日本経済新聞によると、主な投資信託の昨年末から12月18日までの平均成績はマイナス40%で、下落率トップはマイナス78.8%となっています(12/24付)。また12月13日付の同紙には株や投信の含み損をアンケート調査した結果が載っています。それによりますと有効回答618人のうち62%の人は投資をしていませんが、36%の人が含み損を抱え、含み益が出ている人は2%となっています。また「暴落で胃潰瘍になった」「10日連続でストップ安になり寝込んでしまった」などの話も載っています。まあ現在の投資の状況は惨憺たるものと言ってよいでしょう。
「貯蓄から投資へ」という国の方針には日経はもちろん、朝日新聞も協力的であったと思います。朝日新聞は『お金は銀行に預けるな・・・』の著者であり、「投資」をお勧めの論客、勝間和代氏を重用してきました。投資に対するスタンスはともかくとしても投資を取り上げてきた以上、またそれが国の方針であった以上、朝日新聞は現在の投資の状況を広く国民に知らせる責務があると思います。
しかし、購読紙である朝日をすべて見ているわけではないので断言はできませんが、投信の運用成績や個人の投資成績に関する記事は多分なかったと思います(他紙はわかりませんのでここでは触れません)。少し前、流行ったデイトレーダーやFXの参加者が現在どのような状況に置かれているのか、なども含め調査報道を是非とも実施してほしいと思います。投資に興味のある人にとっては重大関心事です。投資による損失で子供の教育資金を失った、あるいは老後の資金をなくした、というような深刻な例も散見され、実態の把握は大いに必要です。
さらに朝日は「投資」ということの意味を十分知っているのか、疑問です。「貯蓄から投資へ」とは銀行に預金するのではなく、国民が自ら情報を集め調査・分析し、選んだ先にリスクを負って投資することです。国民の情報収集力や分析力を前提とするこのような試みは初めから無理があります。一部の投資家には適していても国民一般に勧められるものではありません。情報の収集力や分析力の弱い人は証券会社のカモになるのがオチでしょう。
ついでながら、12月26日の朝日には「1人あたりGDP 日本19位」、「07年、OECD30ヶ国中 80年以降で最低」という見出しの記事があります。1人あたりGDP順位が2年連続で過去最低を記録したと結んでいるように、「最低」を強調した記事です。しかしこれは34326ドルで比較したものであり、為替レートの影響を受けます。07年の円/ドル相場は117.76円ということですから現在の90円に換算すると約30%上って約44600ドルとなり10位の英、11位の米にほぼ並びます。
現在の1ドル90円というレートは購買力平価の90円90銭(日経11/04)に近く、これが実力に近いと思われますから、日本が最低の19位だと悲観的に強調すると誤解を招きます。「現在の為替では12位程度になりますよ」と注釈を入れるのがまともな新聞です。
12月9日付朝日新聞には「朝日ネクスト」「1500兆円が日本の未来を明るくする」という上質紙を8ページ使った投資を勧める記事広告が掲載されています。金融が実体経済を補佐するという役割である以上、金融が実体経済よりも成長することなど元々ありえないことであり、金融を成長産業と見ることの誤りは米国の失敗を見ても明らかです。
朝日新聞は投資の意味がよくおわかりでないのか、それとも、わかりながらも有力な広告主である証券会社に不利なことを書きたくないのか、どちらなのでしょう。どちらにしても読者にとっては困ったことです。
「貯蓄から投資へ」という国の方針には日経はもちろん、朝日新聞も協力的であったと思います。朝日新聞は『お金は銀行に預けるな・・・』の著者であり、「投資」をお勧めの論客、勝間和代氏を重用してきました。投資に対するスタンスはともかくとしても投資を取り上げてきた以上、またそれが国の方針であった以上、朝日新聞は現在の投資の状況を広く国民に知らせる責務があると思います。
しかし、購読紙である朝日をすべて見ているわけではないので断言はできませんが、投信の運用成績や個人の投資成績に関する記事は多分なかったと思います(他紙はわかりませんのでここでは触れません)。少し前、流行ったデイトレーダーやFXの参加者が現在どのような状況に置かれているのか、なども含め調査報道を是非とも実施してほしいと思います。投資に興味のある人にとっては重大関心事です。投資による損失で子供の教育資金を失った、あるいは老後の資金をなくした、というような深刻な例も散見され、実態の把握は大いに必要です。
さらに朝日は「投資」ということの意味を十分知っているのか、疑問です。「貯蓄から投資へ」とは銀行に預金するのではなく、国民が自ら情報を集め調査・分析し、選んだ先にリスクを負って投資することです。国民の情報収集力や分析力を前提とするこのような試みは初めから無理があります。一部の投資家には適していても国民一般に勧められるものではありません。情報の収集力や分析力の弱い人は証券会社のカモになるのがオチでしょう。
ついでながら、12月26日の朝日には「1人あたりGDP 日本19位」、「07年、OECD30ヶ国中 80年以降で最低」という見出しの記事があります。1人あたりGDP順位が2年連続で過去最低を記録したと結んでいるように、「最低」を強調した記事です。しかしこれは34326ドルで比較したものであり、為替レートの影響を受けます。07年の円/ドル相場は117.76円ということですから現在の90円に換算すると約30%上って約44600ドルとなり10位の英、11位の米にほぼ並びます。
現在の1ドル90円というレートは購買力平価の90円90銭(日経11/04)に近く、これが実力に近いと思われますから、日本が最低の19位だと悲観的に強調すると誤解を招きます。「現在の為替では12位程度になりますよ」と注釈を入れるのがまともな新聞です。
12月9日付朝日新聞には「朝日ネクスト」「1500兆円が日本の未来を明るくする」という上質紙を8ページ使った投資を勧める記事広告が掲載されています。金融が実体経済を補佐するという役割である以上、金融が実体経済よりも成長することなど元々ありえないことであり、金融を成長産業と見ることの誤りは米国の失敗を見ても明らかです。
朝日新聞は投資の意味がよくおわかりでないのか、それとも、わかりながらも有力な広告主である証券会社に不利なことを書きたくないのか、どちらなのでしょう。どちらにしても読者にとっては困ったことです。