<戦後最悪の少年犯罪と言われる29年前の「女子高校生コンクリート詰め殺人事件」の犯行グループの1人が、殺人未遂容疑で逮捕された。ネット上では、少年犯罪の厳罰化、匿名報道への異議が叫ばれている。海外では、そうした声に応えるような動きも見られるがー> これは8月27日付ニューズウィーク日本版(電子版)に載ったリード文である。
逮捕された湊伸治容疑者は「女子高校生コンクリート詰め殺人事件」で懲役4年以上6年以下の不定期刑が下されている。但し、この量刑からは想像できないほどのおぞましい犯罪を犯している。当時16~18歳の4名の少年が、見ず知らずの17歳の女子高生を拉致し、40日間にわたり監禁、強姦、暴虐の限りを尽くした上、殺害し、遺体をドラム缶に入れてコンクリートで固め、遺棄したという事件である。女子高生は食事も十分与えられず、51kgあった体重は35kgとなっていたという。まさに悪魔顔負けの所業である。
東京地検は「稀に見る重大・凶悪な犯罪で、犯行の態様も極めて残虐・冷酷である。人の仮面をかぶった鬼畜の所業」としたが、東京地裁の判決は「家裁や少年鑑別所・弁護人・両親や鑑定人の接触によって人間性に目覚め、罪の重大性を認識し、その責任の自覚を深めている」として実に寛大な判決を下した(後に東京高裁によって一部は少し重く変更)。ところがこの4名の内、3名までが釈放後に刑事事件を起こしている。その一つが上に挙げた殺人未遂事件である。
更生を重視する少年法に基づいた判決なのであろうが、更生という点では一人を除いて破綻したと言える。4名のうち3名、75%が失敗である。再犯の可能性は十分あると考えられるし、新たに犠牲者が出る可能性も否定できない。29年前の犯行は凄惨極まりないもので、40日間という長きにわたって想像を絶する激しい苦痛と恐怖を与え続けた残虐行為は他に例がない。そして被害者家族まで破壊した。未確認ながら被害者の親御さんは自殺されたとの話もある。一生背負うには重すぎる十字架である。私がその立場でも同じように考えるだろう。但しその前に連中をこの手で始末したい。
長くなったがここからが本題である。主要メディアはこの8月に起きた湊伸治容疑者の殺人未遂事件をほとんど報道しなかった。調べてみたが報じたのは日経と産経、それもコンクリート詰め殺人事件には触れない報道であった。朝日、毎日、NHKは検索したが記事さえ見つからなかった。恐らくコンクリート詰め殺人事件のとき未成年であったことに配慮したのだろうが、それほど大事な問題であろうか。伏せることによる不利益の方がずっと大きいと思う。
もし、主要メディアが過去の事件にも触れて報じれば凶悪事件に関する少年法の是非の議論に火をつけることになったであろう。現行法に基づいた少年たちへの対処が失敗したことも問題になる。主要メディアがこの事件を伏せることで少年法がもつ問題は放置されることになる。メディアの見識次第では制度の改革もできないわけである。欧米では再犯率の高い性犯罪者を地域に公表したり、GPSの装着を義務づけたりしている。社会防衛という視点からも論ずるべき問題である。少年犯罪の厳罰化、匿名報道は慎重に考えなければならない問題だが、少なくとも議論まで封じるべきではない。
更生を重視する少年法の趣旨は理解できる。だが少年法が想定していた少年とはここまで残虐な少年ではなかったのではないか。更生の可能性が極度に低い少年に対して更生を前提にした対処法は意味を失う。法の常で「少年」と一括りにするが、コンクリート詰め事件の犯人たちを一律にその括りに入れるのは無理があると思う。海外の重罰化の議論は少年による想像を絶する凶悪犯罪の発生がきっかけと聞く。
ここまで残虐な、非道な人間がいるのかと、改めて考えさせられる。あるいはミルグラムの実験で示されたように、一定の条件下では普通の人間も残虐になれるのだろうか。いや、ミルグラム実験では被験者には指示が与えられ、スイッチを入れるという動作であったのに対し、少年たちは自らの手で生身の人間を死に至るまで殴るという強い現実感がある筈だ。普通の人間にはできそうもない。
