校へ進学すること)、批判が根強いことが分かりますが、義務教育じゃあないんだから!高校へだって、行かなくても良いのです。また、浦添商業高校(沖縄)へ行こうが、稚内高校(北海道)へ行こうがいいでしょう。ベルモントハイスクール(マサチューセッツ州)という選択肢だってある。その高校で、野球をしようが相撲をしようがこれまた勝手なはず。
望ましくないとする野球関係者は、「ライバル校が留学生を集めて強くなる。うちは地元の生徒だけだから、ますます差がつく。不公平だ!」ということでしょうか。一方、野球留学を目指す球児にとっては、「禁止されたり、規制されたり、進路選択の自由が通らないなんて不公平だ!」となるでしょう。
不幸へのほかの、「望ましくない」理由・・・日本国民の中には、甲子園大会が始まると、地元代表校を応援する。地元が、敗退すると、次は、少しでも地元に近い都道府県の高校を応援する。つまり、お盆ということもあり(あるのか?)「郷土愛」がはたらくのです。その郷土の高校の野球部のメンバーが、他都道府県の中学校出身者に占められるとなると、「おいおい、外人部隊かい!そりゃないべさ!」となる。この場合、心情は少しだけ理解できる。しかし、but! 野球留学そのものと郷土愛は、全く別次元のものという認識を持っていただかなくてはなりません。
大相撲を見てください。郷土愛よりさらに大きな人類愛ですよ。幕内力士42人中、外国人力士が14人。実に33%。14人の内訳は、モンゴル~8、ロシア~2、グルジア~2、ブルガリア~1、エストニア~1・・・朝刊で調べたんですから、最新の数字ですよー。
日本古来の国技ともいうべき大相撲で活躍するのが外国人!東西の横綱は外国人!当初批判がありましたが、今は誰も批判していないのでは。落ち着いてしまうと、波風を立てることがむなしい行為に思えてくるものです。野球留学けしからん派は、大相撲の状況はどう見るのでしょうか。「けしからん」と言いながら、琴欧州を応援していたりして!(注:「国技ともいうべき」とぼかして書いた理由は、大相撲は日本の国技ではないからです。国旗、国歌は法律で決められていますが、国技についての法律はありません。ではなぜ、「国技館」なんだ?明治42年、両国に大相撲の常設館が完成しました。命名委員会では、「尚武館」などが候補に挙がりましたが…尚武館では、イメージはむしろ柔道・剣道。「相撲は日本の国技ともいうべきもの、柔道・剣道との差別化をはからなければ」「おう!それだ!それにするべ!」というわけで、国技館と命名しました。そのため国民の皆様には、相撲=国技という概念を構築させてしまいました。命名委員会に成り代わり、還暦パパからお詫び申し上げます)
さて、日本古来ではなく、アメリカから来た野球の留学・・・
楽天のマー君は、兵庫県伊丹市から北海道の駒澤大学付属苫小牧高校へ。
10代では唯一人、北京五輪星野ジャパン入りです。辛口の野村監督も、「精神的に強い。ガッツがある。毎日でも投げられると思う」と太鼓判を押しています。15の春に、伊丹市から寒風吹きすさぶ苫小牧市へ来て、甲子園で優勝2回、準優勝1回。「精神力・ガッツ」半端なものじゃないでしょう。
おなじく五輪代表、今や日本一の安定した投手と言われているダルビッシュも、大阪府羽曳野市から宮城県東北高校へ。
シカゴカブスの福留孝介は、鹿児島県曽於郡大崎町からPL学園です。ボストンレッドソックスの松坂大輔も、近いとはいえ、東京都江東区から、神奈川県横浜高校です。
この高校留学、野球に限ったことではなく・・・朝青龍は、ウランバートルから高知県の明徳義塾高校へ文字通り相撲留学。ゴルフの宮里藍は、沖縄県国頭郡東村から、(ダルビッシュと同じ)宮城県の東北高校へ。卓球少女愛ちゃんこと、福原愛は、仙台生まれの大阪育ちで、中学・高校は青森県の青森山田中、青森山田高校へ。バスケットボールの、田臥勇太は、神奈川県横浜市から、秋田県の能代工業高校へ。枚挙にいとまがありませんなあ。
マー君から、田臥選手まで、「留学だ!けしからん!」という世論ありますか?ないですよね。結局、たいした根のない反対論ということでしょう。「全面規制が必要」との意見も結果が出てしまうと、文句を付けてもどうにもならないということです。
だめ押しとして…野球留学は望ましくないとお考えの方は、次の問いに明快に答えていただきたい。
1 私立高校は、学区なしですよね。つまり、留学OKですよね。
2 公立高校で、県境にあり、隣の県の高校の方がアクセスがよい場合がけっこうあります。そのアクセスのよい隣の県の高校の野球部に入ると、野球留学になりますかね?敢えて、不便な高校へ行けとは言いせんよね。
3 距離のことをいえば、北海道の稚内から札幌の野球強豪高校へ進学した場合、377kmですよ。東名高速でいうと、東京~関ヶ原までの距離です。それだけ離れていても、同じ北海道内なので、野球留学には該当しないんですよね?
4 有名進学校(灘、東大寺学園、甲陽学院、開成、大阪星光学院、洛星、鹿児島ラサールなど)へは、県境を越えて秀才が集まります。彼らが野球部へ入ると、当然野球留学でしょうね。
5 保護者の転勤で、出身中学校とは違う都道府県の高校の野球部へ入った場合は?
上記のように、生徒一人一人のケースが違いますから、「野球留学に関する規定」を作成する場合、生徒の数だけの決まりを作らなければなりません。 そんなこんなで、私は野球留学は、生徒個人と責任ある保護者(責任ある保護者ですよ。無責任保護者、名ばかり保護者、なんちゃって保護者ではなく)で決めることと思っています。どこの高校へ行こうと勝手でしょ!ってわけ。
ただ一点、危惧していることがあります。「15の春に親元を離れ、見知らぬ土地で野球をする」マー君にしろ、ダルビッシュにしろ、成功した場合はそれでいいのです。成功した選手、道を踏み外さなかった選手の陰で、その何倍、何十倍の選手が泣いたか!ということです。3年間やり通せるのか?こころざしなかばで野球をやめ、学校も中退してしまうのか・・・先は誰も分かりません。後者は、人生を左右する問題です。最悪の事態を回避できる環境での野球留学であってほしいと願うものです。