東日本大震災の後、いろいろな人物がテレビに登場しました。まず原発事故の当事者である東電の幹部、続いて気象庁の職員、地震学者、評論家、etc。東電幹部や社員の表情は暗く険しいの対して、気象庁の職員や地震学者の顔には穏やな印象を受けました。
むろん、事故の当事者としてではなく解説者としての登場なので当然のことですが、それだけではないような気がします。気象学者や地震学者が予報を外しても厳しく批判されることはないわけで、余裕ある表情は職業上の気楽さから来るものではないかと羨ましく思ってしまいました。
世の中には天気予報や経済予測など、うまくいかなくてあたりまえ(外れてもあまり咎められない)の仕事と電力や鉄道のようにうまくいって(事故がなくて)あたりまえの仕事があります。大事故のとき、後者は世間(=マスコミ)の集中砲火を浴びることになります。
JR西日本の福知山線脱線事故では107名が亡くなり、歴代社長らが刑事責任を問われる事態になりました。今回の原発事故では刑事責任まで問われることはないと思いますが、既に東電バッシングが始まっているようで、針の筵にすわる思いの東電幹部はむろんのこと、社員までも肩身の狭い思いをされていることでしょう。
事故原因の究明や責任の所在を明らかにすることは再発防止のために当然必要であり、今後の解明を待たなければなりません。しかし過度の感情的なバッシングは将来に悪影響を及ぼします。就職先を自由に選べるような優秀な学生は大事故を起こす可能性のある業種を避ける傾向が生じ、そのため優れた人材が不足する心配があるからです。
既に国立大学の原子力関係学科の学生数は1994年度の1739人から2006年度には137人と1/10以下に急減しているように、原子力工学はもっとも不人気の学科となっており、人材供給の先細り傾向は既に「危機的な状況」と指摘されていました。今回の事故でこの傾向がさらに強まることが懸念されます。
原発をやめても休止中の火力発電を稼動することなどで電力供給は可能だという主張をよく耳にしますが、原発を続ける最大の理由のひとつはエネルギーの安全保障であり、そのことも議論して欲しいものです。エネルギーの安全保障を担っているという原発の存在意義が忘れられれば、原発は誇りを持てない、嫌われるだけの仕事になるでしょう。
電力や鉄道は社会を支える基幹産業ですが、事故の危険がゼロではありません。優秀な学生の多くがそれらを避け、人身事故を起こす懸念のない金融や商業、マスコミなどを選ぶような傾向が生じるかも知れません。自らは安全地帯に居て、他人の失敗をあとから非難する仕事などは最高です。
むろん、事故の当事者としてではなく解説者としての登場なので当然のことですが、それだけではないような気がします。気象学者や地震学者が予報を外しても厳しく批判されることはないわけで、余裕ある表情は職業上の気楽さから来るものではないかと羨ましく思ってしまいました。
世の中には天気予報や経済予測など、うまくいかなくてあたりまえ(外れてもあまり咎められない)の仕事と電力や鉄道のようにうまくいって(事故がなくて)あたりまえの仕事があります。大事故のとき、後者は世間(=マスコミ)の集中砲火を浴びることになります。
JR西日本の福知山線脱線事故では107名が亡くなり、歴代社長らが刑事責任を問われる事態になりました。今回の原発事故では刑事責任まで問われることはないと思いますが、既に東電バッシングが始まっているようで、針の筵にすわる思いの東電幹部はむろんのこと、社員までも肩身の狭い思いをされていることでしょう。
事故原因の究明や責任の所在を明らかにすることは再発防止のために当然必要であり、今後の解明を待たなければなりません。しかし過度の感情的なバッシングは将来に悪影響を及ぼします。就職先を自由に選べるような優秀な学生は大事故を起こす可能性のある業種を避ける傾向が生じ、そのため優れた人材が不足する心配があるからです。
既に国立大学の原子力関係学科の学生数は1994年度の1739人から2006年度には137人と1/10以下に急減しているように、原子力工学はもっとも不人気の学科となっており、人材供給の先細り傾向は既に「危機的な状況」と指摘されていました。今回の事故でこの傾向がさらに強まることが懸念されます。
原発をやめても休止中の火力発電を稼動することなどで電力供給は可能だという主張をよく耳にしますが、原発を続ける最大の理由のひとつはエネルギーの安全保障であり、そのことも議論して欲しいものです。エネルギーの安全保障を担っているという原発の存在意義が忘れられれば、原発は誇りを持てない、嫌われるだけの仕事になるでしょう。
電力や鉄道は社会を支える基幹産業ですが、事故の危険がゼロではありません。優秀な学生の多くがそれらを避け、人身事故を起こす懸念のない金融や商業、マスコミなどを選ぶような傾向が生じるかも知れません。自らは安全地帯に居て、他人の失敗をあとから非難する仕事などは最高です。