登山に便利な携帯用GPSというものがあります。カーナビを小型化し、道路地図の代わりに地形図を使ったようなもので、自分の位置、歩いた軌跡、予定ルートなどを表示できます。山の遭難原因の多くを占める道迷いに対して大変有効ですが、日本では米国のガーミン社製のものが主流であり、日本語版は地図を含めて10万円近く、英語版でも3~5万円する上、中高年の登山者には習熟が難しく広く一般に普及している状況とはいえません。
そんな折、不要になった古いスマホを手に入れたので、地図ロイドと山旅ロガーというGPS用の無料アプリをインストールして試してみました。これも無料の国土地理院の電子国土基本図をダウンロードする手間がかかりますが、ガーミン製に比べて、軽く薄い上、画面は大きくて見やすい、機能が豊富で操作体系が洗練されている、など実用上、十分なものでした。
無線LAN(Wi-Fi)で予め地図を読み込んでおけば携帯電話の契約は不要なので、SIMカードのないスマホ(白ロムと呼んでいる)でも使えます。この場合、維持費もゼロです。
私は300円の機能強化版の山旅ロガーを使っていますが、無料版でも十分使用可能です。無料、あるいは300円という低廉な価格は提供者が価値に見合った金銭を要求する気があまりないことを示しています。無料のソフトウェアをパソコンではフリーウェアあるいはフリーソフト、スマホでは無料アプリと呼んでいるようですが、それぞれ数十万種類が公開されています。
無料で提供しておいて、人気が出たら一部を有料化して稼ぐというモデルもありますが、成功者はごく一部で、大部分は金銭目的ではないと考えられます。基本ソフト(OS)であるリナックスも数千人の協力で作られ、無償提供されています。ウォール街で人気の「価値を提供せずにカネを得る」方法とはまさに正反対です。
私も従来からテキストエディターやファイル管理、音楽編集など多くの優れたフリーウェアの世話になり、とても感謝しています。これらの価値の総計を金額で表せば膨大なものになるでしょうが、家族による介護などと同様、GDPの数値には含まれません。
価値あるものを無償で提供するという彼らの行動は今までの経済学の想定を超えたものです。他にも、質問するとたちまち解答が寄せられるように、ネットでは労力の無償提供があたりまえになりました。一部の人を除き、ここでは金銭は主要な動機でないようです。
翻って現実の世界に目を向けると、逆の方向の動きが目立ちます。拝金主義に彩られたバブル時代、それに続く新自由主義がもてはやされた時代、どちらもカネが価値の中心になった観があります。つまり逆方向の二つの流れが同時に起きたようにも見えます。
例えば1997年以来、賃金が下がり続けている一方で、企業の内部留保が大きく増えたとされています。これには様々な理由が考えられますが、ひとつには分配を抑え収益を至上とする風潮、新自由主義によって正当化された価値観があったと思われます。このような風潮は無数のシャイロックを生み出しました。会社が社会的存在であることを否定し、株主のものであるという形式論まで登場して、この風潮を正当化するのに使われました。
規制が緩めば大小のシャイロックたちは元気づき、富の集中に弾みがつきます。いわば19世紀の「裸の資本主義」への回帰です。当然ながら周囲はそのとばっちりを受け、格差が生じるのはあたりまえ、実にわかりやすい話です。それにしても、社会を巻き込む思想や風潮のもつ力はたいしたものです。
少し話がそれましたが、金銭以外の動機で活動する人々と、その対極の金銭を得ることを最大の動機とする人々が共存しているのは興味ある現象です。二極分化といえるかも知れません。どちらがよいなどと言うつもりはありませんが、貧しくもないのにカネがすべてとばかりガツガツ稼ぐ姿はあまりエレガントに見えないことは確かです。
そんな折、不要になった古いスマホを手に入れたので、地図ロイドと山旅ロガーというGPS用の無料アプリをインストールして試してみました。これも無料の国土地理院の電子国土基本図をダウンロードする手間がかかりますが、ガーミン製に比べて、軽く薄い上、画面は大きくて見やすい、機能が豊富で操作体系が洗練されている、など実用上、十分なものでした。
無線LAN(Wi-Fi)で予め地図を読み込んでおけば携帯電話の契約は不要なので、SIMカードのないスマホ(白ロムと呼んでいる)でも使えます。この場合、維持費もゼロです。
私は300円の機能強化版の山旅ロガーを使っていますが、無料版でも十分使用可能です。無料、あるいは300円という低廉な価格は提供者が価値に見合った金銭を要求する気があまりないことを示しています。無料のソフトウェアをパソコンではフリーウェアあるいはフリーソフト、スマホでは無料アプリと呼んでいるようですが、それぞれ数十万種類が公開されています。
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私も従来からテキストエディターやファイル管理、音楽編集など多くの優れたフリーウェアの世話になり、とても感謝しています。これらの価値の総計を金額で表せば膨大なものになるでしょうが、家族による介護などと同様、GDPの数値には含まれません。
価値あるものを無償で提供するという彼らの行動は今までの経済学の想定を超えたものです。他にも、質問するとたちまち解答が寄せられるように、ネットでは労力の無償提供があたりまえになりました。一部の人を除き、ここでは金銭は主要な動機でないようです。
翻って現実の世界に目を向けると、逆の方向の動きが目立ちます。拝金主義に彩られたバブル時代、それに続く新自由主義がもてはやされた時代、どちらもカネが価値の中心になった観があります。つまり逆方向の二つの流れが同時に起きたようにも見えます。
例えば1997年以来、賃金が下がり続けている一方で、企業の内部留保が大きく増えたとされています。これには様々な理由が考えられますが、ひとつには分配を抑え収益を至上とする風潮、新自由主義によって正当化された価値観があったと思われます。このような風潮は無数のシャイロックを生み出しました。会社が社会的存在であることを否定し、株主のものであるという形式論まで登場して、この風潮を正当化するのに使われました。
規制が緩めば大小のシャイロックたちは元気づき、富の集中に弾みがつきます。いわば19世紀の「裸の資本主義」への回帰です。当然ながら周囲はそのとばっちりを受け、格差が生じるのはあたりまえ、実にわかりやすい話です。それにしても、社会を巻き込む思想や風潮のもつ力はたいしたものです。
少し話がそれましたが、金銭以外の動機で活動する人々と、その対極の金銭を得ることを最大の動機とする人々が共存しているのは興味ある現象です。二極分化といえるかも知れません。どちらがよいなどと言うつもりはありませんが、貧しくもないのにカネがすべてとばかりガツガツ稼ぐ姿はあまりエレガントに見えないことは確かです。