安部首相が就任した途端、日中・日韓の対立は消えてしまったかに見える。北朝鮮の核実験という共通の脅威の出現が対立の解消を促したこともある。しかしもともと両国との間には深刻な対立を招くほどの利害の衝突はなかった。逆に友好的な関係が互いの利益になることは広く認識されていたと思われる。
対立の構図は、日本の左翼勢力の一部が南京大虐殺や従軍慰安婦問題を蒸し返して、日本の「借り」を誇張気味に暴露し、それを中韓両政府に利用されたものと見ることができる。中韓両政府は対立を政権の安定という国内事情に利用した。
ところが、左翼勢力の唱える自虐史観と、それに呼応した中韓の反応は国内に大きな反作用をもたらした。太平洋戦争(右翼では大東亜戦争と呼ぶ)を侵略戦争ではなく、自存のため、あるいはアジア諸国を開放するための戦争と見るような一面的な見解に基づく 、小林よしのり氏の戦争漫画が若者向けに大量に売れた。また対米戦争をしていなかったなら日本は植民地になっていたというようなことを上坂冬子のような有名人までが云いだし、右翼系雑誌も販売数を伸ばした。 藤原正彦氏の「国家の品格」という時代錯誤本が売れたのもこの流れに乗ったためだと思われる。
(一部のメディアと論者は主義・思想の対立を食いものにして生きている。彼らには対立が激化するほど潤うという構造がある。販売数を伸ばすことは至上命題であるから、対立を煽ることが彼らの抜きがたい属性となる)
すなわち左翼勢力が古傷を掘り返し、それに中韓が乗っかった結果、左翼勢力は自国よりも外国の利益を擁護するものと見られ、それがナショナリズム刺激した。ナショナリズムの高揚に乗って右翼勢力が拡大したというわけだ。
つまり、日本の右傾化という事実があるとすれば、それにもっとも功績があったのは左翼勢力、という皮肉なことと相成った。どのような勢力であれ、対立関係の外国と結託していると見られれば、それはナショナリズムを刺激する。中国は自らの行動が日本の右傾化を招いたと気づいて、靖国問題を引っ込めたのだと思う。隣国でナショナリズムが高揚することを歓迎する国はあまりない。
結局のところ、戦前の歴史観が誇張や歪曲を受けた形で、国民の一部に広まった。それがこの騒動の残したものである。将来、国内の無意味な対立につながらないことを願う。
対立の構図は、日本の左翼勢力の一部が南京大虐殺や従軍慰安婦問題を蒸し返して、日本の「借り」を誇張気味に暴露し、それを中韓両政府に利用されたものと見ることができる。中韓両政府は対立を政権の安定という国内事情に利用した。
ところが、左翼勢力の唱える自虐史観と、それに呼応した中韓の反応は国内に大きな反作用をもたらした。太平洋戦争(右翼では大東亜戦争と呼ぶ)を侵略戦争ではなく、自存のため、あるいはアジア諸国を開放するための戦争と見るような一面的な見解に基づく 、小林よしのり氏の戦争漫画が若者向けに大量に売れた。また対米戦争をしていなかったなら日本は植民地になっていたというようなことを上坂冬子のような有名人までが云いだし、右翼系雑誌も販売数を伸ばした。 藤原正彦氏の「国家の品格」という時代錯誤本が売れたのもこの流れに乗ったためだと思われる。
(一部のメディアと論者は主義・思想の対立を食いものにして生きている。彼らには対立が激化するほど潤うという構造がある。販売数を伸ばすことは至上命題であるから、対立を煽ることが彼らの抜きがたい属性となる)
すなわち左翼勢力が古傷を掘り返し、それに中韓が乗っかった結果、左翼勢力は自国よりも外国の利益を擁護するものと見られ、それがナショナリズム刺激した。ナショナリズムの高揚に乗って右翼勢力が拡大したというわけだ。
つまり、日本の右傾化という事実があるとすれば、それにもっとも功績があったのは左翼勢力、という皮肉なことと相成った。どのような勢力であれ、対立関係の外国と結託していると見られれば、それはナショナリズムを刺激する。中国は自らの行動が日本の右傾化を招いたと気づいて、靖国問題を引っ込めたのだと思う。隣国でナショナリズムが高揚することを歓迎する国はあまりない。
結局のところ、戦前の歴史観が誇張や歪曲を受けた形で、国民の一部に広まった。それがこの騒動の残したものである。将来、国内の無意味な対立につながらないことを願う。