噛みつき評論 ブログ版

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朝日の没落

2016-11-28 09:27:17 | マスメディア
『イナズマ級の男性力』
『たちまちやってくるのは"グングン"突き上げる「高揚感」』
『「これぞ、あの頃の充実感」と中高年男性に大好評』

 これが何の広告であるか、お分かりだと思います。驚くなかれ、これはクォリティペーパーを自認されている朝日新聞に最近掲載された「食品」広告のキャッチコピーです。朝日には他にも「ピンピン」「妻が喜ぶ」といった他社のキャッチコピーがしばしば目につきます。二流の週刊誌と勘違いしそうです。

 朝日は読者層の高齢化に伴ってこのような商品の需要が多いと見て、掲載されたのかもしれませんが、この種の広告には何となくいかがわしい雰囲気が漂います。必要とする人には大事な情報ですが、この商品と二流雑誌との組み合わせに我々が慣れてしまっているからでしょう。

 しかしこの広告の表現に誇張や嘘がないかといえばかなり怪しいと思います。調べてみるとこの種の商品を比較実験したようなサイトがありました。主観を排除することが難しいので信頼性は高くないですが、効果に否定的な意見が目立ちます。

 また以前に指摘しましたがオイルヒーターや温風機など、エネルギー効率の悪い商品の全面広告も繰り返し掲載しています。これらの器具は同じ熱を発生させるのにエアコンの約6倍の電力を食います。広告には当然それを示す記述はないので購入者は騙され、電気代に驚くことでしょう。地球温暖化を加速するものであり、朝日の主張とは矛盾します。

 朝日はそれを知って載せたのかどうか知りませんが、このような広告が新聞の品格や信頼性を大きく損なうことくらいは当然わかっているでしょう。それでも載せるのにはそれだけの必要があるのでしょう。それにしてもここまで堕ちることはないと思うのですが、矜持もクソもないといったところでしょうか。

 下は2012年4月から2016年4月の4年間における各紙の販売数の減少率です。
 (ABC部数による)
読売  朝日   毎日  日経  産経
9.9%  13.7%  9.6%  6.7%  1.2%

 800万部と言われていた朝日はこの8月には約646万部となって減少率は群を抜いています。ネットの普及などが原因と言われていますが、慰安婦問題の誤報や福島第一の誤報で明るみに出た日本の国益に反する報道姿勢と嘘つき体質が大きかったのでしょう。販売数の減少は経営にも影響し、17年度から平均160万円の大幅な賃下げを実施、100億円のコストを削ると報道されています。

 かつて朝日は社員を路頭に迷わすにはいけないと軍部の経済的な圧力に屈し、戦争を煽る路線に方向転換しました。いかがわしい広告を載せることは経済的な理由で新聞の矜持や使命を捨てるという点で同じです。きれいごとは建前で、本音はカネが第一なのでしょうか。

 朝日新聞はクオリティペーパーとして認められた時期もありました。しかし近年はその思想的な硬直性ゆえに、変動する現実にうまく対応することができず、現実との乖離を広げたように思います。安全保障問題では政府の政策に対しことごとく反対してきましたが、もしその反対がすべて通っていたらと考えるとゾッとします。もしかしたらどこかの属国になっていたかもしれません。

 政治的には、朝日は常に政権に反対する側を支持してきました。つまり国民の分断を推し進めてきたわけです。それが成功して誕生したのが民主党政権ですが、散々な結果になったというわけです。朝日が戦後の政治にもたらしたものは総計すると益が多いのか、それとも害が多いのでしょうか。これは難しい問題です。

 朝日の路線に最も近いのは社民党だと言われてきました。その社民党は非武装中立などと非現実的な言動を繰り返し、長期低落傾向が止まりません。双方とも時代に取り残された観があります。それにしても不要となったものが消滅するまでには長い時間がかかるものです。硬直化した高齢者の増加が彼らを延命させているともいえるでしょうが。

恐怖の民主主義

2016-11-14 09:24:08 | マスメディア
 多くの人の予想に反してトランプ氏が時期大統領となりました。とは言っても、予想を間違えたのは多数の人ではなく世論調査です。世論調査があまり信頼できないことは英国のEU離脱の際にも示された筈です。連続して失敗した世論調査なるものを正しく認識する必要がありそうです。

 英のEU離脱と今回の米大統領選挙の共通点として支配階級のエリートに対する低学歴層の不満が根底にあるという見方が有力です。時代に取り残され経済的に厳しい立場に置かれた労働者階級の不満が蓄積していたのだと説明されます。恐らくその通りなのでしょう。

 ところで英国と米国はそれぞれサッチャーとレーガンが先駆的に新自由主義を採り入れた国です。その結果、両国は経済成長を実現しつつも格差の拡大が顕著になったとされています。勝ち組は少数ですあり、大量の負け組が生じたことになります。1%と99%などと言われるように。この層が選挙に大きな影響力を行使したという説明が可能です。

 このように考えれば今回の結果は新自由主義の副作用がもたらした当然の結果ともいえます。自由放任では階級社会になるということを古今東西の歴史が示しています。米英では19世紀の資本主義に逆戻りした観がありました。格差社会というより階級社会と呼ぶのがふさわしい現状に変革を迫るという点において民主主義は機能したわけです。しかし、選ばれた候補者がトランプ氏というとんでもない人物でありました。

 彼がどのような大統領になるか見当もつきませんが、予測不可能性というだけで大きなリスクです。米国民にとっても、また世界にとっても「やらせてみなけりゃわからん」ではたいへん困るわけです。一方、知識レベルの低さは間違いないようです。韓国の朴槿恵大統領も「民主的な」直接選挙によって選ばれましたが、現在の支持率は5%だそうです。こういう人達を選び出すのも民主主義です。きっと一時的な感情によって投票する人が多いのでしょう。直接選挙は多額の経費と多くの時間が必要ですが、その結果を見るとこの方法自体にも疑問が生じます。

 またこの選挙を通じて気になったことですが、フランス革命以来の自由・平等・博愛などの理想が力を弱め、逆に様々な差別や利己主義などが力を得てきたような風潮を感じます。自由・平等などは建前であるかもしれませんが、それが力を失えば、大統領が率先して差別が堂々と行われるような社会が到来する可能性すらあります。

 蛇足ですが、トランプ氏は日本がもっと金を払わなければ米軍を引き上げるかもしれないと発言しています。これに対して、かねて米軍や米軍基地を激しく嫌悪していた左派メディアは大歓迎するのかと思ったら、どうもそんな様子はなさそうです。米軍関係者が強姦などの事件を起こせば全国ニュースで日本人の事件の何百倍も騒ぎ立てるのですか。こういうのってご都合主義というか、ずいぶんインチキなやり方ですね。