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日本は危険な国家なのか?

2015-10-19 08:43:58 | マスメディア
 歴史人口学者のエマニュエル・トッド氏は文芸春秋10月号に「幻想の大国を恐れるな」という興味深い記事を書いています。記事の主旨は中国問題ですが、話は日本の事情にも及んでいます。(トッド氏はソビエトの崩壊を予想したことで注目され、最近の著書「『ドイツ帝国』が世界を破滅させる」はベストセラーになっています)

「私が日ごろから非常に不思議だと感じているのは、日本の侵略を受けた国々だけでなく、日本人自身が自分達の国を危険な国家であると、必要以上に強く認識している点です」
「長い日本の歴史の中で、日本が侵略的で危険な国であったのは、ほんの短い期間に過ぎません。しかも日本が帝国主義的で軍国主義的だった二十世紀の前半は、ヨーロッパの大国も同じことをやっていました。(中略)当時の日本の攻撃的な性格はもともとあったもので、日本という国家の決定的な本質であるかのような議論はまったく非現実的であると思うのです」

 トッド氏は、歴史的な経過の中で、左派の論拠がまったく非現実的であると指摘しています。私もまったく同感です。ただ戦後70年も経っているのになぜ連綿と続いているのか、その解明が十分になされてきたとは思えません。

 そこには単に左派が強情であるとか、硬直的であるとかではなく、メディアを含めた構造的な問題があるように思います。ごく簡単に言えば、それによって食っている人たちがいて、それに乗せられている人たちがいるということになりましょうか。ひとつの特殊な産業が成立しているといってもよいでしょう。

 それによって食っている人たち、とは左派メディアなどのことです。政治に緊張感をもたらすという点では有益ですが、重要な課題に対する国論の統一という点では明らかに有害です。いささか迷惑な産業ってことになりますね。

 何万人もの人がかかわっている左派のメディア、学者・文化人の認識が正しく、エマニュエル・トッド氏が誤っているのでしょうか。もっとも左派のメディアや学者でソビエトの崩壊を予想した人はいなかったようです。彼は次のようにも述べています。

「私は日本自身の防衛力の強化が不可欠だと考えています。日本は、巨大な中国に対して科学技術上、経済上、そして軍事技術上の優位を保ち続けていかなければなりません」・・・日本では言い難い雰囲気がありますが、ごくあたりまえのことです。

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