アンティークマン

 裸にて生まれてきたに何不足。

「小さなおうち」と、しなかった理由…

2014年03月07日 | Weblog
 「小さいおうち」…文法的に間違いはない。しかし、どーもしゅっくりこない?「小さなおうち」のほうがいいんじゃないか?直木賞作家の中島京子さんに、いちゃもんつけるのかって?作家さんに、国文法で対抗する気はありませんが、連体詞(小さな)ではなく、形容詞(小さい)にしたのには何かわけがあるのではないか?それをみつけたい…そんなわけで、映画化された「小さいおうち」を、見てきました。それなら小説を読めばいいだろうって?図書館に無かったんです…。
映画「小さいおうち」の監督は、山田洋次さん。出演した黒木華さんは、第64回ベルリン国際映画で最優秀女優賞に選ばれた。実は、ベルリンで、最優秀女優賞に選ばれた女優の縁起とはどんなものなのか…これが一番見たかったんですがね。

 ストーリーは、「奥さんが浮気するはなし」。なんなんだ!大枚千円出して、この映画かい!がっかり。…しかも冗長。近くの席の客など、映画が始まって10分も経たないうちに、イビキをかいていました。150人ほどの観客の半分は寝てました。私も何度か目をつぶりましたが、眠れませんでした。席が前から5列目…スピーカーからの音声がうるさくて眠れやしない。

 2時間25分という上映時間…印象に残ったシーンは…ない。最優秀女優賞の演技は…マッサージが上手…これは、演技ではないかな。ベルリン国際映画の審査員たちは、黒木華さんの、着物姿に注目したか?主役の松たか子だって着物姿でしたから、着物は関係なさそう。割烹着(かっぽうぎ)でしょうかねえ?

 で、中島京子さんが、「小さなおうち」ではなく「小さいおうち」にした理由…分かりました。
 黒木華さんが女中奉公した、赤い屋根の小さな家…2時間25分もの間次々と事件が起こった。そして戦火で焼けてしまった。小さな家は生きていた。だから、「活用がある」形容詞をつかい、「小さいおうち」とした。小さかろうおうち、小さかったおうち、小さいおうち。これ、正解だなきっと。こんなことを考えるのは日本中捜しても私しかいないかな。

 冗長な映画と書きましたが、山田洋次監督の名誉のために、クオリティの高さを述べますと…
1937(昭和12)年12月、南京陥落の際に行われた大ちょうちん行列は、大伯母(倍賞千恵子)にとって「戦前の東京が最も輝いていた夜」だった。デパートは戦勝大売り出しでにぎわい、銀座のパーラーでは恋人たちが憩う…。戦時の暗黒の時代に…恋人たちが憩ったのか?このあたり、昭和前期の生活の匂いや彩りを感じさせられました。山田監督御自身が生きた時代…「生き証人」がメガホンをとった映画だなと思います。