数ある戦争の中で、ウクライナとロシアほど善と悪が明確なものは珍しい。ロシアの悪は圧倒的である。あからさまな残虐性が世界を団結させ、自国を不利に導いている。それはともかく、ロシアのためにウクライナは大変な災難に見舞われている。ロシアの蛮行を素早く止める手段を世界は持っていない。今、ロシアの野望を強く押しとどめているのはウクライナ国民の抵抗だと思われる。その姿は尊敬を集めるし、人の心をも打つ。もしウクライナ国民が簡単にあきらめてしまっていたら、世界の支援は得られなかったであろう。
毎日新聞と社会調査研究センターが19日に実施した全国世論調査によると、ロシアがウクライナに軍事侵攻したことで、日本の安全保障が脅かされる不安を感じるかと尋ねたところ、「強い不安」は46%、「ある程度の不安」は41%で、合わせて87%が不安を感じるであった。日本政府がロシアに経済制裁を科したことについては、「妥当だ」が59%で、「もっと強い制裁を科すべきだ」が30%であった。防弾チョッキなどを提供したことについては、「妥当だ」が61%、「もっと積極的な軍事支援を検討すべきだ」は22%であった。中国が台湾に軍事侵攻する不安を感じるかとの質問では、「強い不安」が56%、「ある程度の不安」は33%で、合計で89%が不安を感じていた。米国の核兵器を日本に配備して共同運用する「核共有」の議論については、「議論すべきだ」は57%で、「議論すべきではない」の32%を上回った。
ロシアのウクライナ侵攻によって、安全保障に関する世論は大きく転換したように見える。ようやく現実がまともに見えるようになったわけで喜ばしい。だが、その裏にはウクライナの膨大な犠牲者と苦難があることを忘れてはならない。一方、防弾チョッキなどの提供に反対した共産党やゼレンスキー大統領の国会演説に反対した立憲民主党のように、いまだに現実が見えない人達もいる。長年、憲法9条を信奉したり、非武装中立を主張してきた人たちも今回は考えを改めざるを得ないと思う。それにも漏れる人たちが少々は出るだろうが、それは頭の構造が違うのだとあきらめるしかない。
ロシアの侵攻が成功すれば国際秩序はひっくり返る。中国も勢いづくだろう。何としてもプーチンの野望をくじかなければならない。それにはウクライナが軍事的に有利になることが最も有効であろう。国内では寄付の動きがあるが、寄付を平和目的に限るという意向が目立つ。難民の救援も大事だが、難民を生み出す戦乱を止めることを優先するべきだ。ウクライナに勝利させることが最優先だと思う。戦争に加担したくないなどときれいごとを言っていては根本の解決にはならない。寄付をするならば、武器の購入などウクライナ政府が自由に使える資金としてするのが効果的である。
スウェーデンやフィンランドはウクライナに軍事援助し、国防費の増額やNATOの参加をも検討するらしい。軍事の増強はドイツやポーランドでも計画されているという。ロシアのために彼らも目が覚めたわけである。日本は快適な眠りを長期間むさぼってきてためか、目覚めも悪そうである。核シェアリングについての立憲民主党の質問に、岸田首相は核シェアリングの議論さえもしないと答えている…いまだに。
「もし戦争が起こったら国のために戦うか」(2017-2020)、という調査データがある。「はい」と答えた割合は13.2%から96.4%まであるが、日本はその最低の13.2%、最高の96.4%はベトナムであり、中国は88.6%である。ベトナム国民の士気の高さは、大きな犠牲を伴ったが、ベトナム戦争で実証された。ウクライナでロシアが苦戦し、いまだに侵略の野望が達せられない理由のひとつはウクライナ国民の士気が高いことであろう。これが将来の強力な戦争抑止力にもなる。戦争が泥沼化しそうな国には侵略したくないのである。さて日本はどうか。士気は最低の、世界でもっとも侵略しやすい国に見えるかもしれない。
