「やっぱり芝エビは旨いね」「このレッドキャビアは最高」「冷凍の魚はまずいけど鮮魚は味が違うね」「さすが、違いがわかるのですね」
ホテルのレストランではこんな会話が交わされていたことでしょう。
この料理偽装事件によって、実は「違いがわからない」ひとであることが証明された例は少なくないでしょう。食通ぶりを自慢していた方々は恥をかかされたわけですから、怒るのも無理はありません。
しかし、メディアの騒ぎ方は少し度が過ぎるようです。他からの告発ではなく、ホテル側の自主的な発表なのに、ホテル社長の3時間にも及ぶ記者会見はまるで吊るし上げ大会のようです。メニューと料理に食い違いがあっても、客が料理に満足していたのなら、それでいいのではないか、という考えもあります。また、客にわからないのならば、もともと意味のない情報であると言えます。
23日の朝日新聞は朝夕刊とも一面トップ、社会面でも大きく取り上げました。一面の小見出しに「景品表示法抵触か」と書き、違法行為の疑いがあることを訴えています。このように書かれれば役所は法の適用を検討せざるを得ないことになります。過ぎたバッシングをすれば、今後、自主的に過誤を発表しようとする者はいなくなるでしょう。クビが飛ぶのであれば私は自分から発表しません。
さて、この23日にはもうひとつ重要な記事がありました。朝日の4面に小さく「除染だけで年1ミリシーベルト、短期には不可能」という見出しがついています。この見出しからは除染の困難さを示す記事かと受けとれますが、内容は全く異なります。初めの部分を引用します。
『国際原子力機関(IAEA)の調査団が21日にまとめた除染に関する報告書は、年1~20ミリシーベルトの追加被曝線量は国際基準で許容されるのに、住民の関心は年1ミリシーベルトの達成に集中している現状を危惧する内容だった。日本政府に対して、除染の実際の活動と住民の期待とのギャップを埋める努力が必要だと指摘した。
調査団は、報告書に盛り込んだ8項目の助言の中で、除染を行っている状況では、年1~20ミリシーベルトは許容できるとして、被曝線量の国際的な基準や国際放射線防護委員会(ICRP)、世界保健期間(WHO)、などの国際組織の同意に沿っていることを国民に広く知らせるべきだと指摘。長期的な目標として政府が掲げる年1ミリシーベルト以下の被爆線量は、除染だけで短期間に達成できないと住民に説明する努力をすべきだと求めた』
つまり、IAEAは、除染中は年20ミリシーベルトまでの被曝は許容できるので、年1ミリシーベルトにこだわることはない。神経質になりすぎであり、そのことを国民に知らせるべきだというわけであります。別の助言では、そうすれば除染の費用の一部をインフラの復旧に回せるとあります。
これは政府だけでなく、メディアに対しても言うべきことでしょう。原発反対の立場から被曝許容量を恣意的により厳しく見せていると思えるからです。
それにしてもこの見出し「除染だけで年1ミリシーベルト、短期には不可能」には驚きます。内容と見出しの見事な不一致、文句なしの落第点です。記事の内容をなんとか正反対に誤解させたいというお心だけは十分に伝わりますが。
IAEAの記事を小さく報じるだけでなく、その内容を故意に誤解させるような見出しをつけた記事に比べれば、料理メニューの誤りなど、どうでもいいことに思えます。
情報操作は政府がやるものと思っていましたが、この新聞も負けず劣らずです。ご親切にも、情報操作によって国民が判断する手間を省いてくれるというわけです。自分達は正しいのだと、完全な自信がおありなのでしょう。
ホテルのレストランではこんな会話が交わされていたことでしょう。
この料理偽装事件によって、実は「違いがわからない」ひとであることが証明された例は少なくないでしょう。食通ぶりを自慢していた方々は恥をかかされたわけですから、怒るのも無理はありません。
しかし、メディアの騒ぎ方は少し度が過ぎるようです。他からの告発ではなく、ホテル側の自主的な発表なのに、ホテル社長の3時間にも及ぶ記者会見はまるで吊るし上げ大会のようです。メニューと料理に食い違いがあっても、客が料理に満足していたのなら、それでいいのではないか、という考えもあります。また、客にわからないのならば、もともと意味のない情報であると言えます。
23日の朝日新聞は朝夕刊とも一面トップ、社会面でも大きく取り上げました。一面の小見出しに「景品表示法抵触か」と書き、違法行為の疑いがあることを訴えています。このように書かれれば役所は法の適用を検討せざるを得ないことになります。過ぎたバッシングをすれば、今後、自主的に過誤を発表しようとする者はいなくなるでしょう。クビが飛ぶのであれば私は自分から発表しません。
さて、この23日にはもうひとつ重要な記事がありました。朝日の4面に小さく「除染だけで年1ミリシーベルト、短期には不可能」という見出しがついています。この見出しからは除染の困難さを示す記事かと受けとれますが、内容は全く異なります。初めの部分を引用します。
『国際原子力機関(IAEA)の調査団が21日にまとめた除染に関する報告書は、年1~20ミリシーベルトの追加被曝線量は国際基準で許容されるのに、住民の関心は年1ミリシーベルトの達成に集中している現状を危惧する内容だった。日本政府に対して、除染の実際の活動と住民の期待とのギャップを埋める努力が必要だと指摘した。
調査団は、報告書に盛り込んだ8項目の助言の中で、除染を行っている状況では、年1~20ミリシーベルトは許容できるとして、被曝線量の国際的な基準や国際放射線防護委員会(ICRP)、世界保健期間(WHO)、などの国際組織の同意に沿っていることを国民に広く知らせるべきだと指摘。長期的な目標として政府が掲げる年1ミリシーベルト以下の被爆線量は、除染だけで短期間に達成できないと住民に説明する努力をすべきだと求めた』
つまり、IAEAは、除染中は年20ミリシーベルトまでの被曝は許容できるので、年1ミリシーベルトにこだわることはない。神経質になりすぎであり、そのことを国民に知らせるべきだというわけであります。別の助言では、そうすれば除染の費用の一部をインフラの復旧に回せるとあります。
これは政府だけでなく、メディアに対しても言うべきことでしょう。原発反対の立場から被曝許容量を恣意的により厳しく見せていると思えるからです。
それにしてもこの見出し「除染だけで年1ミリシーベルト、短期には不可能」には驚きます。内容と見出しの見事な不一致、文句なしの落第点です。記事の内容をなんとか正反対に誤解させたいというお心だけは十分に伝わりますが。
IAEAの記事を小さく報じるだけでなく、その内容を故意に誤解させるような見出しをつけた記事に比べれば、料理メニューの誤りなど、どうでもいいことに思えます。
情報操作は政府がやるものと思っていましたが、この新聞も負けず劣らずです。ご親切にも、情報操作によって国民が判断する手間を省いてくれるというわけです。自分達は正しいのだと、完全な自信がおありなのでしょう。