逮捕された湊伸治容疑者は「女子高校生コンクリート詰め殺人事件」で懲役4年以上6年以下の不定期刑が下されている。但し、この量刑からは想像できないほどのおぞましい犯罪を犯している。当時16~18歳の4名の少年が、見ず知らずの17歳の女子高生を拉致し、40日間にわたり監禁、強姦、暴虐の限りを尽くした上、殺害し、遺体をドラム缶に入れてコンクリートで固め、遺棄したという事件である。女子高生は食事も十分与えられず、51kgあった体重は35kgとなっていたという。まさに悪魔顔負けの所業である。
東京地検は「稀に見る重大・凶悪な犯罪で、犯行の態様も極めて残虐・冷酷である。人の仮面をかぶった鬼畜の所業」としたが、東京地裁の判決は「家裁や少年鑑別所・弁護人・両親や鑑定人の接触によって人間性に目覚め、罪の重大性を認識し、その責任の自覚を深めている」として実に寛大な判決を下した(後に東京高裁によって一部は少し重く変更)。ところがこの4名の内、3名までが釈放後に刑事事件を起こしている。その一つが上に挙げた殺人未遂事件である。
更生を重視する少年法に基づいた判決なのであろうが、更生という点では一人を除いて破綻したと言える。4名のうち3名、75%が失敗である。再犯の可能性は十分あると考えられるし、新たに犠牲者が出る可能性も否定できない。29年前の犯行は凄惨極まりないもので、40日間という長きにわたって想像を絶する激しい苦痛と恐怖を与え続けた残虐行為は他に例がない。そして被害者家族まで破壊した。未確認ながら被害者の親御さんは自殺されたとの話もある。一生背負うには重すぎる十字架である。私がその立場でも同じように考えるだろう。但しその前に連中をこの手で始末したい。
長くなったがここからが本題である。主要メディアはこの8月に起きた湊伸治容疑者の殺人未遂事件をほとんど報道しなかった。調べてみたが報じたのは日経と産経、それもコンクリート詰め殺人事件には触れない報道であった。朝日、毎日、NHKは検索したが記事さえ見つからなかった。恐らくコンクリート詰め殺人事件のとき未成年であったことに配慮したのだろうが、それほど大事な問題であろうか。伏せることによる不利益の方がずっと大きいと思う。
もし、主要メディアが過去の事件にも触れて報じれば凶悪事件に関する少年法の是非の議論に火をつけることになったであろう。現行法に基づいた少年たちへの対処が失敗したことも問題になる。主要メディアがこの事件を伏せることで少年法がもつ問題は放置されることになる。メディアの見識次第では制度の改革もできないわけである。欧米では再犯率の高い性犯罪者を地域に公表したり、GPSの装着を義務づけたりしている。社会防衛という視点からも論ずるべき問題である。少年犯罪の厳罰化、匿名報道は慎重に考えなければならない問題だが、少なくとも議論まで封じるべきではない。
更生を重視する少年法の趣旨は理解できる。だが少年法が想定していた少年とはここまで残虐な少年ではなかったのではないか。更生の可能性が極度に低い少年に対して更生を前提にした対処法は意味を失う。法の常で「少年」と一括りにするが、コンクリート詰め事件の犯人たちを一律にその括りに入れるのは無理があると思う。海外の重罰化の議論は少年による想像を絶する凶悪犯罪の発生がきっかけと聞く。
ここまで残虐な、非道な人間がいるのかと、改めて考えさせられる。あるいはミルグラムの実験で示されたように、一定の条件下では普通の人間も残虐になれるのだろうか。いや、ミルグラム実験では被験者には指示が与えられ、スイッチを入れるという動作であったのに対し、少年たちは自らの手で生身の人間を死に至るまで殴るという強い現実感がある筈だ。普通の人間にはできそうもない。