13年8月26日、小型バスが道央自動車道の中央分離帯に衝突してから横転した。バス運転者は男性は前方を注視せず、的確なハンドルやブレーキの操作を怠り、乗客13人を負傷させたとして15年9月に在宅起訴された。しかし事故から6年近く経った今年の3月、札幌地裁室蘭支部の五十嵐浩介裁判長は車体の部品が壊れていたために事故が起きた可能性を指摘し、「被告人に過失は認められない」として無罪(求刑禁錮10カ月)を言い渡した。(19年3月11日 朝日新聞デジタルより一部引用)
バスは三菱ふそうトラック・バス社製で、事故後に緩衝装置の主要部材である前輪「ロアアーム」を車体に固定する部品(センターメンバー)が破損していたことが判明している。ロアアームは車輪と車体を結ぶ「腕」であり、車体との接続部が外れると片側前輪はふらふら状態になり、制御不能となる。しかし検察側は、安定的なハンドル操作が困難になるほどの破損ではなかったと主張。その後、「異常に気づいたのに、直ちに停車させなかった過失がある」とし、起訴をしたわけである。
走行中、片方の前輪が制御を失ったらどうなるか、恐らく満足な制御は不可能になると思う。私は昔、これを助手席で経験しているが、運転者はハンドルを右に左に回すが車はあまり反応がなかった。この時は道が広かったので無事停車できたが、道央自動車道の事故のようにすぐ近くの中央分離帯に衝突することは十分考えられる。
何が言いたいのかというと、ひとつは検察側の無知である。さらにそれを理解して指摘できないメディアの無知である。おかげで小型バスの運転者は無実を認められるまで5年半ほどの時間を要した。決して判断の難しいケースではない。検察の主張にはかなり無理がある。あくまでそれを主張するのなら、片方のロアアームを外したバスを自分で運転して、事故を回避できることを証明すればよい。無知な人間が机上で考えただけだろう。
同社製のバスをめぐっては、13~15年、別の型式でセンターメンバーの破損が原因の人身事故が3件発生した。同社は17年にリコールをしたが、道央道の事故車両の型式は対象になっていないとされる(同)。
もう一つの点は怠慢か、意図的な抑制か知らないが、このバス事故の報道が少なすぎることである。要するに三菱ふそうトラック・バス社は2つの形式のバスで走行中にハンドル操作が不能になるという重大事故を少なくとも4件起こしていることになる。幸いにも死亡事故にはなっていないようだが、一歩間違えると重大な事故になる可能性をもっている。その割にはずいぶん控えめなで地味な報道であった。
ここまで北海道のバス事故について述べたが、本題はむしろ2016年の軽井沢スキーバス転落事故である。なぜかこのバスも三菱ふそうトラック・バス社製である。この事故の原因は、運行会社の健康管理や労働環境などいろいろと言われたが、結局、運転手の不慣れ、技量不足による過失ということにされた。つまり土屋運転手は峠を越えて下り坂に差し掛かり、速度が出過ぎた時、懸命にハンドル操作を行ったが、フットブレーキを十分作動させなかったということにされた。エンジンブレーキや排気ブレーキを使わなかったために速度が制御できなかったなど、もっともらしい説明がなされた。しかし、以前も指摘したが、フットブレーキには単独で十分バスを停止させる能力があるので理由にならない。フットブレーキを何度も試していたことは道路のカメラが記録しているので、土屋運転手が故意に軽くしか踏まなかったか、それとも効かなかったか、どちらかである。あの危機的な状況で強く踏まなかったことなど考えられない。道路に2カ所のタイヤ痕があったことから警察はブレーキをかけたとしたそうだがタイヤ痕は横滑りでついたものと考えるのが自然である。警察はABS装着車の場合もいまだにタイヤ痕をブレーキの証拠としているなど、無知ぶりは驚異的である。
警察や主要メディアはこの無理な説明を繰り返してきたのだが、不自然さを指摘する意見が大きく取り上げられることはなかった。亡くなった土屋運転手に責任を押し付けることがすべてを丸く収められることも確かだが、テレビも新聞、雑誌まで無理な説明に納得するのは不気味である。天下の三菱に忖度したのか、あるいはどこかから圧力がかかったのか、それとも無理な説明に疑問を持つだけの知識がないのだろうか。2017年の報道の自由度のランキングで日本は韓国より下の72位である。このランキングはあまり信用できないが、もしこの報道に何らかの歪曲がなされているなら、72位は納得できる。文春砲の炸裂を期待したいが、文春砲は不倫などの重大事件が専門らしいからあきらめよう。
今回、改めて軽井沢スキーバス転落事故について検索したのだが、かなり説得力のあるサイトを見つけたのでリンクをしておく。どちらも警察やメディアの説明よりずっと合理的で納得がいく。
下は凍結によってエアーブレーキが作動しなかったという詳細な説明がある。
スキーバス転落事故の真の原因
次は群馬合同労働組合のサイト、寄せられたコメントが興味深い。これもブレーキ故障説が中心。
軽井沢バス事故 事故責任を運転手に押しつけるな!
