欧米には不可能なことを表す場合に「猫に集団行動をさせる」という言い方があるらしい。猫はまず言うことを聞かないので集団行動は確かに不可能である。犬とは全く逆である。それは犬が群れを作って集団行動をするのに対し、猫は単独行動をすることに起因する。単独行動ならば誰かに「従う」という行為は確かに必要ない。
この週末(3月28、29)、あるアンケート調査では外出自粛要請に対しほとんどの人が協力すると答えていたが、5%は「気にしない」と回答していた。選挙などでは5%が棄権してもたいした問題ではない。しかし今回の新型コロナウィルスの感染ではこの5%が重大な意味を持つ。
先日、吉村大阪府知事と小池東京都知事が会見し、感染急拡大の危険やそれを防ぐための外出の自粛などを強く訴えた。これは適切なことである。小池知事は豊洲市場問題では安全だけではなく安心もないといけない、と奇妙なことを言って巨額の税金を使ったが、今回はまともであった。専門家意見に従っただけなのだろうが、それを理解さえできない人もいるのだから、上出来である。
両知事や安倍首相の会見は危機感を伝えるものとして大きい意味があるが、同時に行政とメディアとの危機感の違いを示すものであった。この日を境にしてメディアの危機感は急激に強くなったと感じる。メディアは行政の状況判断に従った形だが、それまでのメディアは危機感が少なかった。それが視聴者にも伝わり油断を招いて、この感染者増加となったとも考えられる。メディアの判断能力はいつものことながら信頼できるものではない。
感染が爆発的に拡大する(オーバーシュート)か、安定・収束に向かうかは様々な要素で決まる。安定化には外出の制限や人の距離、マスクなどの防護措置、医療・防疫体制の強化などが挙げられるが、感染拡大の主要因は人と人との無防備な接触である。感染者数が落ち着いているということは双方の力が均衡していることを示している。その中で特に注意しなければならないのは均衡を破る存在、つまり言うことを聞かない、無自覚の感染者であろう。こんな人たちが数百人動き回れば感染は急拡大する可能性がある。
日本が西欧諸国に比べ状況が落ち着いている理由は清潔な習慣などいくつかあるだろうが、国民が政府の指示に従順であることが挙げられよう。西欧諸国の国民性でよく言われることだが、彼らは自分で判断する傾向が強いという。裏を返せばあまり言うことを聞かないということである。日本人は犬に近いが、西欧人は猫に近いというわけである。日本人のこの特色は利点でもあるが、反面、付和雷同や全体主義への親和性にもつながる。
一方、自粛要請など気にしないという5%の中身は一様ではないだろう。極端に鈍感な者もあれば、自分ひとりくらい感染してもどうってことはないと思う者もいるだろう。前者の極端に鈍感な者はどうしようもないが、後者は自分の感染が近親者などを危険に晒したり、さらにはオーバーシュートに加担して国の危機を招くことになるという自覚を求めることで改善が期待できる。今のメディア報道はこの点に関して十分ではないように思う。オーバーシュートすれば5%を含め全員が不利益を被るのだから。メディアの報道次第ではオーバーシュートを避けられる可能性はあると思う。
ダイヤモンド・プリンセスの船内では延べ数千人の自衛隊員が作業をしたが、一人も感染者を出さなかった。一般の人は自衛隊ほどの防護はできないが、ウィルスの密度も船内ほどではない。「人を見ればウィルスと思え」くらいの心構えで可能な防護をすればよい。
余談になるが、スペインはマスクや人工呼吸器など計約520億円の医療用具を中国から購入する契約を結んだという。ウィルスは中国発だからマッチポンプと呼ぶにふさわしい。中国はウィルスで商売をしているわけで、まさに「禍を転じて福と為す」である。中国は凄い国である。
この週末(3月28、29)、あるアンケート調査では外出自粛要請に対しほとんどの人が協力すると答えていたが、5%は「気にしない」と回答していた。選挙などでは5%が棄権してもたいした問題ではない。しかし今回の新型コロナウィルスの感染ではこの5%が重大な意味を持つ。
先日、吉村大阪府知事と小池東京都知事が会見し、感染急拡大の危険やそれを防ぐための外出の自粛などを強く訴えた。これは適切なことである。小池知事は豊洲市場問題では安全だけではなく安心もないといけない、と奇妙なことを言って巨額の税金を使ったが、今回はまともであった。専門家意見に従っただけなのだろうが、それを理解さえできない人もいるのだから、上出来である。
両知事や安倍首相の会見は危機感を伝えるものとして大きい意味があるが、同時に行政とメディアとの危機感の違いを示すものであった。この日を境にしてメディアの危機感は急激に強くなったと感じる。メディアは行政の状況判断に従った形だが、それまでのメディアは危機感が少なかった。それが視聴者にも伝わり油断を招いて、この感染者増加となったとも考えられる。メディアの判断能力はいつものことながら信頼できるものではない。
感染が爆発的に拡大する(オーバーシュート)か、安定・収束に向かうかは様々な要素で決まる。安定化には外出の制限や人の距離、マスクなどの防護措置、医療・防疫体制の強化などが挙げられるが、感染拡大の主要因は人と人との無防備な接触である。感染者数が落ち着いているということは双方の力が均衡していることを示している。その中で特に注意しなければならないのは均衡を破る存在、つまり言うことを聞かない、無自覚の感染者であろう。こんな人たちが数百人動き回れば感染は急拡大する可能性がある。
日本が西欧諸国に比べ状況が落ち着いている理由は清潔な習慣などいくつかあるだろうが、国民が政府の指示に従順であることが挙げられよう。西欧諸国の国民性でよく言われることだが、彼らは自分で判断する傾向が強いという。裏を返せばあまり言うことを聞かないということである。日本人は犬に近いが、西欧人は猫に近いというわけである。日本人のこの特色は利点でもあるが、反面、付和雷同や全体主義への親和性にもつながる。
一方、自粛要請など気にしないという5%の中身は一様ではないだろう。極端に鈍感な者もあれば、自分ひとりくらい感染してもどうってことはないと思う者もいるだろう。前者の極端に鈍感な者はどうしようもないが、後者は自分の感染が近親者などを危険に晒したり、さらにはオーバーシュートに加担して国の危機を招くことになるという自覚を求めることで改善が期待できる。今のメディア報道はこの点に関して十分ではないように思う。オーバーシュートすれば5%を含め全員が不利益を被るのだから。メディアの報道次第ではオーバーシュートを避けられる可能性はあると思う。
ダイヤモンド・プリンセスの船内では延べ数千人の自衛隊員が作業をしたが、一人も感染者を出さなかった。一般の人は自衛隊ほどの防護はできないが、ウィルスの密度も船内ほどではない。「人を見ればウィルスと思え」くらいの心構えで可能な防護をすればよい。
余談になるが、スペインはマスクや人工呼吸器など計約520億円の医療用具を中国から購入する契約を結んだという。ウィルスは中国発だからマッチポンプと呼ぶにふさわしい。中国はウィルスで商売をしているわけで、まさに「禍を転じて福と為す」である。中国は凄い国である。