国のために戦わないという国民が多い日本であるが、それに呼応するようにウクライナに降伏を勧める論者達もいる。しかし降伏はそれほど生易しいものではない。日本が米国に降伏した後の経過は例外的に恵まれたものであったので、降伏を安易に考えているのではないだろうか。古代のように負けた国の男は全員が殺され、女は全員が奴隷となる、といったようにはならなくても、なにしろ相手はロシアなのである。他国に隷属する悲惨さはロシアの周囲の国は知っていると思う。
毎日新聞と社会調査研究センターが19日に実施した全国世論調査によると、ロシアがウクライナに軍事侵攻したことで、日本の安全保障が脅かされる不安を感じるかと尋ねたところ、「強い不安」は46%、「ある程度の不安」は41%で、合わせて87%が不安を感じるであった。日本政府がロシアに経済制裁を科したことについては、「妥当だ」が59%で、「もっと強い制裁を科すべきだ」が30%であった。防弾チョッキなどを提供したことについては、「妥当だ」が61%、「もっと積極的な軍事支援を検討すべきだ」は22%であった。中国が台湾に軍事侵攻する不安を感じるかとの質問では、「強い不安」が56%、「ある程度の不安」は33%で、合計で89%が不安を感じていた。米国の核兵器を日本に配備して共同運用する「核共有」の議論については、「議論すべきだ」は57%で、「議論すべきではない」の32%を上回った。
ロシアのウクライナ侵攻によって、安全保障に関する世論は大きく転換したように見える。ようやく現実がまともに見えるようになったわけで喜ばしい。だが、その裏にはウクライナの膨大な犠牲者と苦難があることを忘れてはならない。一方、防弾チョッキなどの提供に反対した共産党やゼレンスキー大統領の国会演説に反対した立憲民主党のように、いまだに現実が見えない人達もいる。長年、憲法9条を信奉したり、非武装中立を主張してきた人たちも今回は考えを改めざるを得ないと思う。それにも漏れる人たちが少々は出るだろうが、それは頭の構造が違うのだとあきらめるしかない。
ロシアの侵攻が成功すれば国際秩序はひっくり返る。中国も勢いづくだろう。何としてもプーチンの野望をくじかなければならない。それにはウクライナが軍事的に有利になることが最も有効であろう。国内では寄付の動きがあるが、寄付を平和目的に限るという意向が目立つ。難民の救援も大事だが、難民を生み出す戦乱を止めることを優先するべきだ。ウクライナに勝利させることが最優先だと思う。戦争に加担したくないなどときれいごとを言っていては根本の解決にはならない。寄付をするならば、武器の購入などウクライナ政府が自由に使える資金としてするのが効果的である。
スウェーデンやフィンランドはウクライナに軍事援助し、国防費の増額やNATOの参加をも検討するらしい。軍事の増強はドイツやポーランドでも計画されているという。ロシアのために彼らも目が覚めたわけである。日本は快適な眠りを長期間むさぼってきてためか、目覚めも悪そうである。核シェアリングについての立憲民主党の質問に、岸田首相は核シェアリングの議論さえもしないと答えている…いまだに。
「もし戦争が起こったら国のために戦うか」(2017-2020)、という調査データがある。「はい」と答えた割合は13.2%から96.4%まであるが、日本はその最低の13.2%、最高の96.4%はベトナムであり、中国は88.6%である。ベトナム国民の士気の高さは、大きな犠牲を伴ったが、ベトナム戦争で実証された。ウクライナでロシアが苦戦し、いまだに侵略の野望が達せられない理由のひとつはウクライナ国民の士気が高いことであろう。これが将来の強力な戦争抑止力にもなる。戦争が泥沼化しそうな国には侵略したくないのである。さて日本はどうか。士気は最低の、世界でもっとも侵略しやすい国に見えるかもしれない。
国のために戦わないという国民が多い日本であるが、それに呼応するようにウクライナに降伏を勧める論者達もいる。しかし降伏はそれほど生易しいものではない。日本が米国に降伏した後の経過は例外的に恵まれたものであったので、降伏を安易に考えているのではないだろうか。古代のように負けた国の男は全員が殺され、女は全員が奴隷となる、といったようにはならなくても、なにしろ相手はロシアなのである。他国に隷属する悲惨さはロシアの周囲の国は知っていると思う。