バスは三菱ふそうトラック・バス社製で、事故後に緩衝装置の主要部材である前輪「ロアアーム」を車体に固定する部品(センターメンバー)が破損していたことが判明している。ロアアームは車輪と車体を結ぶ「腕」であり、車体との接続部が外れると片側前輪はふらふら状態になり、制御不能となる。しかし検察側は、安定的なハンドル操作が困難になるほどの破損ではなかったと主張。その後、「異常に気づいたのに、直ちに停車させなかった過失がある」とし、起訴をしたわけである。
走行中、片方の前輪が制御を失ったらどうなるか、恐らく満足な制御は不可能になると思う。私は昔、これを助手席で経験しているが、運転者はハンドルを右に左に回すが車はあまり反応がなかった。この時は道が広かったので無事停車できたが、道央自動車道の事故のようにすぐ近くの中央分離帯に衝突することは十分考えられる。
何が言いたいのかというと、ひとつは検察側の無知である。さらにそれを理解して指摘できないメディアの無知である。おかげで小型バスの運転者は無実を認められるまで5年半ほどの時間を要した。決して判断の難しいケースではない。検察の主張にはかなり無理がある。あくまでそれを主張するのなら、片方のロアアームを外したバスを自分で運転して、事故を回避できることを証明すればよい。無知な人間が机上で考えただけだろう。
同社製のバスをめぐっては、13~15年、別の型式でセンターメンバーの破損が原因の人身事故が3件発生した。同社は17年にリコールをしたが、道央道の事故車両の型式は対象になっていないとされる(同)。
もう一つの点は怠慢か、意図的な抑制か知らないが、このバス事故の報道が少なすぎることである。要するに三菱ふそうトラック・バス社は2つの形式のバスで走行中にハンドル操作が不能になるという重大事故を少なくとも4件起こしていることになる。幸いにも死亡事故にはなっていないようだが、一歩間違えると重大な事故になる可能性をもっている。その割にはずいぶん控えめなで地味な報道であった。
ここまで北海道のバス事故について述べたが、本題はむしろ2016年の軽井沢スキーバス転落事故である。なぜかこのバスも三菱ふそうトラック・バス社製である。この事故の原因は、運行会社の健康管理や労働環境などいろいろと言われたが、結局、運転手の不慣れ、技量不足による過失ということにされた。つまり土屋運転手は峠を越えて下り坂に差し掛かり、速度が出過ぎた時、懸命にハンドル操作を行ったが、フットブレーキを十分作動させなかったということにされた。エンジンブレーキや排気ブレーキを使わなかったために速度が制御できなかったなど、もっともらしい説明がなされた。しかし、以前も指摘したが、フットブレーキには単独で十分バスを停止させる能力があるので理由にならない。フットブレーキを何度も試していたことは道路のカメラが記録しているので、土屋運転手が故意に軽くしか踏まなかったか、それとも効かなかったか、どちらかである。あの危機的な状況で強く踏まなかったことなど考えられない。道路に2カ所のタイヤ痕があったことから警察はブレーキをかけたとしたそうだがタイヤ痕は横滑りでついたものと考えるのが自然である。警察はABS装着車の場合もいまだにタイヤ痕をブレーキの証拠としているなど、無知ぶりは驚異的である。
警察や主要メディアはこの無理な説明を繰り返してきたのだが、不自然さを指摘する意見が大きく取り上げられることはなかった。亡くなった土屋運転手に責任を押し付けることがすべてを丸く収められることも確かだが、テレビも新聞、雑誌まで無理な説明に納得するのは不気味である。天下の三菱に忖度したのか、あるいはどこかから圧力がかかったのか、それとも無理な説明に疑問を持つだけの知識がないのだろうか。2017年の報道の自由度のランキングで日本は韓国より下の72位である。このランキングはあまり信用できないが、もしこの報道に何らかの歪曲がなされているなら、72位は納得できる。文春砲の炸裂を期待したいが、文春砲は不倫などの重大事件が専門らしいからあきらめよう。
今回、改めて軽井沢スキーバス転落事故について検索したのだが、かなり説得力のあるサイトを見つけたのでリンクをしておく。どちらも警察やメディアの説明よりずっと合理的で納得がいく。
下は凍結によってエアーブレーキが作動しなかったという詳細な説明がある。
スキーバス転落事故の真の原因
次は群馬合同労働組合のサイト、寄せられたコメントが興味深い。これもブレーキ故障説が中心。
軽井沢バス事故 事故責任を運転手に押しつけるな!